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05俺のわがまま聞いてね、先生
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「プリントなかったら言ってね。」
配っているのは進路選択と三者面談のプリント。
3年はすぐ進路を選択しなきゃいけない。
夏からはもっと本格的になるし、受験勉強もある。その上保護者と向き合わなきゃいけない大切な時期。
そんな時期にたかが一年の俺がなんで務めることに...
だからやりたくなかったんだ。
担任なんて。
「書いて出した人から帰ってね♡」
「ちゃんと親に見せるんだぞ。」
次々とプリントが出されていく。
専門、大学、就職など様々な奴がいる。
中にはまだ決まってない奴ももちろんいる。
厄介なのがこいつらだ。
3年になる前には多少目星をつけている
ならいいものの、
まったく将来が見えませんって
奴にだけは当たりたくない。
まぁ、そういう奴らを炙り出すための
面談ってことだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
30分後_
よし、ガキども帰ったな。
初日にしてはまずまずだな。
とりあえずこれを職員室に持って行って_
あれ、1枚足りねぇ…
ったく、だしとけって言ったのに、
誰だよ出してねぇーやつ。
名簿を見て名前を確認する。
黒岩 哲(クロイワ テツ)。
どうやら俺と目があったガキが
プリントを出してないにもかかわらず
教室を出ていったらしい。
面倒事増やしやがって…
「すみません川名先生。
このプリント職員室へ運んでもらっても
いいですか?」
「構いませんよ♡」
いちいち上目遣いで答えんなよ!!!
気持ち悪い!
「ありがとうございます。」
さぁて、黒岩は何処へ行きやがった。
まさか帰ったりしてないよな…
とりあえず
下駄箱を確認して帰ったかどうか判断しねぇーと。
靴があったからまだ帰っていないはず…
どこいったんだよ…
まだ慣れてもいない学校中を
かれこれ15分ほど探し回っていると_
なんだここ。
5階の奥に立ち入り禁止の扉があることに
気がついた。
「…まさかな。」
そう思いながら扉のドア部に手をかけると、
ーガチャッ
あきやがった。
ゆっくりとドアを押しすと、
ホコリだらけの部屋の中に
1人寝そべっている黒岩を見つけた。
「こんな所で何してるんだ?黒岩。」
すると奴は起き上がるなり、
「なんですか?ニコッ」
と言いいながらわざとらしい笑顔を俺に向けてきた。
なんですか?じゃねぇーよ。ふざけてんのか!
てかそのわざとらしい笑顔しやがって、
(人の事を言えない。)
俺はイライラを隠しながら話し続けた。
「プリント出してないだろ?」
「あ~、出さなくても大丈夫ですよ。
俺、就職するんで。」
何が大丈夫なんだよ!ならとっとと出せ!
「ならプリント出して貰えるかな?
一応集めなきゃいけないから。
それに、黒岩が何になりたいのか
知っておきたいし。」
「…よく言うよ。
本当はそんなこと思ってないくせに。」
「え?」
「すいません。
明日出すんでもう帰ってもらって大丈夫です。」
お前がプリント出さねぇと帰れねぇんだよ!
「まだ悩んでるのなら相談乗るよ。
まだ教室あいてるし。」
本当は面倒臭いがプリントのためだ、
仕方なく提案してやった。
すると、やつの顔はわざとらしい笑顔ではなく、
今度はさっきの不機嫌な顔に変わっていた。
「…なんで、いい先生ぶってるんですか?」
「えっ、」
「今の先生、素じゃないでしょ?その笑顔も。」
一瞬ドキッとした。
俺は今まで一度も素じゃないと
バレたことがなかったのに…
なぜ分かったんだ?
…いや、落ち着け、はったりかもしれない。
ここは慎重に_
「まさか、これが俺の素だよ。ニコッ」
言葉を選んだつもりだったが、
思っていた答えじゃなかったらしく、
黒岩は更に機嫌が悪くなった。
すると、奴は思いついたように俺に尋ねてきた。
「じゃあ先生、俺のわがまま聞いてくれる?」
「ああ、いいよ。
俺に出来ることだったら。」
「あっそ。」
そう言うと、奴は立ち上がり扉の方へ行く。
ーガチャ🗝
ガチャ?え?今、鍵閉めた?
てかこいつデカ!?
身長173cmの俺より10cm以上ある。
はるかにある!
普段何食ったらそうなるんだよ!
俺は173で止まっちまったのに!!!
いや、今はそんな場合じゃない。
「…黒岩?」
そうこう考えているうちに
奴はどんどん近づいてくる。
背中に硬い感触が伝わり、
これ以上後ろへは進めないと知る。
戸惑っている俺に
奴は自分のネクタイをシュルシュルと取り、
俺の手首につけてきた。
「え?」
なにこれ、取れねぇっ!!?
「…黒岩くん、一体なにを?」
俺の様子を見て面白くなったのか、
今度はわざとらしい笑顔ではなく
にっこり笑って、
「じゃあ俺のわがまま聞いてね、先生。」
......はい?
配っているのは進路選択と三者面談のプリント。
3年はすぐ進路を選択しなきゃいけない。
夏からはもっと本格的になるし、受験勉強もある。その上保護者と向き合わなきゃいけない大切な時期。
そんな時期にたかが一年の俺がなんで務めることに...
だからやりたくなかったんだ。
担任なんて。
「書いて出した人から帰ってね♡」
「ちゃんと親に見せるんだぞ。」
次々とプリントが出されていく。
専門、大学、就職など様々な奴がいる。
中にはまだ決まってない奴ももちろんいる。
厄介なのがこいつらだ。
3年になる前には多少目星をつけている
ならいいものの、
まったく将来が見えませんって
奴にだけは当たりたくない。
まぁ、そういう奴らを炙り出すための
面談ってことだ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
30分後_
よし、ガキども帰ったな。
初日にしてはまずまずだな。
とりあえずこれを職員室に持って行って_
あれ、1枚足りねぇ…
ったく、だしとけって言ったのに、
誰だよ出してねぇーやつ。
名簿を見て名前を確認する。
黒岩 哲(クロイワ テツ)。
どうやら俺と目があったガキが
プリントを出してないにもかかわらず
教室を出ていったらしい。
面倒事増やしやがって…
「すみません川名先生。
このプリント職員室へ運んでもらっても
いいですか?」
「構いませんよ♡」
いちいち上目遣いで答えんなよ!!!
気持ち悪い!
「ありがとうございます。」
さぁて、黒岩は何処へ行きやがった。
まさか帰ったりしてないよな…
とりあえず
下駄箱を確認して帰ったかどうか判断しねぇーと。
靴があったからまだ帰っていないはず…
どこいったんだよ…
まだ慣れてもいない学校中を
かれこれ15分ほど探し回っていると_
なんだここ。
5階の奥に立ち入り禁止の扉があることに
気がついた。
「…まさかな。」
そう思いながら扉のドア部に手をかけると、
ーガチャッ
あきやがった。
ゆっくりとドアを押しすと、
ホコリだらけの部屋の中に
1人寝そべっている黒岩を見つけた。
「こんな所で何してるんだ?黒岩。」
すると奴は起き上がるなり、
「なんですか?ニコッ」
と言いいながらわざとらしい笑顔を俺に向けてきた。
なんですか?じゃねぇーよ。ふざけてんのか!
てかそのわざとらしい笑顔しやがって、
(人の事を言えない。)
俺はイライラを隠しながら話し続けた。
「プリント出してないだろ?」
「あ~、出さなくても大丈夫ですよ。
俺、就職するんで。」
何が大丈夫なんだよ!ならとっとと出せ!
「ならプリント出して貰えるかな?
一応集めなきゃいけないから。
それに、黒岩が何になりたいのか
知っておきたいし。」
「…よく言うよ。
本当はそんなこと思ってないくせに。」
「え?」
「すいません。
明日出すんでもう帰ってもらって大丈夫です。」
お前がプリント出さねぇと帰れねぇんだよ!
「まだ悩んでるのなら相談乗るよ。
まだ教室あいてるし。」
本当は面倒臭いがプリントのためだ、
仕方なく提案してやった。
すると、やつの顔はわざとらしい笑顔ではなく、
今度はさっきの不機嫌な顔に変わっていた。
「…なんで、いい先生ぶってるんですか?」
「えっ、」
「今の先生、素じゃないでしょ?その笑顔も。」
一瞬ドキッとした。
俺は今まで一度も素じゃないと
バレたことがなかったのに…
なぜ分かったんだ?
…いや、落ち着け、はったりかもしれない。
ここは慎重に_
「まさか、これが俺の素だよ。ニコッ」
言葉を選んだつもりだったが、
思っていた答えじゃなかったらしく、
黒岩は更に機嫌が悪くなった。
すると、奴は思いついたように俺に尋ねてきた。
「じゃあ先生、俺のわがまま聞いてくれる?」
「ああ、いいよ。
俺に出来ることだったら。」
「あっそ。」
そう言うと、奴は立ち上がり扉の方へ行く。
ーガチャ🗝
ガチャ?え?今、鍵閉めた?
てかこいつデカ!?
身長173cmの俺より10cm以上ある。
はるかにある!
普段何食ったらそうなるんだよ!
俺は173で止まっちまったのに!!!
いや、今はそんな場合じゃない。
「…黒岩?」
そうこう考えているうちに
奴はどんどん近づいてくる。
背中に硬い感触が伝わり、
これ以上後ろへは進めないと知る。
戸惑っている俺に
奴は自分のネクタイをシュルシュルと取り、
俺の手首につけてきた。
「え?」
なにこれ、取れねぇっ!!?
「…黒岩くん、一体なにを?」
俺の様子を見て面白くなったのか、
今度はわざとらしい笑顔ではなく
にっこり笑って、
「じゃあ俺のわがまま聞いてね、先生。」
......はい?
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