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第十三話 隠れ鬼?

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「さてと……」

 目の前の木の後ろの方を見る。
 木の裏に顔をのぞかせるとそこにはリラが隠れていた。

「わかりやす過ぎるだろリラ」

 驚いたようにこちらを見ている。

「え、どうして!?」
「足音が途中から一つしかなかったから」

 はじめの方足音は二つあったが、途中で一つの足音が奥に歩いて行ったのはわかっていた。
 リラは見つかると笑顔で見る。
 観念したか……。
 そう思っていると全力で逃げだす。

「逃がすか!」

 予測していたので直ぐに追いかける。
 しかし、リラは何かに躓き体勢を崩した。

「きゃっ……」
「リラ!」

 彼女の手を引っ張ると体勢を立て直した。
 
「大丈夫か?」
「う、うん……」
「全く、リラは危なっかしいな……」
「あはは~」

 照れくさそうに顔をかく彼女。

「さて、」

 見渡すが、ルラの姿が見当たらない。 

「どこに隠れているんだ?」

 そうして歩いて行った方を探すがいない……。
 耳を澄ますが、流れるのは風の音で草木が揺れた音だけだ。
 まるで完全に気配を消した忍者のようにじっと息をひそめていた。
 そう思って探していると、近くでぺらっと紙が擦り切れる音がした。

「ん?」

 音の方を探すと本を開き寝転がっているルラがいた
 気配を消しているわけじゃなかった。
 本に集中して消えていたのだ。

「ふむ、白か……」

 その発言に気が付いたのかこちらを見る。
 顔を見るとみるみる真っ赤になっていき、スカートを抑えるルラ。

「な、なな……」

 リラは状況を見ていたのか、呆れた感じでルラを見る。

「これはルラが悪いよ、なんて体勢で読んでるのよ……」
「だって隠れないとだから……」
「だからって……」

 呆れた顔をしているリラを無視してルラはジト目で見てくる。

「がっつり見てた……」
「すみません……」

 まぁ、餓鬼のパンツに興奮するほどそっち側の人間ではない……はず……。

「変態!」

 恥じらいながら吐き捨てたルラ。
 夕方まで彼女達と遊び、帰路に着くのだった。
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