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一年生編
幼馴染みの追跡
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「ずいぶんお楽しみだったようね」
高田さんと分かれると、声が聞こえてくる。
横に紅羽が僕の方を不満そうに見ながら、こっちを見てくる。
「学校からついてくるなんて、ストーカーか?」
学校からの視線は彼女の否、彼女達のものだった。
「ストーカーなんて酷いな~」
椎名さんが彼女の横から顔を出す。
「私達は、面白そうだからついてっただけだよ」
それをストーカーっていうんじゃないのか?
そう思ったが、もう言うのを諦める。
「何の漫画買ったの?」
「いや、買いたかったラノベは一つしかなくて僕は買えなかった」
「へぇ~、ラノベって何?」
「ライトノベルの略……ライトノベルっていうのは漫画の小説版みたいなやつ」
まぁ、彼女のような陽キャが知らないのは無理もない。
「面白い?」
「うん、まぁ」
「ふ~ん」
そう言うと、紅羽の方を見る。
「紅ちゃんは読んだことある?」
「うん、あるよ」
「どう? 面白かった?」
「まぁ、好みは分かれるかな」
「そっか~、ねえ誠一君今度そのラノベってのを貸してくれない?」
「それは別にいいけど、どんなのがいいの?」
「う~ん、誠一君のお勧めで」
それが一番困る。
だってそうだろ?
漫画やアニメに問わず、お薦めを渡して彼女が気に入るどころか嫌いな可能性も含まれるのだ。
「日和、恋愛系のアニメ好きだよね」
「そりゃまぁ、華の女子高生ですから」
「恋愛か」
異世界物か現実世界物か迷ってしまう。
初心者には現実世界の方がわかりやすい気がする。
「なら、今度持っていくよ」
「うん、お願い」
そう言うと、僕の乗る電車が来る。
そうしてしばらく何気ない会話をして、椎名さんの降りる駅に着く。
「それじゃあ、また明日ね」
「うん、また明日」
椎名さんは手を振るので、見えなくなるまで手を振った。
「さて紅羽」
「何?」
「今日、部活だったよな?」
「今日は自主練だったの」
「それで僕のストーカーしていたと?」
「人聞きが悪いな~、君の行動を観察していただけなのだよ」
世間ではそれをストーカーというんですよ。
そう言った所で、彼女は認めないだろう。
「今度の土曜日って空いてる?」
「あぁ、何かあるのか?」
「私、今度大会の予選があるんだけど見に来てくれない?」
「あぁ、あの大会か」
中学の頃まで、僕もテニスをやっていたのである程度の試合は知っている。
テニスの試合は高校の部活動限定の大会と、高校で部活に入っていなくてもチームに所属していれば出られる大会に分けられる。
今回の大会は後者、それも年三回行われる大きな大会だ。
高校ならインターハイ、選抜の大会くらいの重要な大会だ。
「この前だって本選に行けたんだし、君はブロックシードだろ?」
ブロックシードとは予選の一番上と下の二名の事で紅羽は一番下だ。
因みに紅羽は前回上と下、二人を破って予選を突破している。
「お願い、応援に来てほしいの!!」
「まぁ、予定もないしいいよ」
「やった、約束だからね!! いけなくなったとか無しだからね!!」
「わかったから落ちつけ」
それから帰路に着いている間も、彼女は上機嫌だった。
「それじゃあ、またね」
「あぁ、それじゃあな」
そう言うと、彼女は家に入っていき僕は自分の家へ向かった。
高田さんと分かれると、声が聞こえてくる。
横に紅羽が僕の方を不満そうに見ながら、こっちを見てくる。
「学校からついてくるなんて、ストーカーか?」
学校からの視線は彼女の否、彼女達のものだった。
「ストーカーなんて酷いな~」
椎名さんが彼女の横から顔を出す。
「私達は、面白そうだからついてっただけだよ」
それをストーカーっていうんじゃないのか?
そう思ったが、もう言うのを諦める。
「何の漫画買ったの?」
「いや、買いたかったラノベは一つしかなくて僕は買えなかった」
「へぇ~、ラノベって何?」
「ライトノベルの略……ライトノベルっていうのは漫画の小説版みたいなやつ」
まぁ、彼女のような陽キャが知らないのは無理もない。
「面白い?」
「うん、まぁ」
「ふ~ん」
そう言うと、紅羽の方を見る。
「紅ちゃんは読んだことある?」
「うん、あるよ」
「どう? 面白かった?」
「まぁ、好みは分かれるかな」
「そっか~、ねえ誠一君今度そのラノベってのを貸してくれない?」
「それは別にいいけど、どんなのがいいの?」
「う~ん、誠一君のお勧めで」
それが一番困る。
だってそうだろ?
漫画やアニメに問わず、お薦めを渡して彼女が気に入るどころか嫌いな可能性も含まれるのだ。
「日和、恋愛系のアニメ好きだよね」
「そりゃまぁ、華の女子高生ですから」
「恋愛か」
異世界物か現実世界物か迷ってしまう。
初心者には現実世界の方がわかりやすい気がする。
「なら、今度持っていくよ」
「うん、お願い」
そう言うと、僕の乗る電車が来る。
そうしてしばらく何気ない会話をして、椎名さんの降りる駅に着く。
「それじゃあ、また明日ね」
「うん、また明日」
椎名さんは手を振るので、見えなくなるまで手を振った。
「さて紅羽」
「何?」
「今日、部活だったよな?」
「今日は自主練だったの」
「それで僕のストーカーしていたと?」
「人聞きが悪いな~、君の行動を観察していただけなのだよ」
世間ではそれをストーカーというんですよ。
そう言った所で、彼女は認めないだろう。
「今度の土曜日って空いてる?」
「あぁ、何かあるのか?」
「私、今度大会の予選があるんだけど見に来てくれない?」
「あぁ、あの大会か」
中学の頃まで、僕もテニスをやっていたのである程度の試合は知っている。
テニスの試合は高校の部活動限定の大会と、高校で部活に入っていなくてもチームに所属していれば出られる大会に分けられる。
今回の大会は後者、それも年三回行われる大きな大会だ。
高校ならインターハイ、選抜の大会くらいの重要な大会だ。
「この前だって本選に行けたんだし、君はブロックシードだろ?」
ブロックシードとは予選の一番上と下の二名の事で紅羽は一番下だ。
因みに紅羽は前回上と下、二人を破って予選を突破している。
「お願い、応援に来てほしいの!!」
「まぁ、予定もないしいいよ」
「やった、約束だからね!! いけなくなったとか無しだからね!!」
「わかったから落ちつけ」
それから帰路に着いている間も、彼女は上機嫌だった。
「それじゃあ、またね」
「あぁ、それじゃあな」
そう言うと、彼女は家に入っていき僕は自分の家へ向かった。
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