死んでもお前の恋人にならない！！！

10 やめたげて！おじさんのライフもうゼロよ？！！

｢へ～、お前の実家ラーメン屋なのか｣

｢うっす！！！｣

霧島(ｷﾘｼﾏ)さくら、以前俺に初体験の事を聞いてきた脳みそチンパンジー以下のオスざる。どうせ将来の事なんて何も考えてないと思ってたが以外にも実家のラーメン屋を継ぐという夢を持っていた。

｢俺、父親が小さい頃に死んじまって、下に双子の妹と弟がいるんです。家がラーメン屋ってこともあって、俺がよく面倒を見てたんすよ。まぁ、今では兄ちゃん兄ちゃんって俺に懐いちゃって笑。でも、その分母さんとの思い出があいつらは少ないんじゃないかって思って…だから、 俺が継げば母さんも余裕が出来て、あいつらに構ってあげられるんじゃないかって！｣

こいつ…
泣かせるんじゃねぇよ!!!…ｸﾞｽﾝ
霧島は父親が小さい頃に他界をしている。そんで、父親が残したラーメン屋を母親が継いだ。こいつ、自分のためじゃなく、家族の為とか…
ごめんな、脳みそチンパンジー以下とか思って、お前はただのオスざるじゃなかったよ！
まぁ、だからといって俺に恥をかかせた事はまだ許さないがな？

｢そうか…お前も色々苦労してたんだな。｣

｢苦労ってか、どっちかと言うと母さんの方が苦労してるんすよ。俺のは苦労に入りませんよ。｣

もうやめて！！！これ以上は俺の涙腺が持ちこたえられなくなっちゃうでしょ？！
27歳のおじさんが保護者と生徒の前で鼻水垂れ流して泣くって、相当なダメージになるよ？！やめたげて！！おじさんのライフはもうゼロよ？！

｢あんたって子は…自慢の息子だよ…｣

母親も涙を流している。そりゃあそうでしょう。自分のことよりも家族を第一に考えているええ息子さんやん！！けどな？オタクの自慢息子、俺に初体験を聞いてきたんですよ？？しかもみんなの前で。いや、決して根に持ってるとかそんなんじゃないから別にいいけど…。まぁ、さすがにこの空気の中でその事を言える訳もなくここはパーフェクトティーチャーで答えておこう。

｢本当に、自慢の息子さんですね！(嘘)
霧島、頑張れ！俺は応援するぞ！！｣

｢先生…｣
｢先生…｣

霧島親子が俺をキラキラした目で見てくる。
そうだろう、自分の夢を応援されて嬉しくないわけが無いし、自分の息子を褒められて喜ばな親はいない。まぁ、俺の完璧すぎる笑顔と回答にその眼差しで見てくるのもしょうがないか！


あと、霧島…




そのアホズラウケるぞ？

｢今日は本当にありがとうございました。｣

｢いえいえ。本当にいい息子さんを持ちましたね。｣

｢あの、これからも息子をよろしくお願いします！！｣

｢もちろん！｣

よろしくしたいとは思わないけどな？まぁ、担任になった以上は面倒見るが、それ以外の事はよろしくする気はとことん無い！！
そんなことを思っていると、親の様子を伺いながら霧島が俺に近ずいてきた。

｢先生…｣

内緒話でもするように俺に小声で話しかけてくる。なんだ？俺は、お前の事タイプじゃねぇぞ？

｢この前の事ごめん！俺先生の事誤解してたわ。先生があまりにも完璧だから、腹黒かったりしてとか思ってて。｣

ほぉ、こいつは勘もいいようだ。お前の言う通り俺は自分でも認める腹黒さを持っている。お前の考えは認めよう…
だがしかし、勘のいいガキは嫌いだ。

｢そんなふうに思われてたのか、先生ショックだな。｣

｢け、けど今日ので先生がそんな人じゃないってわかったから！！ごめん！｣

｢いいよ。そんな事より親御さんがお前を待ってるぞ？｣

｢あっ、やべぇ！じゃあな先生!!!｣

霧島よ、今回のことは水に流してやる。
なぜなら俺は心も広いからな。


さて、次はいよいよ黒岩の番。気を引き締めていかねぇと。