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32話

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「私も出来たわ」
「上手いじゃないか」

 ルラほどではないが、年相応らしい可愛らしい剣の絵が出来ていた。

「でしょ~!」

 そう言って楽しそうに、そして誇らしそうに背中を反らせる彼女。

「じゃあどんどん書いて行こう!」
「わかった……」
「任せなさい!」

 僕達は黙々と作業を進める。

 よかった、何とかなったみたいだ……。

 リラの方に目を向けると、先程までの落ち込んでいたリラは楽しいのか、すっかり絵を書くのに夢中になっていた。
 僕は彼女には落ち込みよりも、楽しそうに何かに打ち込む姿の方が好きだ。
 
 それにしてもあのルラがな……。

 今度はルラの方を見つめる。
 引っ込み思案で、いつもリラの後ろにいた彼女が、あんな行動をするなんて……。
 そう思いながら彼女をみていると彼女はジト目で、見てから手でまだ発達していないであろう胸を隠す仕草をして、

「………何?」
「ん、何でもない……」
「………そう……」

 彼女は再び作業に戻る。
 僕も絵をかき進める。

「サウルは何かいてるの?」
「ん? 頭に浮かんだ絵……」

 僕が書いたのは五芒星と六芒星だ。
 前の世界では魔法と言えば、大体はこれだった。

「何これ……」
「どうしたの?」
「う~ん、わかんないけどこれ、知ってるような気がする」
「私も……」
「どこかで見たとか?」
「う~ん、多分……」

 一瞬蒼なのかと思ったが記憶にないということは恐らく違う。
 どこかで見たものだろう。
 しばらくして僕42枚、リラとミラ24枚ずつ書き終えた。
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