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第48話 緊急事態
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ギルドデュエルが終わって1週間が経った。
その間やっていたことと言えば、義手の整備・筋トレ・魔法の訓練ぐらい。
凛空や一色さんと接し、2人の魔法の中で便利だなーと思ったモノをピックアップし、習得しようと練習した。
【拘束釘弾】、【印加重】、【風靴】、【眩光弾】。この4つを練習したが当たりは0。【風靴】なんかは習得して無詠唱で使えたら自由に空を闊歩できるようになって便利だなぁ、と思ったんだが残念。
【拘束釘弾】も凄い強かったし、使えたら戦術の幅が大きく広がったんだがな。魔法には相性があり、相性が悪いとどれだけ練習しても習得できない。どれもしっくりくる感じが一切なかったからこの4つは諦めた方が良さそうだ。
まぁ義手が完全に覚醒した時にまた魔法も見直そう。オーパーツの能力に合わせた魔法を覚えた方が良いからな。
如月は無事、シーカー登録に成功した。これについては特に驚くことではない。スクラップだろうがオーパーツに選ばれた人間は通常シーカーに振り分けられる。如月は後から色々な書類や審査を通って何とかサポーターに振り分けて貰ったのだ。単純な話、神理会はシーカーをとにかく欲している。オーパーツを持つ者がサポーターになる、となれば多くの壁を用意するが、シーカーになると言うなら特に障害を用意しない。
ここ1週間で如月は飯塚との契約の破棄、オッドキャットへの移籍、シーカーへの移行、それらのめんどくさい手続きを全て終えた。さすがに手続きと並行して迷宮探索や訓練をするのは如月に大きな負担になるので、この1週間は迷宮に潜らなかったわけだ。
今日はようやく、如月と初めて迷宮に潜る日だ。待ち合わせは9時、アマツガハラの1階だ。
「そろそろ時間だな」
俺は部屋を出て、アマツガハラへと向かった。
---
アマツガハラ1階、ショッピングモール。
そのアイテムショップの前のソファーに如月は座っていた。相変わらず黒子の格好をしている……。
どうやらあの恰好は飯塚がさせていたわけじゃなく、アイツが自発的にしていたらしい。
「おはよう」
如月はこちらを振り向き、頭を下げる。
「お、おお、おはようございます!」
詰まり気味な挨拶。声が震えている……。
「どうした? 緊張してるのか?」
「うっ……はい。ちょっぴり」
気持ちはわかる。俺は元々サポーター、心もとなくて当然だ。
「最初から上手くいくとは考えてない。今日は下層を中心に攻略して、連携を磨いていこう」
「は、はい!」
「まずは依頼所にクエストボードを確認しに行こうか」
「あ、クエストならもうアプリで受注しました!」
「アプリ?」
「はい! クエスト管理アプリです! ついこの間リリースされたんですよ。アプリでクエストの確認と受注ができるのです!」
如月にスマホを見せてもらう。
ホントだ。便利な世の中になったもんだ……つーかそんなアプリ出たんならもっと大々的に宣伝して欲しかったな。
「どのクエストを受注したんだ?」
「ゴブリンの歯8個、ミミックの空箱2個と、ブリザードウルフの爪6個の納品クエストです」
「どれも下層で取れるな。数もいいとこだ。オッケー、それでいこう」
さすが如月、慣らしにちょうどいいクエストだ。報酬もそれなりだしな。
折半ならたとえこの低ランクのクエストでも美亜と組んでいた時と同じぐらいの金は入るな。
「では……はりきって行きましょうか!」
「ああ!」
ワクワク感が凄いな。
入るまでは俺はサポーターだが、入った後はシーカーとして動く。
シーカーとして……ようやく迷宮を探索できる……!
『緊急放送、緊急放送。ギルド協会より通達』
ショッピングモールに女性の声が響く。館内放送だ。
緊急放送、なんて初めて聞いたな。一体なんだ?
『アマツガハラ全域にてシーカー及びサポーターの行方不明と戦死が続出。よってアマツガハラを一時的に封鎖いたします』
「なにっ!?」
『30分後、ゲートを完全に封鎖します。無理やりゲートに入った場合は迷宮に取り残されるのでお気をつけください』
館内に落胆の声が響く。
「おいおい勘弁してくれよ!! 今日稼がなきゃ明日の飯ねぇんだぞ!!」
「家賃払えねぇって!!」
「今日こそ中層に挑戦しようと思ってたのに!」
「せっかく準備してきたのにそりゃないぜ!」
アマツガハラの探索で生計を立てている者は多い。ゆえにアマツガハラを封鎖されると困る奴多数だ。
それゆえにアマツガハラの封鎖なんてまずしない。たまにメンテナンスとかで休止するが、大体深夜とかにやるからな。こんな日中に封鎖なんてまずありえない。
それだけヤバいことが起きているということだ。気になるな……。
「ど、どうしますか?」
「……入り口広間に行ってみよう。なにかわかるかもしれない」
―――――――
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その間やっていたことと言えば、義手の整備・筋トレ・魔法の訓練ぐらい。
凛空や一色さんと接し、2人の魔法の中で便利だなーと思ったモノをピックアップし、習得しようと練習した。
【拘束釘弾】、【印加重】、【風靴】、【眩光弾】。この4つを練習したが当たりは0。【風靴】なんかは習得して無詠唱で使えたら自由に空を闊歩できるようになって便利だなぁ、と思ったんだが残念。
【拘束釘弾】も凄い強かったし、使えたら戦術の幅が大きく広がったんだがな。魔法には相性があり、相性が悪いとどれだけ練習しても習得できない。どれもしっくりくる感じが一切なかったからこの4つは諦めた方が良さそうだ。
まぁ義手が完全に覚醒した時にまた魔法も見直そう。オーパーツの能力に合わせた魔法を覚えた方が良いからな。
如月は無事、シーカー登録に成功した。これについては特に驚くことではない。スクラップだろうがオーパーツに選ばれた人間は通常シーカーに振り分けられる。如月は後から色々な書類や審査を通って何とかサポーターに振り分けて貰ったのだ。単純な話、神理会はシーカーをとにかく欲している。オーパーツを持つ者がサポーターになる、となれば多くの壁を用意するが、シーカーになると言うなら特に障害を用意しない。
ここ1週間で如月は飯塚との契約の破棄、オッドキャットへの移籍、シーカーへの移行、それらのめんどくさい手続きを全て終えた。さすがに手続きと並行して迷宮探索や訓練をするのは如月に大きな負担になるので、この1週間は迷宮に潜らなかったわけだ。
今日はようやく、如月と初めて迷宮に潜る日だ。待ち合わせは9時、アマツガハラの1階だ。
「そろそろ時間だな」
俺は部屋を出て、アマツガハラへと向かった。
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アマツガハラ1階、ショッピングモール。
そのアイテムショップの前のソファーに如月は座っていた。相変わらず黒子の格好をしている……。
どうやらあの恰好は飯塚がさせていたわけじゃなく、アイツが自発的にしていたらしい。
「おはよう」
如月はこちらを振り向き、頭を下げる。
「お、おお、おはようございます!」
詰まり気味な挨拶。声が震えている……。
「どうした? 緊張してるのか?」
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「最初から上手くいくとは考えてない。今日は下層を中心に攻略して、連携を磨いていこう」
「は、はい!」
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「あ、クエストならもうアプリで受注しました!」
「アプリ?」
「はい! クエスト管理アプリです! ついこの間リリースされたんですよ。アプリでクエストの確認と受注ができるのです!」
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ホントだ。便利な世の中になったもんだ……つーかそんなアプリ出たんならもっと大々的に宣伝して欲しかったな。
「どのクエストを受注したんだ?」
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「どれも下層で取れるな。数もいいとこだ。オッケー、それでいこう」
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折半ならたとえこの低ランクのクエストでも美亜と組んでいた時と同じぐらいの金は入るな。
「では……はりきって行きましょうか!」
「ああ!」
ワクワク感が凄いな。
入るまでは俺はサポーターだが、入った後はシーカーとして動く。
シーカーとして……ようやく迷宮を探索できる……!
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ショッピングモールに女性の声が響く。館内放送だ。
緊急放送、なんて初めて聞いたな。一体なんだ?
『アマツガハラ全域にてシーカー及びサポーターの行方不明と戦死が続出。よってアマツガハラを一時的に封鎖いたします』
「なにっ!?」
『30分後、ゲートを完全に封鎖します。無理やりゲートに入った場合は迷宮に取り残されるのでお気をつけください』
館内に落胆の声が響く。
「おいおい勘弁してくれよ!! 今日稼がなきゃ明日の飯ねぇんだぞ!!」
「家賃払えねぇって!!」
「今日こそ中層に挑戦しようと思ってたのに!」
「せっかく準備してきたのにそりゃないぜ!」
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それゆえにアマツガハラの封鎖なんてまずしない。たまにメンテナンスとかで休止するが、大体深夜とかにやるからな。こんな日中に封鎖なんてまずありえない。
それだけヤバいことが起きているということだ。気になるな……。
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