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第七十三話
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『ボギョォッ!?』
『レベルが3上昇しました』
真っ赤に燃え上がったダチョウを殴り飛ばし、最後に頭を叩き潰す。
戦っている最中、突然全身が燃え上がり突撃してきたのだが、先ほどの閃光の影響が抜けていなかったのと、そもそも私のレベルが上がっていたのもあって苦も無く撃破。
その身すべてが光となって溶けていった。
「よし、よし……くふ」
体がふわふわする。
太陽は今ちょうど天高くに上り時刻は昼頃。
金髪の彼女から情報を聞いて一日。ダチョウたちは基本的に群れで行動しているようで、蛾の魔石で目を奪えばあとは経験値の塊、レベルを上げるにはうってつけであった。
「ステータスオープン……」
―――――――――――――――――
結城 フォリア 15歳
LV 5244
HP 10406/10406 MP 634/26010
―――――――――――――――――
間に、合ったか。
「キヒ……」
なんだ、余裕だったじゃないか。
コキコキと首を鳴らし、案外あっさりと上がったレベルに口角が吊り上がる。
当初の予定では二日ほどかかるかもしれないと睨んでいたのだが思ったよりも早く『炎来』の推奨レベル上限にまで届いた。
MPこそ『スカルクラッシュ』や『ステップ』のせいで減ってはいるものの、無駄にSPを注ぎ込んだ『活人剣』の調子はすこぶる良好で、全身にあった疲労感は気が付けば消えていた。
むしろレベルが上がっていくほどに、全身の感覚がすさまじく鋭敏になっていくのを理解し、次へ、その次へと戦いたくなってしまう。
渇望とでもいえばいいのだろうか。足りない、この程度じゃ満足できない。
いつの間にか鋭く伸びた爪でポリポリと頬を掻く。
ボスを殺しに行こうか、なんて考えていた時だ。
「あれ? フォリアちゃん?」
ヒトの声が鼓膜を叩いた。
一人、二人、三人か。
武器は短剣、槍、そして魔法使いらしき杖持ち。最初に襲うなら短剣使いだろうか、素早いのをつぶしたほうが後々楽そうだし。
うん、そうしよう。
一直線に全速力で懐へ入り込み、首元へ顔を近づける。
甘い、いい匂いがする。
木々の明かりに照らされた白い首筋、おいしそう。
どうせこのダンジョンに居るならレベルは5000以下だ、大した反撃もできないだろう。
「やだ、そんな嬉しかったの? 久しぶり、元気にしてた!?」
「ぐぇっ!?」
「ちょっと汀、抱くにしてももう少し手加減しなさいよね。あたしたち適正レベルと離れてるんだから」
「げほっ、げほっ……あ、あれ……? 穂谷さん……?」
あれ?
今私、なにしようとしてたんだっけ……?
ふと気付けば目の前には笑顔の穂谷さん。後ろに立つ二人の女性はパーティメンバーだろう、呆れたような顔をした背の高い人と、微笑んでる人。
穂谷さん。蘇生した私を落葉で拾ってくれたり、今も使っているリュックサックをくれた優しい人。
いつの間に目の前にいたんだろう、全く気が付かなかった。
戦っている途中から妙に体がふわふわとして、現実感がなくなってきた辺りからあんまり覚えていない。
うーん? まあいいか。
「久しぶり」
「うんうん、久しぶり! ここまで来れるくらいレベル上げたんだ、すごいわね!」
「まあ、うん。へへ、穂谷さんもレベル上げに?」
「いや、私たちは本来もっと上が適正なんだけど、ずっと本格的な戦闘はしてなかったからね。徐々に鳴らしてるのよ」
君のこと見てたら、なんだかやる気が湧いてきたのよね。と、お茶目に笑いウィンク。
そうか、穂谷さんはもっとレベルが高いのか……
いや、待てよ。
ピンときた。
これは好機だ。レベルも高いし、彼女はたぶん信頼できる人。
レベルも相当高いらしいし、探索者として必然協会に所属しているが、あくまで一員としてだ。
「ねえ、穂谷さん。その……相談があるんだけど」
『レベルが3上昇しました』
真っ赤に燃え上がったダチョウを殴り飛ばし、最後に頭を叩き潰す。
戦っている最中、突然全身が燃え上がり突撃してきたのだが、先ほどの閃光の影響が抜けていなかったのと、そもそも私のレベルが上がっていたのもあって苦も無く撃破。
その身すべてが光となって溶けていった。
「よし、よし……くふ」
体がふわふわする。
太陽は今ちょうど天高くに上り時刻は昼頃。
金髪の彼女から情報を聞いて一日。ダチョウたちは基本的に群れで行動しているようで、蛾の魔石で目を奪えばあとは経験値の塊、レベルを上げるにはうってつけであった。
「ステータスオープン……」
―――――――――――――――――
結城 フォリア 15歳
LV 5244
HP 10406/10406 MP 634/26010
―――――――――――――――――
間に、合ったか。
「キヒ……」
なんだ、余裕だったじゃないか。
コキコキと首を鳴らし、案外あっさりと上がったレベルに口角が吊り上がる。
当初の予定では二日ほどかかるかもしれないと睨んでいたのだが思ったよりも早く『炎来』の推奨レベル上限にまで届いた。
MPこそ『スカルクラッシュ』や『ステップ』のせいで減ってはいるものの、無駄にSPを注ぎ込んだ『活人剣』の調子はすこぶる良好で、全身にあった疲労感は気が付けば消えていた。
むしろレベルが上がっていくほどに、全身の感覚がすさまじく鋭敏になっていくのを理解し、次へ、その次へと戦いたくなってしまう。
渇望とでもいえばいいのだろうか。足りない、この程度じゃ満足できない。
いつの間にか鋭く伸びた爪でポリポリと頬を掻く。
ボスを殺しに行こうか、なんて考えていた時だ。
「あれ? フォリアちゃん?」
ヒトの声が鼓膜を叩いた。
一人、二人、三人か。
武器は短剣、槍、そして魔法使いらしき杖持ち。最初に襲うなら短剣使いだろうか、素早いのをつぶしたほうが後々楽そうだし。
うん、そうしよう。
一直線に全速力で懐へ入り込み、首元へ顔を近づける。
甘い、いい匂いがする。
木々の明かりに照らされた白い首筋、おいしそう。
どうせこのダンジョンに居るならレベルは5000以下だ、大した反撃もできないだろう。
「やだ、そんな嬉しかったの? 久しぶり、元気にしてた!?」
「ぐぇっ!?」
「ちょっと汀、抱くにしてももう少し手加減しなさいよね。あたしたち適正レベルと離れてるんだから」
「げほっ、げほっ……あ、あれ……? 穂谷さん……?」
あれ?
今私、なにしようとしてたんだっけ……?
ふと気付けば目の前には笑顔の穂谷さん。後ろに立つ二人の女性はパーティメンバーだろう、呆れたような顔をした背の高い人と、微笑んでる人。
穂谷さん。蘇生した私を落葉で拾ってくれたり、今も使っているリュックサックをくれた優しい人。
いつの間に目の前にいたんだろう、全く気が付かなかった。
戦っている途中から妙に体がふわふわとして、現実感がなくなってきた辺りからあんまり覚えていない。
うーん? まあいいか。
「久しぶり」
「うんうん、久しぶり! ここまで来れるくらいレベル上げたんだ、すごいわね!」
「まあ、うん。へへ、穂谷さんもレベル上げに?」
「いや、私たちは本来もっと上が適正なんだけど、ずっと本格的な戦闘はしてなかったからね。徐々に鳴らしてるのよ」
君のこと見てたら、なんだかやる気が湧いてきたのよね。と、お茶目に笑いウィンク。
そうか、穂谷さんはもっとレベルが高いのか……
いや、待てよ。
ピンときた。
これは好機だ。レベルも高いし、彼女はたぶん信頼できる人。
レベルも相当高いらしいし、探索者として必然協会に所属しているが、あくまで一員としてだ。
「ねえ、穂谷さん。その……相談があるんだけど」
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