バレンタインの後にさよなら~仲良し姉弟の最後のバレンタイン~

倉橋敦司

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永遠のバレンタインの日

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 国際空港。
 唇をなめた。
 そっと唇をハンカチに当てた。
 広げたハンカチに大きく書いた。
 
 <I LOVE YOU!
 ずっと好きだった明日香ちゃんへ     悠>
 
 空港の郵便局でレターセットを買って、明日香ちゃん宛てに送った。
 郵便局を出たら、実母が不機嫌に僕の顔を見た。

 「なにやってるの?のんびりしないでね」

 歩きながら僕に話しかけてくる。

 「これから色々忙しいんだからね。
 シンガポールに行って、財閥の会長の孫娘と会うけれど、その準備があるし・・・
 英語と中国語をしっかり勉強するからね。
 それから・・・」

 なにも答えなかった。これからだって同じだ。

 
 「現代文」で習った。
 人生って・・・
 幸せな季節・・・
 悲しい季節・・・
 苦しい季節・・・
 いろいろな季節があるってこと。 
 これから先、悲しい季節がずっと続いたって・・・
 苦しい季節が終わらなくたって・・・


 僕にはだれよりも幸せな季節があったんだ。


 どんなことがあったって、姉と過ごした幸せな季節のこと・・・
 決して忘れないって思う・・・
                                             【終】
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