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EXTRA STAGE1

第36話 ロロ

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 ラフィナの家族を救出する。
 その為に俺たち二人は、彼女が通って来た異世界へのゲートに入った。
 時間は今も停止している。
 だが、ゲートを進んで行くと俺たちの転移は完了した。

「到着」
「ここがラフィナの世界か」

 崖の上から見える世界には緑が一面に広がっている。
 その中央にはそびえ立つ巨大な大木が見えた。

「あれは世界樹」

 俺が気になっているのに気付いたのか、ラフィナが答えてくれた。

「あれは世界の命そのもの」

 世界樹が存在する異世界は複数あったが、これほど巨大なのは初めてかもしれない。

「……ロロの居場所は?」
「わたしの家」

 ラフィナが指を向ける。
 世界樹の手前に大きな城が見えた。

「もしかしてお姫様なのか?」
「うん」

 堕天使でお姫様。

「つまり人質は王族?」

 肯定するようにラフィナは頷いた。

「国を巻き込んだ騒動というわけか」
「……誰もロロに勝てなかった」
「そうか。だが安心しろ……今は俺がいる」
「ん……ありがと、メグル」
「それじゃ――行くか」

 言ってラフィナの手を掴み俺は飛行魔法を使う。
 そして城まで一気に飛んでいった。



         ※



「中の案内は頼むな」
「任せて」

 先に進むラフィナの跡を追って、俺は城の中に入った。
 並んで歩いても余裕のあり余っている廊下には、高級感のある装飾品が並んでいる。

「時間、ずっと止まったまま」

 ラフィナな城のメイドたちを見ながら、そんなことを言った。

「そのほうが都合がいいだろ?」
「ロロも止まってる?」
「だな」
「メグル、すごい……」

 抑揚のない声音の中に、微かに感心するような響きが含まれていた。

「ここ……王の間」
「中にロロがいるんだな?」
「ん……」

 俺は王の間に繋がる荘厳な扉を開いた。
 すると――

「やあ」

 その声は俺のものではない。
 扉の先――王の間の最奥の玉座に、威風堂々と腰を落とす少年の姿。

「へぇ……時間が停止した世界の中で動けるのか」

 少しだけ俺は感心していた。

「僕の周囲の理だけ少しだけ変えさせてもらったよ」
「俺の干渉を超えたか」
「ふふっ、僕はとても驚いたよ。地球にいながら無数の異世界の理にまで干渉してくるなんて……流石は最高神アルティムだ」
「いや、俺はアルティムじゃないぞ」
「ぇ……?」
「狭間巡だ」
「――誰っ!?」

 笑みを浮かべていた少年――ロロの表情が驚愕に変わった。

「ただの人間だ」
「……嘘を吐いてますね? あなたは本当はアルティムなのでしょ?」
「いや、だから違うって」

 嘘を吐く理由などない。

「ふむ……どうやら僕は舐められているらしい」

 ロロは立ち上がった。
 同時に姿が消えて、一瞬で俺の目前に現れた。

「なら、僕の力を少しお見せ――ぐおおおおおおっ!?」

 現れた瞬間、ロロは吹っ飛び壁を貫きどこまでも飛んでいってしまう。
 その原因は恐らく、

「すまない。鼻息が当たってしまったようだ」

 俺の鼻息しかないだろう。
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