バレンタインの後にさよなら~仲良し姉弟の最後のバレンタイン~

倉橋敦司

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バレンタインから十三日②

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 「あの人のこと。ネットで調べた」

 父の声。

 「会社の実績は順調。経営状態もいい。
 だまされた悔しさをバネにがんばったんだと思う」
 「なんでいま、悠を引き取るわけ・・・
 昨日できた会社じゃないでしょ」
 「ネットの情報だとね。
 いま、シンガポールの会社と提携を進めている。
 その会社から、信頼を深めるために姻戚関係を結びたいと言われたみたいだ。
 シンガポールの会社というのは一族で経営していてね。ほかの会社と資本提携するときは、いつも姻戚関係を結んでいる。
 会長の孫娘も候補にあがっている。
 悠の母親にしてみれば、自分の息子を差し出せば、向こうもそれなりの相手を出してくる。
 これから有利なことはまちがいない。だから・・・」

 姉の声がさえぎった。

 「それって生贄じゃない。そんなことに悠を利用するなんて・・・
 お父さんもお母さんも平気なの?
 悠は、先生になりたいって知ってるでしょ」
 「それは向こうが考えることだし・・・」

 少しだけ静けさ・・・
 姉の大声が響いた。

 「お父さんもお母さんも大キライ!
 お金がたくさん貰えるなら悠をあんな女に渡して平気なの。
 あの女は悠のことなんて考えてない。自分の会社、大きくしたいだけ!」

 姉の声って震えてた。
    
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