バレンタインの後にさよなら~仲良し姉弟の最後のバレンタイン~

倉橋敦司

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バレンタインから十日④

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 母の大声。

 「悠と話させて!早く!」

 姉が僕の顏、自分の胸にしっかりと埋めさせた・・・
 姉の胸って柔らかくて・・・
 ミルクのような甘い香りがした・・・
 小さな時からだった・・・
 こうやって姉に甘やかされてきたんだ・・・
 友だちにいじめられて泣いたって・・・
 姉の胸に飛び込めばよかったんだ・・・
 姉がその友だちに大声で怒鳴っているのを・・・
 後ろで見ていればよかったんだ・・・

 姉が軽く僕の耳たぶを噛む。
 痛くなかった・・・
 くすぐったくて気持ちよかった・・・

 「聞いてたよね。
 悠ちゃんって・・・
 たぶん知ってたんだよね!
 このこと・・・」

 僕って答えられなかった。
 姉が僕の顔・・・
 あったかい胸から離してくれなかったから・・・
 だから心の声で答えたんだ・・・

 『姉さんのことね。なんだか姉さんって思えないときがあった。
 だからなんだとなく分かってたんだ・・・』
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