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4巻
4-2
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◇
先にやって来たのは、隊長の上役だった。
「お待たせしたようだな。呼びに来た者も混乱していたから、いまいち要領を得なかったが……貴族に連なる者に無礼を働いたのか」
カインズが対応する。
「ご苦労様です。私はファスティ領主様の筆頭執事で、カインズと言います。呼び出しに応じていただきありがとうございます」
「ファスティ子爵の執事殿でしたか。それで何があったのですか?」
「ええ、今から説明します」
「カインズさん、ちょっと待ってもらえますか?」
カインズが説明を始めようとしたところで、俺は止めた。領主が来てからのほうがいいんじゃないかと思ったのだ。
上役が訝しげにこちらを見てきた。
「……カインズ殿、こちらの方は?」
「今回の被害者で、私の主の賓客です」
少し目を見開いてこちらを見てくる上役。まだ疑ってるな。
上役はさらにカインズに尋ねる。
「彼はどういった方で? そもそも、私がどのような経緯でここに呼ばれることになったのかわからぬのですが。申し訳ないが、詳細をお聞きしても?」
「少々お待ち願えますか? ノート様、まだ説明を始めてはいけませんか?」
「もうすぐ領主が到着するので、それを待ってからのほうがよいかと……」
カインズの問いに答えていると、ファスティ領主が到着した。
領主はカインズに声をかける。
「カインズ、いったい何があったんだ? いつも落ち着いているお前にしては、珍しく手順を飛ばしたやり方だったが」
「経緯については今からご説明します。では上役のあなたも一緒にお聞きになってください」
カインズは上役に言ってから、俺のほうに視線を向ける。
「私が見たところからしか説明ができませんので、ノート様は補足をお願いいたします」
俺が首肯すると、カインズは話し出した。
「私が領主に用事を申し付けられ、邸から各ギルドがある通りに向けて歩いていますと、前のほうで、ノート様と兵士の隊長が話をしているのを目にしました。気になって近づいたところ、この隊長がノート様に向かって暴言を吐いていたのです。領主の客人に対してなんという口を利くのだ、そう思って止めに入ると、今度は私に対しても暴言を……」
カインズはため息を吐き、さらに続ける。
「その後、この隊長は私に詫びるまで少し時間が欲しいとか適当なことを言い、ノート様を牢屋に入れると言い出しました。それで私がノート様は領主の大事な客人だと伝え、ノート様も説明をなさいました。それで、このまま事態が収まるとは思えなかったので、隊長の上役、そして領主に来ていただいた次第です」
カインズが目配せしてきたので、俺も話すことにした。
「私がこちらに伺ったのは、領主に王都での私の滞在場所を伝えるためだったんですが、それでこいつと揉めることになりました。あとはカインズさんが言った通りで、このままでは私は、王城に行くことはできないと思っています」
とりあえず経緯を話したけど、上役の人が頭を抱えているなー。
領主は領主で、どうやって収めたらいいのかと悩んでいる。そして困惑げに尋ねてくる。
「ノート殿、一連の流れに誇張はないかね?」
「私がどうやって誇張を行えると? というか、ほとんどの説明をしたのは、カインズさんですし」
「そうだね。もし信じなければ、自分の家令を疑うことになるんだよね」
俺は、領主に苛立ちをぶつけるように告げる。
「それでどうされますか? このままだと、どう頑張っても私が王城に行くことは叶わないようです。領主様の顔を立ててここまで参りましたが、王城どころか貴族街の入り口で拒否されてしまっているのですから」
俺は首を左右に振り、付け加える。
「私としては、領主の面目を潰すような真似はしたくないですが……お暇したい気持ちでもあるのですよ」
敬語は慣れないなと思っていると、領主が慌てて言う。
「いやいやいや、そんなことは言わないでほしい。この件は私とカインズで責任を持って収めるから。今回の謁見は、私が王から直接指示を受けているのだ。私が責任を持ってノート殿を王の御前までお連れすることを確約するよ!」
会話を聞いて、顔色を悪くする兵士達。
王という言葉を再び聞いて、今さらながら驚いてるんだろうな。
そんな彼らを尻目に、俺はいじわるするように言う。
「領主がそうまで言うのなら、態勢が整うまで待ちましょう。ただし、本日を含めた一ヶ月の間になんとかしていただけませんか? 領主も存じているはずですが、私はいろいろな所を見て回りたいのですよ」
「ああ、わかっている。希望に沿うように私も尽力しよう。それで……この騒動の被害者としての君の意見を聞きたいのだが、問題を起こしてしまったこの隊の処分はどうしようか?」
絶望の表情を浮かべる兵士達。
俺は領主に尋ねる。
「領主……わかってて聞いていませんか?」
「わかっているが、一応私の認識と相違ないか確認しておかないとね。相違があった場合、処分してからだと取り返しがつかないし」
「なら、仕方ないですね。再度、領主に宣言しましょう」
ここでいったん言葉を切った俺は息を吸い込み、発言する。
「敵対した人間にはきっちり罰を受けてもらいます。ただし、処刑すればよいとは思っていません。『罪を償う=死』とは考えませんので。そこはしっかりと判断していただきたいです。あと、本人以外の人間には罪を負わせようとは思いません。もちろん、敵対した人間に便乗した場合はその限りではありませんが。今回の件で言うなら、隊長以外の兵士には罪はないと思います。何もしなかったという点では、領主から見たら落ち度かもしれないですけど。完全に無罪とは言えないというのであれば、数ヶ月の減給とかで考えてもらえませんかね」
ふう、ここまで一気に話した。
領主と上役は、難しい顔をしているな。その一方で、兵士達は命拾いしたと思っているのか、安堵の表情になっていた。
上役と領主が小声で相談し出したので、結論を待つとしよう。
だが、ちょっと時間がかかりそうだな。カインズに声をかけて、従魔におやつを与えておくことにする。
そろそろ昼だが、食事までもうしばらく待たせることになりそうだからな。
いざってときに、アクアやライといったチビッ子達がご機嫌斜めになっていたら、大変なことになるからな。
アクアとライにおやつを与えていると、話がまとまったのか、領主が話しかけてくる。
「ノート殿の案を採用しつつ、追加の処分を加えてもよいかな?」
「内容によりますね」
「減給三ヶ月にプラスして、訓練時間の延長を実施したい。もしくは厩舎の当番二ヶ月を考えているのだけど、どうかな?」
「二択のうちの一つですね?」
「そうなるね」
「その辺は任せます」
兵士達を横目で見ると、彼らは胸を撫で下ろしていた。
俺は隊長に視線を移して言う。
「あとはこの人の問題だけですね。どうしましょうか……処刑は論外なので先に言っておきますよ? んー……そうだ! この人、冒険者にしませんか? ある程度まで経験を積んだら衛兵・兵士に戻るのか、ギルドで職業に就くのか、自身で決めさせるのはどうでしょうか?」
「……ふふ、わかったよ。そうすることにしよう」
俺の思いつきに、領主は笑みを浮かべた。これなら、彼が小馬鹿にしていた冒険者がいかに大変な仕事かわかるだろうからな。
いずれにせよ、問題もおおよそ解決に向かったようだ。
◇
さーて、従魔の食事を何にしようかなーとか考えていると、俺の視界の端で、再び領主と上役が話し込んでいる。
まだ何か話すことなんてあったか?
兵士の上役が領主に向かって、熱心に話している。領主は領主で難しい顔をしているし……チラチラとこちらに目線を送ってくるんだよな。
これ、聞かないと次に進まない感じだな。
どうせ、処分がぬるいとかそのあたりの話だろう。
……正直な話、殺すのは簡単なんだよ。だが、処刑にしたからってなんなんだ? と俺は考えてしまうんだよな! 今回のような状況なら特にそう思う。
隊長が何人も殺めているなら話は変わるが、こいつは一応、貴族街に不要な一般人を入れないという務めを果たしたと言えなくもない。
それに、冒険者をしてもらうという罰もちょうどよいだろう。
俺の見解では、冒険者というのはある程度人格が必要になってくる……更生するにはもってこいだ。
しばらくして上役がこちらに歩いてきた。領主もついてきている。
上役が話しかけてくる。
「ノート殿と言われていたかな? 少し彼の者の処遇に対して、お話ししたいのだが」
面倒事の予感を感じつつも、俺は努めて平静を装って返答する。
「なんでしょうか? 話は終わったと承知してましたが」
上役は首を左右に振って言う。
「処遇が軽くないでしょうか。彼の除隊は当然。だが、周りの者の処罰を軽くするなら、この者に対してはもっと苛烈にしないと。そうしなければ侮られてしまいます」
一応俺の考えを考慮しての発言っぽいけど、根本的な価値観の違いはありそうだな。
まあ、その辺に関しては、日本で育った俺とこの世界で育ってきた人達とでは、命の重さの認識に乖離があるのは仕方がない。
この世界の人間はすぐに処刑とか言うからな……
まあ、日本でもそこまで頻繁じゃないけど死刑はあった。けど、それはよっぽどの重罪を犯した人だった。
今回くらいの失敗なら、俺的にはいろいろと働いてもらうくらいの処罰でよいと思う。
俺の考えはさておき、上役に質問をしようか。
「苛烈にと言うが、何をもって苛烈とするのです?」
上役は毅然とした感じで答える。
「貴族の庇護下にあり、本人も貴族に準じる資格をお持ちのノート殿に不快な思いをさせたのです。死刑以外にありません」
「それで?」
「それで? とは?」
俺は呆れつつ尋ねる。
「いや、死刑にして誰が得するんだ? まさか、あなたの気が済む……といった程度の意見じゃないでしょう?」
「は? どういう意味ですか?」
「あなたが言うところの、貴族に準じる地位の私に迷惑をかけた。だから死刑にします。だと、私のどこに得するところがありますか?」
「あなたに不快な思いをさせた者が、この世からいなくなるのです。これはあなたにとって得ではないのですか?」
価値観の違いなんだろうが、極端だな。
「私は、それが得になるとは思いませんよ。仮にあなたの言うように、この人を死刑にすれば、今後私はこの人を見ないで済むでしょう。でも死刑にしたせいで、この人の家族や友人からは恨まれる。今後、恨みを買った私の命が狙われないとあなたは言えますか?」
上役はハッとした表情になった。
「それでは、私には得することがない。それなら、隊長には別の所で働いてもらって、王都でもいいし、ファスティ領に連れていってもいいし、強い魔物が多くいる所でもいいけど、迷惑料として収入の一、二割でももらったほうが何倍も得するんじゃないですかね。あ、仮に迷惑料をもらう場合は、領主に渡してくださいませんか?」
思いつきでそう言うと、領主が話に加わる。
「待って! なんで受け取りが私なのかな。普通は迷惑をかけられたノート殿が受け取るべきだろう!」
「領主を信用していて、ファスティ領でやってもらいたいことがあるからですよ」
「それはいったい何かな?」
俺はかねてから、やろうと思っていたことを口にする。
「孤児院の子供達のために食料を配って、少しでも飢えを減らす足しにでもしてもらえないかと思いまして」
「それだと君の言う利益がなくならないかい?」
「そうですかね? その子供達が少しでも恩を感じて、そのさらに下の子達の面倒を見るために真っ当なことをする。例えば、勉学や人助けに取り組んだりしたら? ……そうしたら、今回のような出来事がなくなるかもしれない。かなり長い目で見ないといけないでしょうが、その行いがそういう形で返ってくるかもしれない。そう考えたら楽しいと思いませんか?」
領主は、俺の拙い意見をある程度理解してくれたようだ。だけど、キラキラした目で見てくるのはやめてくれ……
上役はわかってないようだが、これはこの世界の価値観だから仕方ない!
というか、俺には昼食準備があるんだ。
数分前からからチビッ子達が訴えてきているしな!
そんなこんなで終わったことだし、あとは領主に丸投げして、今の俺は従魔の飯の用意をしたい。
すね出したアクアが俺の足に体当りしてくるし、ライも髪の毛ついばみ出したし。
お前ら、おやつ食べたはずだよな!?
年長二人の先輩達を見なさい! おやつも食べてないのに大人しくしているぞ!?
……いや、やっぱりあのジトッとした目も嫌だな、何か気分的に焦る。
くそっ! 年を重ねているだけあって精神に訴えるやり方も会得しているな! まあ、俺がそう感じているだけで別のことを思ってる……わけないな、あの目は。
もう、わかったって! 話を終わらせて、飯の用意するから待ってろ!
俺は上役と領主に向かって告げる。
「話は以上ですか? なら、あとは領主、もしくはカインズさんが対応してくださるのですよね?」
「あぁ。あの者は、私の領地の少し強い魔物がいる街に、監視付きで家族ごと移動させるとしよう。それでいいかい?」
「私に確認しなくてもご随意に。あっと、申し訳ありませんが、先に従魔の食事をさせてもらえませんか?」
俺がそう言うと、上役が不思議そうに尋ねてくる。
「従魔を優先させるのですか?」
口を開いたと思ったら、これか。
「何か文句でも? 先ほども言いましたけど、あなたは責任のある地位にいるのですよね? はっきり言って私的には、そろそろさっきの隊長より、不快な気分になってきているのですが?」
語気を強めて言うと、上役は不思議そうな顔を見せる。
「すみません。しかし、普通の従魔師に比べて、ノート殿は従魔を丁寧に扱っているので、どうも違和感があって。従魔師は、自分の従魔を使い捨てのように扱うものなんですが……」
「そんな奴らと同列に扱われるのは、不愉快以外の何ものでもないです。会ったら説教するでしょうね!」
すると領主が口を開く。
「実際にやりそうだから恐ろしいよ!」
上役が俺のほうを見ながら疑問を口にする。
「この方は、他の従魔師を圧倒するほど強いのですか? 見た感じ、下手したらうちの新兵にも負けそうですが……」
領主が間髪容れずに言う。
「冒険者ギルドがAランクと認めているんだよ。そこまで甘いわけないでしょう?」
「それは従魔がいるからでは?」
「お疑いのようですね? なら、少し力を見せましょう」
俺はそう言って、魔力を少しずつ解放していく。
どんどん顔色が悪くなっていく上役。
領主に止められる前に魔力を抑えつつ、俺は上役を脅すように言う。
「私は、従魔師兼魔術師であり、最低限の自衛の近接戦闘も行えます。無詠唱で魔法も撃てるのでそうそう負けませんよ?」
そこへ、領主が口を挟む。
「それはよいけど、制御が甘いので、私達にも影響があるからやめてほしいんだけど?」
……すまん!
「さて、上役さん? もういいですかね? これ以上食事が遅れると従魔達が荒れるので。でなければ、それ相応に対処させてもらいますが……」
俺がそう凄むと、やっと解放された。
隊長はカインズが拘束して連れていった。
とりあえず領主邸の向かいの庭を借りて、従魔達に食事をさせようかな。
3 レシピの取り扱い
領主邸に着いたので、さっそく庭を借りて従魔の飯の用意をする。
だいぶ待たせてしまったが、バーベキューにしよう。
前に焼いた肉も残っているから、肉を焼いている間はそっちを食べさせて、焼けたら順次渡していこう。
焼き肉のストックを食べさせている間に、肉や魚介類を焼いていると、ファスティ領主とカインズがやって来た。
「すごく美味しそうな匂いがしてくるのだけど、何を作っているのかな?」
「ただ肉を焼いているだけですが」
領主にそう答えると、彼は言いづらそうにしつつ「……分けてほしい」と言ってきた。俺が「皿がない」と伝えると、カインズがどこからともなく皿を取り出す。
お前、今どこから皿を出した! マジシャンか!
カインズを問い詰めると、「執事の嗜みです」と返ってきたが、いや、そんな嗜みがあってたまるか!
俺は呆れつつ、二人の皿に肉を入れていく。
二人とも上品に食っているが、スピードが速い。瞬く間に皿が空っぽになった。
領主が尋ねてくる。
「ノート殿、このソースはどうやって作るのかな!?」
いや、なんでも購入できる俺の能力【タブレット】で買っただけなので知るわけがない。
正直に伝える。
「すみませんが、製法はわからないですね。辛うじて原材料ならある程度わかるくらいです」
材料欄を見れば書いてあるから、嘘は言ってないだろう。
だが、領主が前のめりに迫ってくる。
「教えてもらえないかね?」
「ファ、ファスティ領主、落ち着いてくれないか? それはあとにして、先にこっちの用件を済ませていいだろうか?」
……従魔の食事のために、領主を待たせていた俺が言うことではないだろうけど、俺には領主に用事があったんだよな。
「あぁ、そういえばそんなことを言っていたね。何かな?」
さっそく本題に入ろう。
「王都で俺がいる場所の報告だな。王都に来てまでテント暮らしは嫌なので、家を借りたんだ。予定では半月ほどなんだが……さらに日数は増えそうだな」
「家を借りたのかい!? どこだね?」
「商業区の五番通りの青い屋根の家というか、元店舗だと思う」
「そうなのか、わかった。何かあればそちらに連絡をするか、マーク隊長に連絡しよう。彼は宿に泊まっていると報告が来ていたけど」
「あっ、マークも俺のとこに移ってもらっている。離れていると何かと不便なんで俺から頼んだんだ」
「そうなんだね。じゃあ、何か連絡したいときは、そこに誰かしらうちの人間を向かわせるよ」
サクッと話が終わったな。
……と思っていたら、「先ほどのタレについて詳しく教えてくれ!」と領主が迫ってきた。
が、領主の迫りくる顔が暑苦しいので、思わずアイアンクローをカマしてしまう。
痛がっているのを見て手を離すと、領主が苦情を言ってくる。
先にやって来たのは、隊長の上役だった。
「お待たせしたようだな。呼びに来た者も混乱していたから、いまいち要領を得なかったが……貴族に連なる者に無礼を働いたのか」
カインズが対応する。
「ご苦労様です。私はファスティ領主様の筆頭執事で、カインズと言います。呼び出しに応じていただきありがとうございます」
「ファスティ子爵の執事殿でしたか。それで何があったのですか?」
「ええ、今から説明します」
「カインズさん、ちょっと待ってもらえますか?」
カインズが説明を始めようとしたところで、俺は止めた。領主が来てからのほうがいいんじゃないかと思ったのだ。
上役が訝しげにこちらを見てきた。
「……カインズ殿、こちらの方は?」
「今回の被害者で、私の主の賓客です」
少し目を見開いてこちらを見てくる上役。まだ疑ってるな。
上役はさらにカインズに尋ねる。
「彼はどういった方で? そもそも、私がどのような経緯でここに呼ばれることになったのかわからぬのですが。申し訳ないが、詳細をお聞きしても?」
「少々お待ち願えますか? ノート様、まだ説明を始めてはいけませんか?」
「もうすぐ領主が到着するので、それを待ってからのほうがよいかと……」
カインズの問いに答えていると、ファスティ領主が到着した。
領主はカインズに声をかける。
「カインズ、いったい何があったんだ? いつも落ち着いているお前にしては、珍しく手順を飛ばしたやり方だったが」
「経緯については今からご説明します。では上役のあなたも一緒にお聞きになってください」
カインズは上役に言ってから、俺のほうに視線を向ける。
「私が見たところからしか説明ができませんので、ノート様は補足をお願いいたします」
俺が首肯すると、カインズは話し出した。
「私が領主に用事を申し付けられ、邸から各ギルドがある通りに向けて歩いていますと、前のほうで、ノート様と兵士の隊長が話をしているのを目にしました。気になって近づいたところ、この隊長がノート様に向かって暴言を吐いていたのです。領主の客人に対してなんという口を利くのだ、そう思って止めに入ると、今度は私に対しても暴言を……」
カインズはため息を吐き、さらに続ける。
「その後、この隊長は私に詫びるまで少し時間が欲しいとか適当なことを言い、ノート様を牢屋に入れると言い出しました。それで私がノート様は領主の大事な客人だと伝え、ノート様も説明をなさいました。それで、このまま事態が収まるとは思えなかったので、隊長の上役、そして領主に来ていただいた次第です」
カインズが目配せしてきたので、俺も話すことにした。
「私がこちらに伺ったのは、領主に王都での私の滞在場所を伝えるためだったんですが、それでこいつと揉めることになりました。あとはカインズさんが言った通りで、このままでは私は、王城に行くことはできないと思っています」
とりあえず経緯を話したけど、上役の人が頭を抱えているなー。
領主は領主で、どうやって収めたらいいのかと悩んでいる。そして困惑げに尋ねてくる。
「ノート殿、一連の流れに誇張はないかね?」
「私がどうやって誇張を行えると? というか、ほとんどの説明をしたのは、カインズさんですし」
「そうだね。もし信じなければ、自分の家令を疑うことになるんだよね」
俺は、領主に苛立ちをぶつけるように告げる。
「それでどうされますか? このままだと、どう頑張っても私が王城に行くことは叶わないようです。領主様の顔を立ててここまで参りましたが、王城どころか貴族街の入り口で拒否されてしまっているのですから」
俺は首を左右に振り、付け加える。
「私としては、領主の面目を潰すような真似はしたくないですが……お暇したい気持ちでもあるのですよ」
敬語は慣れないなと思っていると、領主が慌てて言う。
「いやいやいや、そんなことは言わないでほしい。この件は私とカインズで責任を持って収めるから。今回の謁見は、私が王から直接指示を受けているのだ。私が責任を持ってノート殿を王の御前までお連れすることを確約するよ!」
会話を聞いて、顔色を悪くする兵士達。
王という言葉を再び聞いて、今さらながら驚いてるんだろうな。
そんな彼らを尻目に、俺はいじわるするように言う。
「領主がそうまで言うのなら、態勢が整うまで待ちましょう。ただし、本日を含めた一ヶ月の間になんとかしていただけませんか? 領主も存じているはずですが、私はいろいろな所を見て回りたいのですよ」
「ああ、わかっている。希望に沿うように私も尽力しよう。それで……この騒動の被害者としての君の意見を聞きたいのだが、問題を起こしてしまったこの隊の処分はどうしようか?」
絶望の表情を浮かべる兵士達。
俺は領主に尋ねる。
「領主……わかってて聞いていませんか?」
「わかっているが、一応私の認識と相違ないか確認しておかないとね。相違があった場合、処分してからだと取り返しがつかないし」
「なら、仕方ないですね。再度、領主に宣言しましょう」
ここでいったん言葉を切った俺は息を吸い込み、発言する。
「敵対した人間にはきっちり罰を受けてもらいます。ただし、処刑すればよいとは思っていません。『罪を償う=死』とは考えませんので。そこはしっかりと判断していただきたいです。あと、本人以外の人間には罪を負わせようとは思いません。もちろん、敵対した人間に便乗した場合はその限りではありませんが。今回の件で言うなら、隊長以外の兵士には罪はないと思います。何もしなかったという点では、領主から見たら落ち度かもしれないですけど。完全に無罪とは言えないというのであれば、数ヶ月の減給とかで考えてもらえませんかね」
ふう、ここまで一気に話した。
領主と上役は、難しい顔をしているな。その一方で、兵士達は命拾いしたと思っているのか、安堵の表情になっていた。
上役と領主が小声で相談し出したので、結論を待つとしよう。
だが、ちょっと時間がかかりそうだな。カインズに声をかけて、従魔におやつを与えておくことにする。
そろそろ昼だが、食事までもうしばらく待たせることになりそうだからな。
いざってときに、アクアやライといったチビッ子達がご機嫌斜めになっていたら、大変なことになるからな。
アクアとライにおやつを与えていると、話がまとまったのか、領主が話しかけてくる。
「ノート殿の案を採用しつつ、追加の処分を加えてもよいかな?」
「内容によりますね」
「減給三ヶ月にプラスして、訓練時間の延長を実施したい。もしくは厩舎の当番二ヶ月を考えているのだけど、どうかな?」
「二択のうちの一つですね?」
「そうなるね」
「その辺は任せます」
兵士達を横目で見ると、彼らは胸を撫で下ろしていた。
俺は隊長に視線を移して言う。
「あとはこの人の問題だけですね。どうしましょうか……処刑は論外なので先に言っておきますよ? んー……そうだ! この人、冒険者にしませんか? ある程度まで経験を積んだら衛兵・兵士に戻るのか、ギルドで職業に就くのか、自身で決めさせるのはどうでしょうか?」
「……ふふ、わかったよ。そうすることにしよう」
俺の思いつきに、領主は笑みを浮かべた。これなら、彼が小馬鹿にしていた冒険者がいかに大変な仕事かわかるだろうからな。
いずれにせよ、問題もおおよそ解決に向かったようだ。
◇
さーて、従魔の食事を何にしようかなーとか考えていると、俺の視界の端で、再び領主と上役が話し込んでいる。
まだ何か話すことなんてあったか?
兵士の上役が領主に向かって、熱心に話している。領主は領主で難しい顔をしているし……チラチラとこちらに目線を送ってくるんだよな。
これ、聞かないと次に進まない感じだな。
どうせ、処分がぬるいとかそのあたりの話だろう。
……正直な話、殺すのは簡単なんだよ。だが、処刑にしたからってなんなんだ? と俺は考えてしまうんだよな! 今回のような状況なら特にそう思う。
隊長が何人も殺めているなら話は変わるが、こいつは一応、貴族街に不要な一般人を入れないという務めを果たしたと言えなくもない。
それに、冒険者をしてもらうという罰もちょうどよいだろう。
俺の見解では、冒険者というのはある程度人格が必要になってくる……更生するにはもってこいだ。
しばらくして上役がこちらに歩いてきた。領主もついてきている。
上役が話しかけてくる。
「ノート殿と言われていたかな? 少し彼の者の処遇に対して、お話ししたいのだが」
面倒事の予感を感じつつも、俺は努めて平静を装って返答する。
「なんでしょうか? 話は終わったと承知してましたが」
上役は首を左右に振って言う。
「処遇が軽くないでしょうか。彼の除隊は当然。だが、周りの者の処罰を軽くするなら、この者に対してはもっと苛烈にしないと。そうしなければ侮られてしまいます」
一応俺の考えを考慮しての発言っぽいけど、根本的な価値観の違いはありそうだな。
まあ、その辺に関しては、日本で育った俺とこの世界で育ってきた人達とでは、命の重さの認識に乖離があるのは仕方がない。
この世界の人間はすぐに処刑とか言うからな……
まあ、日本でもそこまで頻繁じゃないけど死刑はあった。けど、それはよっぽどの重罪を犯した人だった。
今回くらいの失敗なら、俺的にはいろいろと働いてもらうくらいの処罰でよいと思う。
俺の考えはさておき、上役に質問をしようか。
「苛烈にと言うが、何をもって苛烈とするのです?」
上役は毅然とした感じで答える。
「貴族の庇護下にあり、本人も貴族に準じる資格をお持ちのノート殿に不快な思いをさせたのです。死刑以外にありません」
「それで?」
「それで? とは?」
俺は呆れつつ尋ねる。
「いや、死刑にして誰が得するんだ? まさか、あなたの気が済む……といった程度の意見じゃないでしょう?」
「は? どういう意味ですか?」
「あなたが言うところの、貴族に準じる地位の私に迷惑をかけた。だから死刑にします。だと、私のどこに得するところがありますか?」
「あなたに不快な思いをさせた者が、この世からいなくなるのです。これはあなたにとって得ではないのですか?」
価値観の違いなんだろうが、極端だな。
「私は、それが得になるとは思いませんよ。仮にあなたの言うように、この人を死刑にすれば、今後私はこの人を見ないで済むでしょう。でも死刑にしたせいで、この人の家族や友人からは恨まれる。今後、恨みを買った私の命が狙われないとあなたは言えますか?」
上役はハッとした表情になった。
「それでは、私には得することがない。それなら、隊長には別の所で働いてもらって、王都でもいいし、ファスティ領に連れていってもいいし、強い魔物が多くいる所でもいいけど、迷惑料として収入の一、二割でももらったほうが何倍も得するんじゃないですかね。あ、仮に迷惑料をもらう場合は、領主に渡してくださいませんか?」
思いつきでそう言うと、領主が話に加わる。
「待って! なんで受け取りが私なのかな。普通は迷惑をかけられたノート殿が受け取るべきだろう!」
「領主を信用していて、ファスティ領でやってもらいたいことがあるからですよ」
「それはいったい何かな?」
俺はかねてから、やろうと思っていたことを口にする。
「孤児院の子供達のために食料を配って、少しでも飢えを減らす足しにでもしてもらえないかと思いまして」
「それだと君の言う利益がなくならないかい?」
「そうですかね? その子供達が少しでも恩を感じて、そのさらに下の子達の面倒を見るために真っ当なことをする。例えば、勉学や人助けに取り組んだりしたら? ……そうしたら、今回のような出来事がなくなるかもしれない。かなり長い目で見ないといけないでしょうが、その行いがそういう形で返ってくるかもしれない。そう考えたら楽しいと思いませんか?」
領主は、俺の拙い意見をある程度理解してくれたようだ。だけど、キラキラした目で見てくるのはやめてくれ……
上役はわかってないようだが、これはこの世界の価値観だから仕方ない!
というか、俺には昼食準備があるんだ。
数分前からからチビッ子達が訴えてきているしな!
そんなこんなで終わったことだし、あとは領主に丸投げして、今の俺は従魔の飯の用意をしたい。
すね出したアクアが俺の足に体当りしてくるし、ライも髪の毛ついばみ出したし。
お前ら、おやつ食べたはずだよな!?
年長二人の先輩達を見なさい! おやつも食べてないのに大人しくしているぞ!?
……いや、やっぱりあのジトッとした目も嫌だな、何か気分的に焦る。
くそっ! 年を重ねているだけあって精神に訴えるやり方も会得しているな! まあ、俺がそう感じているだけで別のことを思ってる……わけないな、あの目は。
もう、わかったって! 話を終わらせて、飯の用意するから待ってろ!
俺は上役と領主に向かって告げる。
「話は以上ですか? なら、あとは領主、もしくはカインズさんが対応してくださるのですよね?」
「あぁ。あの者は、私の領地の少し強い魔物がいる街に、監視付きで家族ごと移動させるとしよう。それでいいかい?」
「私に確認しなくてもご随意に。あっと、申し訳ありませんが、先に従魔の食事をさせてもらえませんか?」
俺がそう言うと、上役が不思議そうに尋ねてくる。
「従魔を優先させるのですか?」
口を開いたと思ったら、これか。
「何か文句でも? 先ほども言いましたけど、あなたは責任のある地位にいるのですよね? はっきり言って私的には、そろそろさっきの隊長より、不快な気分になってきているのですが?」
語気を強めて言うと、上役は不思議そうな顔を見せる。
「すみません。しかし、普通の従魔師に比べて、ノート殿は従魔を丁寧に扱っているので、どうも違和感があって。従魔師は、自分の従魔を使い捨てのように扱うものなんですが……」
「そんな奴らと同列に扱われるのは、不愉快以外の何ものでもないです。会ったら説教するでしょうね!」
すると領主が口を開く。
「実際にやりそうだから恐ろしいよ!」
上役が俺のほうを見ながら疑問を口にする。
「この方は、他の従魔師を圧倒するほど強いのですか? 見た感じ、下手したらうちの新兵にも負けそうですが……」
領主が間髪容れずに言う。
「冒険者ギルドがAランクと認めているんだよ。そこまで甘いわけないでしょう?」
「それは従魔がいるからでは?」
「お疑いのようですね? なら、少し力を見せましょう」
俺はそう言って、魔力を少しずつ解放していく。
どんどん顔色が悪くなっていく上役。
領主に止められる前に魔力を抑えつつ、俺は上役を脅すように言う。
「私は、従魔師兼魔術師であり、最低限の自衛の近接戦闘も行えます。無詠唱で魔法も撃てるのでそうそう負けませんよ?」
そこへ、領主が口を挟む。
「それはよいけど、制御が甘いので、私達にも影響があるからやめてほしいんだけど?」
……すまん!
「さて、上役さん? もういいですかね? これ以上食事が遅れると従魔達が荒れるので。でなければ、それ相応に対処させてもらいますが……」
俺がそう凄むと、やっと解放された。
隊長はカインズが拘束して連れていった。
とりあえず領主邸の向かいの庭を借りて、従魔達に食事をさせようかな。
3 レシピの取り扱い
領主邸に着いたので、さっそく庭を借りて従魔の飯の用意をする。
だいぶ待たせてしまったが、バーベキューにしよう。
前に焼いた肉も残っているから、肉を焼いている間はそっちを食べさせて、焼けたら順次渡していこう。
焼き肉のストックを食べさせている間に、肉や魚介類を焼いていると、ファスティ領主とカインズがやって来た。
「すごく美味しそうな匂いがしてくるのだけど、何を作っているのかな?」
「ただ肉を焼いているだけですが」
領主にそう答えると、彼は言いづらそうにしつつ「……分けてほしい」と言ってきた。俺が「皿がない」と伝えると、カインズがどこからともなく皿を取り出す。
お前、今どこから皿を出した! マジシャンか!
カインズを問い詰めると、「執事の嗜みです」と返ってきたが、いや、そんな嗜みがあってたまるか!
俺は呆れつつ、二人の皿に肉を入れていく。
二人とも上品に食っているが、スピードが速い。瞬く間に皿が空っぽになった。
領主が尋ねてくる。
「ノート殿、このソースはどうやって作るのかな!?」
いや、なんでも購入できる俺の能力【タブレット】で買っただけなので知るわけがない。
正直に伝える。
「すみませんが、製法はわからないですね。辛うじて原材料ならある程度わかるくらいです」
材料欄を見れば書いてあるから、嘘は言ってないだろう。
だが、領主が前のめりに迫ってくる。
「教えてもらえないかね?」
「ファ、ファスティ領主、落ち着いてくれないか? それはあとにして、先にこっちの用件を済ませていいだろうか?」
……従魔の食事のために、領主を待たせていた俺が言うことではないだろうけど、俺には領主に用事があったんだよな。
「あぁ、そういえばそんなことを言っていたね。何かな?」
さっそく本題に入ろう。
「王都で俺がいる場所の報告だな。王都に来てまでテント暮らしは嫌なので、家を借りたんだ。予定では半月ほどなんだが……さらに日数は増えそうだな」
「家を借りたのかい!? どこだね?」
「商業区の五番通りの青い屋根の家というか、元店舗だと思う」
「そうなのか、わかった。何かあればそちらに連絡をするか、マーク隊長に連絡しよう。彼は宿に泊まっていると報告が来ていたけど」
「あっ、マークも俺のとこに移ってもらっている。離れていると何かと不便なんで俺から頼んだんだ」
「そうなんだね。じゃあ、何か連絡したいときは、そこに誰かしらうちの人間を向かわせるよ」
サクッと話が終わったな。
……と思っていたら、「先ほどのタレについて詳しく教えてくれ!」と領主が迫ってきた。
が、領主の迫りくる顔が暑苦しいので、思わずアイアンクローをカマしてしまう。
痛がっているのを見て手を離すと、領主が苦情を言ってくる。
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