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第十話 素のミリー

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「さて、サウル……」

 ウオラは座るとこちらを見る。
 
「何? 父様……」
「ここはお披露目だ」
「………はい……」
「重要な事がある!」

 その表情はとても真剣な顔だった。

 そんなに大事なことがあるのか!?

 内心驚きながら平静を装う。



「重要な事?」
「あぁ、これはお前にとって今後を左右する大事なことだ……」

 そんなに大事な事ってあるのか? 
 そうなら前持っていって欲しかった……。

「大事な事って……」
「大事な事………それは……」
「それは?」

 緊張感のある感じでそう言う。
 固唾をのみ込む。

 言うなら早くしてくれ!
 心の準備があるから!!

 今更だが覚悟を決める猶予がまだある。
 今なら諦めがつくというものだ。

「嫁さんを見つけることだ!!」
「んなわけないでしょ!!」
 
 ミリーがウオラの頭を叩く。
 勢いよくウオラの頭が下がる。
 
「痛いな! 何するんだよ!」

 頭を押さえながらウオラはミリーを見る。

「馬鹿なこと言う君が悪いんだよ! 君は少し黙り給え!」

 あら? 
 ミリーさんいつもと言葉遣いが違うぞ?
 いつもなら「馬鹿なこと言ってないで」とか、「貴方が悪いんでしょ?」というはずだ。

「素が出てるぞ」
「誰の所為よ全く……」
 
 呆れたようにウオラから視線を背ける。
 これが彼女の素ですか、実に可愛らしい……。
 そして視線をサウルの方に向ける。

「ここはお披露目、あいさつ回りみたいなものだから安心して……」
「はい、わかりました……」

 なんだ、挨拶だけか。
 大事のように言うので、てっきり人生で必要な儀式かと思ってしまった。
 まぁ、挨拶だけならどうと言うことは無いと思うサウルだった。
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