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第二十九話

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「ちょっと相談がありまして……」
「相談?」
「はい、リラとルラの事なんですが」
「あの双子ちゃんが、どうかしたの?」
「はい、彼女たちは父様達にそれぞれリラは剣術、ルラは魔法を教えて欲しいそうです」
「私は別に構わないけど……」

 ミリーはウオラを見つめる。
 ウオラはというと僕を見つめ、

「……なぁ、サウル……」
「なんでしょう?」
「両親には確認は取ったのか?」
「取りましたがダメでした」
「ルースは堅いからな~」
「それで、父様にお願いがあります」
「説得しろってか?」
「はい」
「家族のことに首を突っ込むのは俺もあまり好ましくない」

 確かに家族ではない人間が首を突っ込むのはお門違いだ。

「やりたいと思うことなら、人生一度切りなので可能な限り後悔させてあげたくないんです」
「そうはいってもなぁ~」

 問題は山積みだ。
 剣はいわば殺し合いだ。

「彼女達のステータスを見てみない事には何とも……」
「そうですよね……」

 適性がわからないのに覚えても、何の意味もない。
 
「一度向こうの両親とも、私達で話してみることにしましょう」
「そうだな……」
「お願いします……」
「あと、ルラちゃんにはまだ伝えてないんでしょ? 」
「はい、ぬか喜びさせたくなくて……」
「早く伝えなさい……」
「決まったら、サプライズしてあげたいんですが……」
「はぁ~、わかったわ。 私が明日予定を聞きに行ってくるわ……」
「すみません」
「この話は終わり、ここまで! いいわね?」
「はい……」
「それでサウル?」
「何でしょう?」
「節度はちゃんと守りなさいよ……」
「だから六歳児に何言ってるんですか……」
「大事な事よ!――――ー」

 そう言いながらいつも通りの会話に戻るのだった。

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