勇者の弟子と魔王の子孫

ゆうき

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プロローグ

魔王レリック

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 僕レオナ・フリストは火葬場において、父のレリックの遺体を見つめる。
 父は偉大な魔王であり、父の望みである魔族の安心して暮らせる世界は父の死を持って果たされた。
 互いの勇者と魔王が倒れた事でお互いの最高戦力が消えた。
 なのでお互いに国交を結ぶという形に流れ込んだのだ。
 
「父上……」
「私がもう少し早く着いていれば……!」

 魔王幹部のレオンが唇を噛み締めながらいう。

「いや、君が間に合った所で結末は変わらなかったと思う」

 厳しい言い方かもしれないが、これは事実だ。
 魔王幹部と言っても、魔王の父にしてみればなんら脅威でもないほど実力差なのだ。

「ですが!」
 
 彼もわかっているがそれでも駆け付けたかったのも分かる。

「気持ちはわかるが、お前が行った所で足手まといになるか、もしくは二人とも倒されて勇者は生きていたかもしれない、そしたら僕らは終わりだ…違うか?」

 もしもの話だが、父上なら迷いなく仲間を護ることに全力を尽くすだろう。
 そうして守りながらだと恐らく勇者側が勝ち、我らは滅んでいたことだ。

「そんな言い方……」
「事実を言ったまでだ……」

 僕はそう言って背を向け歩き出す。

「どこへ行くの?」

 幹部の一人のアルナが声をかけてくる。

「少し、一人になりたい……」

 僕はそう言って立ち去ろうとしたが足を止める。

「レオン」
「は、はい!」
「お前が生きててくれてよかった……」

 そう言って僕は外に出る。
 星々の綺麗な夜だった。
 
「綺麗な夜ね」

 振り返ると幼馴染のカエラが目の前にいた。
 綺麗な夜空の光が彼女の綺麗な白い髪に反射している。

「カエラか、どうした? こんな夜更けに……」
「あなたのことが心配だったのよ、その、お父様が……」

 僕のことを心配して来てくれたのだ……。

「大丈夫、僕なら大丈夫だから」
「ほんと?」

 まぁ、完全には大丈夫ではないが、父はやれる事をやった。
 僕にとっては最高の父だ、誇りに思っている。

「それより、ここは冷えるよ。 ほら、中に入ろう」

 僕は羽織っていたマントを彼女にかける。
 彼女は少し照れ臭そうな顔をして頷くと、僕達は部屋に戻った。

「ねぇ、私達、旅に出ない?」
「どうしたんだ? 急に」
「ほら、戦争中で中々休めなかったじゃない? だから、どうかな?」

 旅か……それもいいかもしれないな。
 もう戦いもない平和な世界、わだかまりがないかは心配ではあるが、僕達ならどうという事はないだろう。

「条約が締結したら旅に出るのもいいかもな」
「よし、じゃあ決まりね!」
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