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2巻
2-2
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2 ギルマスとの話が大事に
先ほどのベテラン職員がそのまま対応してくれるようだ。
でも、何やら妙な視線を向けてくるな。
「戻られましたか。おめでとうございます! 今回の討伐をもってCランクに上がります。つきましては、現在お持ちのギルド証を渡していただけますか?」
渡すのは構わないが、何でいきなりランクが上がることになったんだ?
「ランクアップはなぜ?」
「今日の討伐で達成数が貯まったんです。特に採取した薬草の状態の良さと、ポーションの達成数がすごいです」
「わかった。これで良いか?」
ギルド証を差し出すと、ベテラン職員は受付の後ろの机に移動した。ものの数十秒で終わったようで戻ってくる。
「これがCランクのギルド証になります。このランクから指名依頼も対象になります」
指名依頼か、ちょっと勘弁してほしいな。
「指名依頼を断るのは可能か?」
「可能ですが……あまりおすすめしませんね」
ベテラン職員はそう言うが、俺はあくまで主張する。
「俺は自分のペースでやっているので、それを変えたくない。変えたがために、今の生活が壊れるのは避けたいんだ」
「依頼料は格段に上がるんですけどね」
「俺の周りを見てくれ。こいつらとの暮らしを優先したいんだよ。金のためにこいつらと離れることはできんな」
「従魔ならまた別の……」
ベテラン職員がそう口にした瞬間、俺は激怒する。
「別のだと!? それを強要するようなギルドなら、俺は去る! 討伐した魔物から採取した素材や製作したポーションは、冒険者ギルドではなく商業ギルドに売ってもいいんだ。ファスティのギルマスに頼まれて、義理を果たしていただけに過ぎないんだからな!」
「ちょっと待ってください!」
そう言って慌てて奥に走っていくベテラン職員。
連れてきたのは、ギルマスだった。
「どうした? 急に怒りだしたと聞いたけど」
そう問うギルマスに、俺は一気にまくし立てる。
「Cランクの指名依頼のために、俺と従魔との暮らしを壊そうとするなら、冒険者ギルドを辞めると言ったまでだ。そこまでされてここにいる価値はないからな!」
「ちょ、ちょっと待って」
ギルマスはそう言って振り返ると、ベテラン職員と話しだした。
ちなみにランクアップするために、パーティから抜けたり従魔を変えたりする冒険者は少なくないらしい。
ギルマスは引き続きベテラン職員と話している。
「冊子に書いてあったでしょ、彼の性格が。囲い込みのようなことはNGだって、ファスティのギルド長名義でね。彼がやらないなら無理強いしても無意味だし、お金に関しても……」
それからギルマスは小声で「大きな声を出さないように」といったん注意してから告げる。
「……彼は武器を製作できるだけでなく、高品質ポーション各種まで作れるから、お金には困らないんだよ」
「なっ!」
ベテラン職員は大きな声を出しかけたが、すぐさま手で口を押さえた。
ギルマスがこちらに顔を向けてくる。
「今日は連続で失礼な対応をしてしまい、申し訳ない」
俺は毅然として言い放つ。
「不愉快だ。俺にとって従魔達は、冒険者ギルドよりも大事なもんだ。このような話は二度と出さないでくれ」
「わかっている。君の冊子には私の名前も添えて、囲い込みと従魔を軽く扱わないようにと記載しておく」
「なら、今回はこれで引く。ああ、あと指名依頼はほぼ受けないとも書いておいてくれ。これが通らないなら、Dランクに戻してもらうか、冒険者ギルドを辞める」
「わかった」
「じゃあ、この話は終わりだ。それでギルマスはどうするんだ? 俺にいろいろ聞きたいと言っていたが」
俺がそう問うと、ギルマスは申し訳なさそうにする。
「そうだな。そうしたいところだが、こんな不手際のあとでは……」
「ギルマスがやったことではないし、その話は終わったはずだ」
「なら頼めるかね? ここじゃなんだからギルド長室に移動しよう」
ギルド長室に着くなり再度謝罪されたが、思い出したくないのでやめさせた。
ギルマスが口を開く。
「ゴホンッ。じゃあ、あなたが依頼に出かける前の話について単刀直入に聞くけど、ザックさんのアイテムカバンの出所は?」
「あれは俺のだ。あれより大容量の物も持っているし、今持っているのもそうだ。このウエストバッグもアイテムカバンの一つだ」
俺はそう答えて、アイテムカバンとウエストバッグ二つを机に置く。
ギルマスが尋ねてくる。
「ザックさんが持っている物の容量はどれくらいで、これらにはどれくらい入るの?」
「ザックが持っている物は、だいたい三メートル四方だな。これはだいたい十メートル四方で、こっちのウエストバッグは十六箇所に分かれていて、それぞれポーションが五十本ずつ入る。小さいほうはポーションが二十本ずつ入るな」
ギルマスは目を見開く。
「これだけで大きな財産ですよ」
「売る気はないけどな」
「小さいほうでも、家を買えるくらいの値段はします」
「そうなのか。だがな、今はソロで動いているが、仲間ができたら持たすつもりなんだ。ザックには貸しているだけだよ。馬車の中に俺達が乗るスペースがなかったから、アイテムカバンに積荷を入れてもらったんだ」
「そ、そうだったのか」
「俺は能力が低いから、小さいアイテムカバンしか作れんし、売るわけにはいかないからな」
思わず口を滑らせてしまい、アイテムカバンを作れることを言ってしまった。するとギルマスが身を乗りだして聞いてくる。
「作れるの!?」
「……い、いや、ポーションを十本入れられる程度の物だ。それも、一日に三個作るともう動けん」
嘘だがな。今の手持ちより大きいのを作っても大丈夫だろう。
「作ったその三個は売らないのかい?」
「いや、試作で一個作ったときの感触で言っただけで、実際三個作ったわけではなくてだな……」
「その一個を見せてほしい!」
ギルマスの熱量に押され、その場しのぎの嘘が限界だ。
「え。今はなくて、俺の護衛に、万が一を考えて渡してあって……」
「何とかならないか!?」
「ふぅ……この小さなウエストバッグみたいな物だからな。持ってきてやってもいいが、売らないぞ? 俺がよっぽど金に困らない限り……」
「それでもいいから、頼めないか!」
ギルマスが熱心すぎて、俺はつい言ってしまう。
「じゃ、じゃあ待っててくれ。取ってくるから」
「わかった! 頼んだよ!」
いったんギルドから出る。
はあ、ああ言ったからには持っていかないとな。
カバン屋を探して、それっぽいのを持っていくかな。マークに一つ預けたことにもしてしまったから、あいつにも持たせないと。
◇
行商人が店を開いている区画にやって来た。
ウエストバッグを探す。良い大きさの物がなかなか見つからずうろうろしていると、ザックから声がかかる。
「ノートさん。こんな所で何か用事ですか?」
「ああ、ウエストバッグを探しに来たんだ」
「ウエストバッグ? お持ちでしたよね?」
「持っているが、ちょっと訳ありで探しているんだ」
「そうでしたか。どのような感じの物ですか? 物によっては紹介できるかもしれません」
そう言ってくれるのならと、俺は小さいほうのウエストバッグを取り出して告げる。
「これと同じか、もう少し小さいのを探しているんだ」
ザックは腕を組んで考え込む。
「それと同じくらいのウエストバッグ。あ、それならこの道を……」
ザックは店の場所を説明し、さらに羊皮紙の切れ端に簡単な地図を書いて渡してくれた。
「ありがとう。行ってみるよ」
「良いのがあればいいんですが」
地図を見ながら歩くこと十五分。目的のカバンを置いているという店に着いた。
中に入ると、多種多様なカバンがある。目的のカバンもすぐに見つけたが、それ以外にも欲しくなる物があった。
店のあちこちを見ていたからだろうか、店員が声をかけてきた。
「どのような物をお探しでしょうか?」
「あ、すまない。いろいろなカバンがあったので、ついあれこれと見てしまって……」
俺がちょっと気まずそうに言うと、店員は柔らかな笑みを浮かべる。
「大丈夫ですよ。ちなみに、どういった物をお探しでしょうか?」
「メインで探しているのは、このウエストバッグに近い物で、同等の大きさか、もう少し小さめの物。あとは良い物があれば、一つ二つ買い足そうかと思ってるんだ」
「そうですか。それでしたら、ウエストバッグはこちらの物などいかがですか?」
店員はそう言って、いくつかのウエストバッグを持ってくる。
店員が直々にすすめるだけあって、なかなか使い勝手が良さそうで、なおかつデザインが良い。そのうちの二つほど気に入ったんだが……迷うな。
そう考えていたら、店員が絶妙の間で尋ねてくる。
「どうでしょう?」
「この二つが気に入ったんだが、どうするかな」
「用途がわかればアドバイスできるかと」
「俺は冒険者の端くれでな。ポーションを入れようかと思ってるんだ」
「それでしたら、こちらが良いと思います」
店員が、どちらかといえば小ぶりなほうのウエストバッグを持ち上げて示す。
「なぜ、こっちなんだ?」
「一見そちらのほうが丈夫そうに見えますし、確かにそうなんですが、総合してみたら、こちらのほうが用途に合ってると思うんですよ。緩衝材が中に貼り付けてあるので、ポーションも割れにくいと思います」
「なるほどな。納得できる話だ。ではこちらにはポーションを入れて、もう一つは別の用途で使おう。二つとももらおうかな」
俺がそう言うと、店員は驚いたような顔をする。
「よろしいのですか?」
「ああ。両方ともデザインが気に入ったんでな。買えるときに買っておきたいんだ」
「ありがとうございます。両方で金貨八枚、8万ダルでいかがでしょう?」
「わかった、これで頼む」
俺は懐から大金貨一枚を取り出す。これだけで10万ダルの価値がある。
「お買い上げありがとうございます!」
店員は綺麗な礼をすると、おつりを取りに行った。
戻ってくると、その手には小さな巾着を持っている。
「こちらがおつりの2万ダルになります。ご確認ください」
「それは良いが、これは?」
俺が巾着を指して問うと、店員はにこやかに答える。
「当店では、おつりを巾着に入れてお渡しするのです。材料はカバンを作ったときに出た切れ端なので損はしていないんですよ。それどころかなかなかご好評をいただいておりまして、このサービスを始めてから、リピーターの方が増えております」
なるほど。確かにまた来ようと思えるサービスだな!
「わかった、ありがとう。またこの村に寄ることがあれば、この店に寄らせてもらう」
俺はそう告げて店を出た。
さてと、セドル村で拠点にしているテントまで戻ってきたけど、さっさとウエストバッグを元にしてアイテムカバンを作るかな。ついでにこの巾着も改造しよう。
というわけで、さっそく作業を始める。
ウエストバッグには、四つに小分けされたスペースがある。それぞれに、ポーションを各四本ずつ入れられるように空間魔法を付与していく。
HPポーション、MPポーション、毒消しポーションを各スペースに入れるとして、残りは一つ。ここは薬草入れにでもしとくか。
よし、完成!
巾着にも空間魔法を付与して、硬貨数百枚は入るようにした。まだ何も入れてないけど、まあ俺用じゃないし……
って、俺はパーティとしてはぼっちだったか。
生活の基盤が整ったら、仲間集めも検討したいところだ。でも、今それを考えるのは無意味だな。とにかく今は、やるべきことをやらないと。
ウエストバッグの製作も終わったし、冒険者ギルドに戻るとするか。
厄介事の匂いがするんだけどな。ポーションのときもそうだったが……
まあ愚痴ってても仕方ない。覚悟を決めて行こう。
◇
ギルドに戻ろうと思ったけど、話をすり合わせてもらわないといけないから、マークを探すことにする。
さっき行商人の集まるエリアにいたザックの所に行けば、見つけやすいかな?
先ほど通った道を戻り、ザックかマークを探す。
そこでふと閃いて、ヴォルフに念話で声をかける。
『ヴォルフ、ザックかマークの匂いを判別できるか?』
『ああ。だが、微かに匂いがしている程度だな。他の匂いに紛れてしまって、二人のいる方向くらいしかわからぬ』
『方向だけでもわかればだいぶ助かる』
『そうか。あちらのほうから匂いがするぞ』
ヴォルフはそう言って、顔で方向を指し示してくれた。
『わかった。じゃあそっちを中心に探そう。また変化があったら教えてくれ』
『あいわかった』
そうして方向を決めて歩きだしてみたんだが、ヴォルフがわからないと言った意味がわかってきた。
こっちは食べ物売りが多い。そりゃ匂いも混ざるよな~と思いつつ歩いていると、ヴォルフから念話が来た。ザックのいる場所がわかったようだ。
指示に従ってしばらく歩くと、ザックを見つけた!
さすがヴォルフだ。ヴォルフのほうを見ると、少し誇らしげに歩いている。
「ザック!」
「ノートさん。どうでした? 好みの物はありましたか?」
「ああ、あった。二つほど購入した」
「それは良かったです。そうでなかったら、面目がなくなるところでしたよ」
笑いながら言ってくるザックに、俺も笑って言う。
「大げさだな。なかなか俺好みの物を多く置いてあったぞ!」
すると、ザックは本当に嬉しそうに笑った。
まるで自分のことにように喜ぶザックに違和感を覚え、俺は尋ねる。
「随分と嬉しそうだな。さては、仲の良い知り合いの店だったか?」
「ええ。それどころか、私が商売人としての師と仰いでいる人です」
なるほど。確かに、あの店員はさりげない気遣いができていたし、押しつけがましさがなかった。俺も機会があればまた購入したいと思ったし。
「確かに良い店員だったな」
「そうでしょう! あの素晴らしい接客。私も目指してはいますが、なかなか真似できないですよ!」
「良い目標だと思うぞ。俺にも真似できないしな」
「いや、ノートさんは冒険者じゃないですか」
ザックが不思議そうな顔をするので、俺は打ち明ける。
「言ってなかったか? 俺も一応商業ギルドに登録してるんだ」
「ええ! そうなんですか?」
「ああ。ファスティで金策するのに両方登録したからな。結局、一年間の税だけ払って使ってないけど」
「それはもったいないですね。でも売り物がないと厳しいですよね」
いや、売り物はあるんだよな。
「ファスティの冒険者ギルドのギルマスに頼まれてるから、商業ギルドのほうには卸してないが、ポーションは自作だから売ろうと思えば売れるんだよ」
「ええ! そうなんですか!?」
大きく目を見開くザック。
「そうだぞ? 今持ってるのは全部自作品だ」
「す、すごいですね。そのように手に職があるのでしたら、冒険者を引退することになっても食べていけますね」
「そうだな。ところでマークはどこに行っているんだ?」
話題を切り替えて尋ねると、ザックは答える。
「マークさん? マークさんならつい先ほどまでいましたよ。それで、旅の備品の補充に行ってもらったんですが」
「そうだったのか……どうするかな」
「何か用事がありましたか?」
「いや、ちょっとマークに話したいことがあったんだ」
「戻ってこられたら、ノートさんの所へ行くように伝えましょうか」
呑気そうに言うザックに、俺は伝える。
「そうしたいのはやまやまだが……そういえばザック、お前、今の自分の立場をわかっているか?」
「どういう意味ですか?」
「お前は今、狙われているんだぞ?」
「なぜですか!?」
ザックは飛び上がりそうなほど驚いている。
そりゃそうだよな。
「俺が渡してる、そのアイテムカバンのせいでだ」
「そうでしたか。でも、ノートさんから借りているだけと伝えるようにしているので、大丈夫だと思うんですが」
「そうか。でも万一盗られたら事だし、俺は冒険者ギルドに話してくるよ。その前に、従魔達に飯を食わせてくるかな。あとにしたらまた遅くなりそうだし」
いろいろ考えた結果、俺は従魔達に夕飯を食べさせ、ザックには宿屋に戻ってもらうことにした。ザックとマークは、俺とは違って宿に滞在してるんだよな。
ついでに、同じ宿で静養しているクレアの夕飯も作って持っていくか。
よし、その流れで動こう。
先ほどのベテラン職員がそのまま対応してくれるようだ。
でも、何やら妙な視線を向けてくるな。
「戻られましたか。おめでとうございます! 今回の討伐をもってCランクに上がります。つきましては、現在お持ちのギルド証を渡していただけますか?」
渡すのは構わないが、何でいきなりランクが上がることになったんだ?
「ランクアップはなぜ?」
「今日の討伐で達成数が貯まったんです。特に採取した薬草の状態の良さと、ポーションの達成数がすごいです」
「わかった。これで良いか?」
ギルド証を差し出すと、ベテラン職員は受付の後ろの机に移動した。ものの数十秒で終わったようで戻ってくる。
「これがCランクのギルド証になります。このランクから指名依頼も対象になります」
指名依頼か、ちょっと勘弁してほしいな。
「指名依頼を断るのは可能か?」
「可能ですが……あまりおすすめしませんね」
ベテラン職員はそう言うが、俺はあくまで主張する。
「俺は自分のペースでやっているので、それを変えたくない。変えたがために、今の生活が壊れるのは避けたいんだ」
「依頼料は格段に上がるんですけどね」
「俺の周りを見てくれ。こいつらとの暮らしを優先したいんだよ。金のためにこいつらと離れることはできんな」
「従魔ならまた別の……」
ベテラン職員がそう口にした瞬間、俺は激怒する。
「別のだと!? それを強要するようなギルドなら、俺は去る! 討伐した魔物から採取した素材や製作したポーションは、冒険者ギルドではなく商業ギルドに売ってもいいんだ。ファスティのギルマスに頼まれて、義理を果たしていただけに過ぎないんだからな!」
「ちょっと待ってください!」
そう言って慌てて奥に走っていくベテラン職員。
連れてきたのは、ギルマスだった。
「どうした? 急に怒りだしたと聞いたけど」
そう問うギルマスに、俺は一気にまくし立てる。
「Cランクの指名依頼のために、俺と従魔との暮らしを壊そうとするなら、冒険者ギルドを辞めると言ったまでだ。そこまでされてここにいる価値はないからな!」
「ちょ、ちょっと待って」
ギルマスはそう言って振り返ると、ベテラン職員と話しだした。
ちなみにランクアップするために、パーティから抜けたり従魔を変えたりする冒険者は少なくないらしい。
ギルマスは引き続きベテラン職員と話している。
「冊子に書いてあったでしょ、彼の性格が。囲い込みのようなことはNGだって、ファスティのギルド長名義でね。彼がやらないなら無理強いしても無意味だし、お金に関しても……」
それからギルマスは小声で「大きな声を出さないように」といったん注意してから告げる。
「……彼は武器を製作できるだけでなく、高品質ポーション各種まで作れるから、お金には困らないんだよ」
「なっ!」
ベテラン職員は大きな声を出しかけたが、すぐさま手で口を押さえた。
ギルマスがこちらに顔を向けてくる。
「今日は連続で失礼な対応をしてしまい、申し訳ない」
俺は毅然として言い放つ。
「不愉快だ。俺にとって従魔達は、冒険者ギルドよりも大事なもんだ。このような話は二度と出さないでくれ」
「わかっている。君の冊子には私の名前も添えて、囲い込みと従魔を軽く扱わないようにと記載しておく」
「なら、今回はこれで引く。ああ、あと指名依頼はほぼ受けないとも書いておいてくれ。これが通らないなら、Dランクに戻してもらうか、冒険者ギルドを辞める」
「わかった」
「じゃあ、この話は終わりだ。それでギルマスはどうするんだ? 俺にいろいろ聞きたいと言っていたが」
俺がそう問うと、ギルマスは申し訳なさそうにする。
「そうだな。そうしたいところだが、こんな不手際のあとでは……」
「ギルマスがやったことではないし、その話は終わったはずだ」
「なら頼めるかね? ここじゃなんだからギルド長室に移動しよう」
ギルド長室に着くなり再度謝罪されたが、思い出したくないのでやめさせた。
ギルマスが口を開く。
「ゴホンッ。じゃあ、あなたが依頼に出かける前の話について単刀直入に聞くけど、ザックさんのアイテムカバンの出所は?」
「あれは俺のだ。あれより大容量の物も持っているし、今持っているのもそうだ。このウエストバッグもアイテムカバンの一つだ」
俺はそう答えて、アイテムカバンとウエストバッグ二つを机に置く。
ギルマスが尋ねてくる。
「ザックさんが持っている物の容量はどれくらいで、これらにはどれくらい入るの?」
「ザックが持っている物は、だいたい三メートル四方だな。これはだいたい十メートル四方で、こっちのウエストバッグは十六箇所に分かれていて、それぞれポーションが五十本ずつ入る。小さいほうはポーションが二十本ずつ入るな」
ギルマスは目を見開く。
「これだけで大きな財産ですよ」
「売る気はないけどな」
「小さいほうでも、家を買えるくらいの値段はします」
「そうなのか。だがな、今はソロで動いているが、仲間ができたら持たすつもりなんだ。ザックには貸しているだけだよ。馬車の中に俺達が乗るスペースがなかったから、アイテムカバンに積荷を入れてもらったんだ」
「そ、そうだったのか」
「俺は能力が低いから、小さいアイテムカバンしか作れんし、売るわけにはいかないからな」
思わず口を滑らせてしまい、アイテムカバンを作れることを言ってしまった。するとギルマスが身を乗りだして聞いてくる。
「作れるの!?」
「……い、いや、ポーションを十本入れられる程度の物だ。それも、一日に三個作るともう動けん」
嘘だがな。今の手持ちより大きいのを作っても大丈夫だろう。
「作ったその三個は売らないのかい?」
「いや、試作で一個作ったときの感触で言っただけで、実際三個作ったわけではなくてだな……」
「その一個を見せてほしい!」
ギルマスの熱量に押され、その場しのぎの嘘が限界だ。
「え。今はなくて、俺の護衛に、万が一を考えて渡してあって……」
「何とかならないか!?」
「ふぅ……この小さなウエストバッグみたいな物だからな。持ってきてやってもいいが、売らないぞ? 俺がよっぽど金に困らない限り……」
「それでもいいから、頼めないか!」
ギルマスが熱心すぎて、俺はつい言ってしまう。
「じゃ、じゃあ待っててくれ。取ってくるから」
「わかった! 頼んだよ!」
いったんギルドから出る。
はあ、ああ言ったからには持っていかないとな。
カバン屋を探して、それっぽいのを持っていくかな。マークに一つ預けたことにもしてしまったから、あいつにも持たせないと。
◇
行商人が店を開いている区画にやって来た。
ウエストバッグを探す。良い大きさの物がなかなか見つからずうろうろしていると、ザックから声がかかる。
「ノートさん。こんな所で何か用事ですか?」
「ああ、ウエストバッグを探しに来たんだ」
「ウエストバッグ? お持ちでしたよね?」
「持っているが、ちょっと訳ありで探しているんだ」
「そうでしたか。どのような感じの物ですか? 物によっては紹介できるかもしれません」
そう言ってくれるのならと、俺は小さいほうのウエストバッグを取り出して告げる。
「これと同じか、もう少し小さいのを探しているんだ」
ザックは腕を組んで考え込む。
「それと同じくらいのウエストバッグ。あ、それならこの道を……」
ザックは店の場所を説明し、さらに羊皮紙の切れ端に簡単な地図を書いて渡してくれた。
「ありがとう。行ってみるよ」
「良いのがあればいいんですが」
地図を見ながら歩くこと十五分。目的のカバンを置いているという店に着いた。
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店のあちこちを見ていたからだろうか、店員が声をかけてきた。
「どのような物をお探しでしょうか?」
「あ、すまない。いろいろなカバンがあったので、ついあれこれと見てしまって……」
俺がちょっと気まずそうに言うと、店員は柔らかな笑みを浮かべる。
「大丈夫ですよ。ちなみに、どういった物をお探しでしょうか?」
「メインで探しているのは、このウエストバッグに近い物で、同等の大きさか、もう少し小さめの物。あとは良い物があれば、一つ二つ買い足そうかと思ってるんだ」
「そうですか。それでしたら、ウエストバッグはこちらの物などいかがですか?」
店員はそう言って、いくつかのウエストバッグを持ってくる。
店員が直々にすすめるだけあって、なかなか使い勝手が良さそうで、なおかつデザインが良い。そのうちの二つほど気に入ったんだが……迷うな。
そう考えていたら、店員が絶妙の間で尋ねてくる。
「どうでしょう?」
「この二つが気に入ったんだが、どうするかな」
「用途がわかればアドバイスできるかと」
「俺は冒険者の端くれでな。ポーションを入れようかと思ってるんだ」
「それでしたら、こちらが良いと思います」
店員が、どちらかといえば小ぶりなほうのウエストバッグを持ち上げて示す。
「なぜ、こっちなんだ?」
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「なるほどな。納得できる話だ。ではこちらにはポーションを入れて、もう一つは別の用途で使おう。二つとももらおうかな」
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ヴォルフはそう言って、顔で方向を指し示してくれた。
『わかった。じゃあそっちを中心に探そう。また変化があったら教えてくれ』
『あいわかった』
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指示に従ってしばらく歩くと、ザックを見つけた!
さすがヴォルフだ。ヴォルフのほうを見ると、少し誇らしげに歩いている。
「ザック!」
「ノートさん。どうでした? 好みの物はありましたか?」
「ああ、あった。二つほど購入した」
「それは良かったです。そうでなかったら、面目がなくなるところでしたよ」
笑いながら言ってくるザックに、俺も笑って言う。
「大げさだな。なかなか俺好みの物を多く置いてあったぞ!」
すると、ザックは本当に嬉しそうに笑った。
まるで自分のことにように喜ぶザックに違和感を覚え、俺は尋ねる。
「随分と嬉しそうだな。さては、仲の良い知り合いの店だったか?」
「ええ。それどころか、私が商売人としての師と仰いでいる人です」
なるほど。確かに、あの店員はさりげない気遣いができていたし、押しつけがましさがなかった。俺も機会があればまた購入したいと思ったし。
「確かに良い店員だったな」
「そうでしょう! あの素晴らしい接客。私も目指してはいますが、なかなか真似できないですよ!」
「良い目標だと思うぞ。俺にも真似できないしな」
「いや、ノートさんは冒険者じゃないですか」
ザックが不思議そうな顔をするので、俺は打ち明ける。
「言ってなかったか? 俺も一応商業ギルドに登録してるんだ」
「ええ! そうなんですか?」
「ああ。ファスティで金策するのに両方登録したからな。結局、一年間の税だけ払って使ってないけど」
「それはもったいないですね。でも売り物がないと厳しいですよね」
いや、売り物はあるんだよな。
「ファスティの冒険者ギルドのギルマスに頼まれてるから、商業ギルドのほうには卸してないが、ポーションは自作だから売ろうと思えば売れるんだよ」
「ええ! そうなんですか!?」
大きく目を見開くザック。
「そうだぞ? 今持ってるのは全部自作品だ」
「す、すごいですね。そのように手に職があるのでしたら、冒険者を引退することになっても食べていけますね」
「そうだな。ところでマークはどこに行っているんだ?」
話題を切り替えて尋ねると、ザックは答える。
「マークさん? マークさんならつい先ほどまでいましたよ。それで、旅の備品の補充に行ってもらったんですが」
「そうだったのか……どうするかな」
「何か用事がありましたか?」
「いや、ちょっとマークに話したいことがあったんだ」
「戻ってこられたら、ノートさんの所へ行くように伝えましょうか」
呑気そうに言うザックに、俺は伝える。
「そうしたいのはやまやまだが……そういえばザック、お前、今の自分の立場をわかっているか?」
「どういう意味ですか?」
「お前は今、狙われているんだぞ?」
「なぜですか!?」
ザックは飛び上がりそうなほど驚いている。
そりゃそうだよな。
「俺が渡してる、そのアイテムカバンのせいでだ」
「そうでしたか。でも、ノートさんから借りているだけと伝えるようにしているので、大丈夫だと思うんですが」
「そうか。でも万一盗られたら事だし、俺は冒険者ギルドに話してくるよ。その前に、従魔達に飯を食わせてくるかな。あとにしたらまた遅くなりそうだし」
いろいろ考えた結果、俺は従魔達に夕飯を食べさせ、ザックには宿屋に戻ってもらうことにした。ザックとマークは、俺とは違って宿に滞在してるんだよな。
ついでに、同じ宿で静養しているクレアの夕飯も作って持っていくか。
よし、その流れで動こう。
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嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
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13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。

30年待たされた異世界転移
明之 想
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気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
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でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました
紗南
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異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。
国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です
更新は1週間に1度くらいのペースになります。
何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。
自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
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クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
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傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
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アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
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大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
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美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
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わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
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5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
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