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34 “諦め悪いのは俺の専門分野だ” って言ったでしょ
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「わがままを言え。他のやつに言いにくいなら、俺がちゃんと聞いてやっから。なっ!」
俺は後押しをするように黒岩の背中をポンっと叩く。
「…俺ね、」
「うん。」
「…俺…本当はセンセのこと…めちゃくちゃ好き。」
「うん。」
「…大好き、死ぬほどめっちゃ愛してる。」
「死ぬほどかよ 笑」
「こんな俺でも…好きでいて…いいの?」
「お前が誰かを思うなんて、お前の自由だ。
俺が決めることじゃない。誰にもな。
だから、そんな顔してんじゃねぇーよ。
いつもの憎たらしい顔でもしてろ。」
「…ずるい。センセ、ほんとずるいよ。
俺の事、生徒としか思ってないくせに…好きでいていいなんて…ほんとにずるいよ。
諦めようとしてるのに、
なんでそうさせてくれないの…」
自分でも矛盾してることを言ってることはわかってる。だが、俺にもよく分からない。
これが正しいのか、間違っていることなのか。
生徒が教師を好き。
それを世間が許してれるだろうか。
いや、その前に性別の壁もあるだろう。
この世は腐ってて、
昔の考えを押し付けてるやつばかりだ。
だが、こいつはただ人を好きになっただけだ。
それがたまたまその関係だっただけのこと。
ただそれだけの事を昔の考えで押し潰してはいけない。時代が変われば人も変わる。
こいつは未来に満ち溢れた高校生だ。
この先もずっとある。俺よりも。
ならば支えてやるのが俺の仕事。
世間やらどうやらって、
難しく考えていたのは俺かもしれない。
俺は教師と生徒、ではなく、
人としてこいつに向き合って気持ちを伝えなければならない。
「あのな黒岩、今から俺は1人の人間として告白の返事を出す。」
だから俺は俺で、自分の気持ちに正直に答える。
「すまん…おれは、」
「ー待って!!!!」
突然、黒岩の声が響く。
ったく、びっくりして心臓が止まるかと思ったぞ。
この俺が自分の気持ちを繕わずに正直に伝えるなんて滅多にないぞ?
光栄な言葉をこいつは両手をバッと出し手慌てている。
「その先の言葉はまだ言わないで。
俺、まだセンセにアプローチしつくしてないし、それに状況が状況だしさ…答えを出すには、まだ早いんじゃない、?」
「まぁ、このままだとお前は振られるな。
このオレに。」
「って、ストレートに言うね、俺、傷ついちゃうよ…」
「こういうのはストレートに言わないと、
お前の気持ちにも失礼だろ。」
「…はは、そういうところも好きだけどさ。」
多少はにかみ顔で自分の右頬を撫でる。
「じゃあさ、時間をちょうだいよ。」
「? 時間?」
「そう、俺が卒業するまでの間、
俺は改めて、センセにできる限りアプローチをする。
脅迫とか何もなしで、
正々堂々と一人の人間としてセンセを口説く。
_だから、答えはその後でもいいんじゃない?」
「はぁ…それで、お前は諦められるのか?」
「まだ決まってません~!
先に未来を決めないでください~!!!」
「いや、俺にはわかる。」
「OK出すかもしれないでしょ!!!!
_それに、諦め悪いのは俺の専門分野だって言ったでしょ。」
ガキみたいに満面な笑顔で笑うこいつを見て、なんだか俺は、俺たちは、笑えてきてしまった。
安心したような、そうじゃないような。
まぁ、こいつが面倒な奴なことに変わらないがな。
笑いが途絶え始め、1呼吸つく。
スッキリしたような顔で、黒岩は俺の前に跪き、
俺の右手をとる。
「五十嵐 恋 さん、あなたが好きです。
こんな俺ですが、どうか、俺のわがままに少しばかり、付き合っていただけませんか。」
「…なんだよ、いきなり。」
「いや、ちゃんと告白してなかったなって思って。
俺にとって、世界一かっこいい先生を口説くんだ。
なら、見合う男にならなくちゃ ニコ」
「お前にとってじゃなくても、
俺は世界一のイケメンだ。」
「ーフフ ごもっっとも。それで、返事は?」
「_卒業までだぞ。」
俺は後押しをするように黒岩の背中をポンっと叩く。
「…俺ね、」
「うん。」
「…俺…本当はセンセのこと…めちゃくちゃ好き。」
「うん。」
「…大好き、死ぬほどめっちゃ愛してる。」
「死ぬほどかよ 笑」
「こんな俺でも…好きでいて…いいの?」
「お前が誰かを思うなんて、お前の自由だ。
俺が決めることじゃない。誰にもな。
だから、そんな顔してんじゃねぇーよ。
いつもの憎たらしい顔でもしてろ。」
「…ずるい。センセ、ほんとずるいよ。
俺の事、生徒としか思ってないくせに…好きでいていいなんて…ほんとにずるいよ。
諦めようとしてるのに、
なんでそうさせてくれないの…」
自分でも矛盾してることを言ってることはわかってる。だが、俺にもよく分からない。
これが正しいのか、間違っていることなのか。
生徒が教師を好き。
それを世間が許してれるだろうか。
いや、その前に性別の壁もあるだろう。
この世は腐ってて、
昔の考えを押し付けてるやつばかりだ。
だが、こいつはただ人を好きになっただけだ。
それがたまたまその関係だっただけのこと。
ただそれだけの事を昔の考えで押し潰してはいけない。時代が変われば人も変わる。
こいつは未来に満ち溢れた高校生だ。
この先もずっとある。俺よりも。
ならば支えてやるのが俺の仕事。
世間やらどうやらって、
難しく考えていたのは俺かもしれない。
俺は教師と生徒、ではなく、
人としてこいつに向き合って気持ちを伝えなければならない。
「あのな黒岩、今から俺は1人の人間として告白の返事を出す。」
だから俺は俺で、自分の気持ちに正直に答える。
「すまん…おれは、」
「ー待って!!!!」
突然、黒岩の声が響く。
ったく、びっくりして心臓が止まるかと思ったぞ。
この俺が自分の気持ちを繕わずに正直に伝えるなんて滅多にないぞ?
光栄な言葉をこいつは両手をバッと出し手慌てている。
「その先の言葉はまだ言わないで。
俺、まだセンセにアプローチしつくしてないし、それに状況が状況だしさ…答えを出すには、まだ早いんじゃない、?」
「まぁ、このままだとお前は振られるな。
このオレに。」
「って、ストレートに言うね、俺、傷ついちゃうよ…」
「こういうのはストレートに言わないと、
お前の気持ちにも失礼だろ。」
「…はは、そういうところも好きだけどさ。」
多少はにかみ顔で自分の右頬を撫でる。
「じゃあさ、時間をちょうだいよ。」
「? 時間?」
「そう、俺が卒業するまでの間、
俺は改めて、センセにできる限りアプローチをする。
脅迫とか何もなしで、
正々堂々と一人の人間としてセンセを口説く。
_だから、答えはその後でもいいんじゃない?」
「はぁ…それで、お前は諦められるのか?」
「まだ決まってません~!
先に未来を決めないでください~!!!」
「いや、俺にはわかる。」
「OK出すかもしれないでしょ!!!!
_それに、諦め悪いのは俺の専門分野だって言ったでしょ。」
ガキみたいに満面な笑顔で笑うこいつを見て、なんだか俺は、俺たちは、笑えてきてしまった。
安心したような、そうじゃないような。
まぁ、こいつが面倒な奴なことに変わらないがな。
笑いが途絶え始め、1呼吸つく。
スッキリしたような顔で、黒岩は俺の前に跪き、
俺の右手をとる。
「五十嵐 恋 さん、あなたが好きです。
こんな俺ですが、どうか、俺のわがままに少しばかり、付き合っていただけませんか。」
「…なんだよ、いきなり。」
「いや、ちゃんと告白してなかったなって思って。
俺にとって、世界一かっこいい先生を口説くんだ。
なら、見合う男にならなくちゃ ニコ」
「お前にとってじゃなくても、
俺は世界一のイケメンだ。」
「ーフフ ごもっっとも。それで、返事は?」
「_卒業までだぞ。」
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