バレンタインの後にさよなら~仲良し姉弟の最後のバレンタイン~

倉橋敦司

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バレンタインから十日⓵

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 バレンタインの後、フツーに毎日が過ぎていく。
 でも少しだけ変化があった。
 二階の部屋で過ごす夜の時間・・・
 寝るときになると、

 「おやすみ」

って部屋を出る。
 ひとりで茶の間で眠る。
 小さいときから・・・
 横にはずっと・・・
 姉がいた・・・
 小学校も中学校も高校も一緒・・・

 布団の中、手をつないで・・・
 学校の行き帰り手をつないで・・・
 遊ぶときだっていつも一緒で・・・

 中学になったら・・・
 隣の布団に姉の寝顔・・・
 なんとなく見てると気がついて目を開ける・・・

 「寒いの?」
 「ううん」

 安心したようにまた目を閉じる・・・

 学生服着て肩を並べてふたりで歩く・・・
 帰りに校門で僕が待ってると・・・
 あわてなくていいのに・・・
 姉が息切らして走ってくる・・・
 歩きだしたら、姉がいろいろ聞いてくる。

 「なにもなかったか?」「いじめられなかったか?」・・・

 細かく聞いてくる。僕、ていねいにひとつひとつ答える。

 その日常が終わろうってしてる。
 姉は大学に入る。
 姉は外務官僚めざしてる。
 僕、姉の大学になんて行かない。
 大学は別々・・・

 
 バレンタインから十日後・・・
 フツーの日常に大きな変化があった。
    
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