死んでもお前の恋人にならない!!!

桜崎 零(サクラザキ レイ)

文字の大きさ
上 下
29 / 46

29 マジでこいつ嫌い

しおりを挟む
「っていう感じで俺は五十嵐くんと例の“約束”の為に日々努力を積み重ねていたんだよ。これも、愛の力だね♡」

「………はっ???」

今のが…約束…?

『いつか迎えに行ってもいい?』

例の約束が…これ?

「分かるわけねぇだろぉ!!!!!」

俺は奴の顔面を蹴り飛ばす。

「いっってぇ!!!」

「何をどうしたら約束になるんだよ!?ただ単にまた会おうとかそういう意味だと思ったわ!!!
なのになんで、迎えに行く=婚約 になるんだ!!!アホか!?アホなのか!?何をどうしたらそうなるんだよォ!!!!」

つまり俺は意味もわからない事に頭を下げたってことか????
はぁぁあああああ??????
とりあえず、俺が今やるべきことは1つ……

「てめぇ、1発殴らせろ。」

「なんでぇ!?」

焦る晃介の胸ぐらを俺はお構い無しに掴む。
元ヤンの力舐めんな。

「だってだって!五十嵐くんモテるじゃん!!!教師になったら更にモテると思ったし、あのクソ教師の所へ行くんじゃないかっておもったんだもん!!!」

「あの教師?」

「ほら、高校の時の担任だった」

「言いたいことはそれだけか?歯食いしばれ」

「まってまってまって!!!忘れちゃったの???あんなに親しそうにしてたくせに!!!まぁ、俺からしたら嬉しいけど…って拳で殴ろうとしないで!?!?」

戯言を並べながら俺の腕を離そうとする。その様子はあまりにも無様で哀れだった。

「…なんてな」

あまりにも無様だっな様子を見たせいか、殴る気すら消え失せてしまった。奴の胸ぐらをパッと離す。殴られる準備をしてしていたのだろうか、目をキュッと瞑ったまま固まっている。こういう所は昔の晃介と変わっていないのだと分かり少しだけ安心した。ストーカーなのに変わりはないが…。
待っても殴られないと思ったのか晃介はゆっくりと瞼を開く。

「お前の間抜けな顔を見てたら怒る気通り越してむしろ呆れたわ。それにせっかく俺好みの顔なのにアザを作るのも嫌だしな。性格はクソだけど。」

「五十嵐くん♡…いや、恋くん♡」

「名前で呼ぶな。あと近寄るな」

俺はクソみたいな部屋の床に腰を降す。辺り一面俺の写真だらけ…ほんとに気色悪い部屋だな。現実から目を背けるように天井を見上げる。天井を見て心を落ち着かせよう…
ーしかしそんな考えはあまかった。なぜなら天井には大きな俺の写真が…しかもよく見たら同人誌でありそうなベットに寝転び服がはだけている状態の俺が………

「ふぁ!?!」

「うん?あぁ、あれいいでしょ♡」

「いいでしょ♡じゃねぇーわ!!!俺あんなポーズしたことねぇぞ!?」

「だって、あれ俺が作ったんだもん。」

こいつの神経はどうなっているんだ。いくら好きな相手だからといって普通ここまでするか???…あっ、普通じゃなかったわ。

「作った……はぁぁああああああああぁぁぁ。」

俺はどデカいため息をわざとらしくつく。
一体俺でどんな妄想してシコってんだこいつ…。
もういいや、めんどくさい。やだやだやだ。もう全部めんどくさーい。
俺は天井を断念して床を見つめる。

「……会ってねぇよ。」

「うん?」

「お前が言うクソ教師に。」

俺はさっきの話へ戻す。

『忘れちゃったの???』

忘れるわけない…俺が先生のことを…忘れられるわけが無い。

「……俺が言うのアレだけど、なんで?」

「…うるせぇ。色々と事情があんだよ。」

「どんな事情?」

こいつ…問答無用で人の事情に入ってこようとするな。

「事情は事情だ。つか、俺のストーカーなら俺と先生が会ってるかどうかなんて分かんだろ。」

「あぁ、だって五十嵐くん迎えに行くまで会わないって決めてたんだもん。」

「しるか。とにかく、関わってくんな。」

会えないんだよ。
心配してくれた先生に対して俺は“あんなこと”をしてしまったんだから…。

「ふーん。まぁ、勝手に調べるからいいんだけど。」

調べんのかよこいつ…。もうツッコむのも相手にするのもめんどくさくなった。

「会ってないならいいんだ。問題は別にあるし。」

「…別?」

俺が不思議そうな顔をしていると奴はガサガサとポッケからスマホを取り出す。どーせまたくだらないことをするに決まってる。

「もちろん、黒岩のクソガキのことだよ♡」

何をするのかと思えば、いつ撮ったのか分からない黒岩の写真がスマホ画面に写っている。多分恐らくこれも盗撮だ。…こいつ本当にいつ撮ってんだよ。

「このガキ恋くんの大事な初体験(処女)を…しかもレイプまでしやがって……どうしてやろうか。」

このセリフ、きっとお前じゃなかったらとときめいたんだろうな…。赤羽先生が言っていたら確実にキュン死していたが、今(晃介)となってしまえばただキモイとしか捉えられない。

「どうしてやろうって…何する気なんだよ。まさか、手を出したりしないよな?一応お前教師なんだぞ?」

例えこいつだとしても元友人のやつから犯罪教師を出させる訳にはいかない…もう犯罪者半々だけど。

「まさか、そんな事しないよ。」

ケロッとした顔で言うので俺は一安心したが…それもつかの間ー

「手は出さないけど、学校やめさせることぐらいはできるよ?」

「辞めさせる?」

「そう!できないことないでしょ?だってレイプしてきたんだよ?例え自分の生徒だとしても庇う必要なくない?」

確かにその通りだ。こいつがまともな事を急に言うから驚いたが、レイプしてきたのは事実だし訴えれば辞めさせることもできただろう。中だしされたのだから証拠だってあったはずなのに…だけど俺はしなかった。いや、できなかった。
俺の生徒だから?先生に頼まれたから?

『…俺のこと…見捨てないで…』

このことばがずっと引っかかってるから?
いや、これらは全て言い訳だ。
違う、俺はただあいつに昔の自分を重ねてみていたのだ。昔の俺をー

「晃介。」

「うん?」

「頼む。それだけは辞めてくれないか?」

俺はもう一度晃介に深く頭を下げる。

「…なんで?なんであいつを庇うの?」

「…わからない。そんなの俺が知りたい。だけど思っちまったんだよ、あいつの未来を潰したくはないって。あいつの未来を見てみたいって…だから、頼む!!!」

「……。」

沈黙が続く。そりゃそうだ。普通訴えるのが正解だろう。自分の身を呈してまで庇う必要があいつにあるのだろうか?俺にだってわからねぇよ。
ーでも

『…見捨てないで…』

あんな顔でお願いされたら見捨てられねぇじゃねぇか。

「…分かった。恋くんがそこまで言うんだもんね。」

「ありがと。」



「じゃあ、その代わりに…













俺と付き合って♡」




マジでこいつ嫌い。




しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」  洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。 子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。  人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。 「僕ね、セティのこと大好きだよ」   【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印) 【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ 【完結】2021/9/13 ※2020/11/01  エブリスタ BLカテゴリー6位 ※2021/09/09  エブリスタ、BLカテゴリー2位

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話

あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ハンター ライト(17) ???? アル(20) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 後半のキャラ崩壊は許してください;;

処理中です...