死んでもお前の恋人にならない!!!

桜崎 零(サクラザキ レイ)

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12 俺はお前が嫌いだよ

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突然だが、神はいると思うか?俺は思わん。神なんて人間が生みだした存在に過ぎない。だが、本当に神なんて存在がいるとしたら、今から誓いを破ってしまう哀れな俺をどうか許してくれ。


俺はこの高校に来る前に2つ誓ったことがある。

一つは『ゲイ+童貞+処女』であること。
二つ目は俺の本性(性格)を隠し通すこと。

俺は今まで一度決めた事は何があってもやり通してきた。途中で挫折することは、俺のプライドが許さなかった。だがしかし、今の俺は全てのことがどうでもよくなってしまった。今考えられることは、意味のわからぬことを言い出すこの男(黒岩)を抹殺することだけ。

改めて俺は神に誓う、
今日俺はこの男の前で猫をかぶることをやめると。なのでお願いします。
この男を一発殴らせてください。

「俺はお前の進路を聞いてんだよ!!なのになんだ!大人は!とかそんなの知るかっての!!!勝手に話変えてんじゃねぇえ!!!結局お前は理由つけて自分の将来から逃げたいだけだろ?!!甘えてんじゃねぇ!!!嘘くさい笑顔?当たり前だろ?!こっちはお前に犯されてんだぞ?!しかも処女を自分の生徒に!!!俺の気持ち考えたことあんのかよ?!!こっちは悪夢だっての!!その上動画まで撮られて!!言っておくが俺はそんなんでへこたれねぇんだよ!!ばらしたきゃバラしてみろ!!舐めんな!!!生徒を利用?そんな事考えたことねぇよ!お前たちを利用して俺になんのメリットがあるんだよ!!!ふざけるのも大概にしとけよ!!!」

ゼェゼェしながら言い切った俺を見て、黒岩はハトが豆鉄砲食らったような顔をしていた。

「いや、あるだろ!いい大学行かせるとか!いい就職先に着くとか!」

「は?それのどこにメリットがあるんだよ」

「…は??」

「だいたい、いい大学とか就職先ってなんだ?給料がいいことか?そんなの誰が決めたんだよ。」

「いや、でも世間ではそうだろ。」

「世間がなんだよ、じゃあなんだ?教師はダメな職業なのか?」

「.........。」

「ダメな職業なんてないだろ。それに、いい大学とか行った生徒がいたとして凄いのはそいつであって俺じゃない。」

「.........。」

なにか、まずいことでも言っただろうか?黒岩は驚いた顔をしたまま固まってしまった。いや、事実を知っているだけだし悪いことは言っていないはず?いや、そんなことより、

「進路の話に戻すが、俺はお前が就職する事に反対はしない。」

「…えっ??」

「だからさっきっから言おうとしてるのに、お前が話聞かねぇから!」

「なんで??」

「お前が考え出して決めたのが就職なら、俺は反対しない。むしろ賛成する。けど、そうじゃないのなら俺は認めん!」

「…大学行けとか言わないの?」

「いや、大学行くかどうか決めるのはお前だろ?」

「そうだけど…。」

「なんだ?行けって言って欲しかったのか?」

「…いや。普通言うもんだろ。」

「いいか、もしお前が決めた事を否定してくる奴がいたら俺に教えろ。全員黙らせてやる!!!」

「なんでそこまで…。」

「当たり前だろ?教師なんだから。」

「…そうじゃなくて、あんたをレイプした生徒なのに、どうしてそこまで出来んだよ。普通見捨てるか警察突き出すだろ…。」

「…まぁ、俺はお前が嫌いだよ。プリントくれねぇし、可愛げもねぇ。挙句の果てにはレイプするし。…いや、お前だけじゃない。キャーキャー言ってるだけの女子生徒も嫌いだし、初体験を聞いてくるお前の馬鹿な友達も嫌いだ…。けどな、俺は見捨てない。どんなに嫌われようが、嫌いな生徒だろうが、俺は誰一人見捨てない。」

「.......なにそれ笑。じゃあ俺が人を殺したとしても見捨てないわけ?笑。」

「おう!例えお前が犯罪者になろうが俺はお前を見捨てねぇよ。それだけは言いきれる。…あと、お前が大人をどんな風に思ってるかは知らないが、俺が思う大人は、子供がどんな失敗したとしてもチャンスを与えて導くのが大人だと思う。」

「....あっそ。」




その後の黒岩は大人しかった。いくつかの俺の質問に答え無事終えた。

「じゃあ俺、そろそろ帰る。」

「お、おう。気をつけて帰れよ。」

教室のドアに手をかけた瞬間黒岩はピタリと止まった。なんだ?忘れ物でもあるのか?

「.........先生。」

「なんだ?」

「俺…もう1回考えてみるよ。進路のこと。」

そう言い残し教室を出た。黒岩の顔はいつもよりどこか晴々とした表情をしてた。

ん?あいつ考え直すって言ったか?


その日、黒岩との三者面談?は無事?終了した。
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