51 / 74
第三章 カムラ聖堂院
第五十一話 戦いにはならない
しおりを挟む
ロゼは背に携えていた杖を抜き、杖を手に祈りを始める。瞼を下ろし、杖を横にし、魔力を立ち昇らせる。
10秒経つ毎に蛍のような黄緑の光が一つ、また一つとロゼの周りに漂う。この光は妖精だ。
妖精魔法――それはエルフのみが使える特別な魔法。魔力を消費し、祈りを捧げることで妖精(魔法端末とも呼ばれる)を生み出すことができる。
妖精は召喚者と感覚を共有でき、さらに魔法も使える小さな魔法使いだ。妖精は魔力の塊であるため、魔弾として使うこともできるし、盾にすることもできる。応用幅はかなり広い。
妖精の生成スピードと同時に使役できる個体数はエルフの技量に依る。平均的なエルフで1分毎に1体生み出すことができ、同時使役個体数は5体ほど。ロゼはエルフの中でも能力が高いため、10秒で1体生成でき、最大で20体同時に動かせる。
ロゼは200秒で20体の妖精を生み出し、一斉に散らせた。
「妖精を20体散らせたわ。頬に傷のある男を見つけたら私に連絡するよう指示を出した。妖精の最大時速は200キロ、最小サイズは砂粒ぐらいまでいくから小さな隙間も抜けられる。妖精たちが暗殺者を見つけるのは時間の問題よ」
小さなロゼが20体散った、と考えていい。
「すげぇな。妖精魔法は何度か見たことあるが、これだけの数の妖精を出してここまで器用に扱えるエルフは初めてだ」
「これでも王女の護衛を任せられるぐらいには優秀だから。ダンザ、あなたが指揮を執ってみんなに指示を出しなさい」
「俺か? 経験で言ったらロゼがリーダーをやるべきだろ」
「私は妖精の操作で手一杯なの」
ロゼが試すような目つきで見てくる。『この30年近くでどれだけ成長したか見せなさい』とでも言いたげだ。
「ったく、わかったよ。とりあえずロゼはここで妖精操作に集中。ドクト、お前は彼女の護衛についてくれ」
「まっかせなさい!」
「ハヅキ。スピード特化ならジェイクから逃げ切れるか?」
「可能です」
「よし。それなら俺とお前は単独でジェイクを探す。ハヅキはジェイクを見つけても交戦せず、すぐにジェイクから離れて俺たちの誰かに報告すること。異論はあるか?」
俺はロゼの方を見る。
「いいんじゃない。でも一つ心配なのはあなたよ。あなたはジェイク相手に逃げ切れる足を持ってるの?」
ドクトとハヅキが「え?」と同時に口にする。
「なに言ってんだ。コイツならジェイクなんてやつ、瞬殺だろう」
「瞬殺できるかはわかりませんが、まず負けることはないですね」
「? 相手はA級冒険者並み……なのよね?」
「あ~……うん、ロゼの言いたいことはわかる。昔の俺の実力を考えればまず勝てないからな」
昔はオークにすら歯が立たなかった。
あの頃の俺を知っているロゼからすれば、俺がリザードマンに転生したと言っても、俺の実力を信用できないのは当然。
「でも、信じてくれ。俺は負けないよ」
俺が自信満々に言うと、ロゼは半信半疑ながらも「わかったわ」と認めた。
俺たちは三方に別れ、ジェイクの捜索を始める。
---
クイーン寮の近くにいた。ということは、相手の狙いはクイーン寮に住む誰かの可能性が高い。
クイーン寮はこの街で最良の寮だ。そこに住む生徒は必然とパラディンクラスの人間が多い。パラディンクラスの一年生、二年生、三年生……もしくはその守護騎士が狙いだろう。中でも王族が多く存在する一年生が濃厚か。そうなると、現在一年パラディンクラスが揃う大講堂の近くにいる確率が高いか? ――いや、まず大講堂の近くにジェイクは居ないだろう。
もし今日、暗殺を決行するとして、入学式中に襲うことはまずない。腕利きの守護騎士と教師が揃っているからな。あれだけの手練れが揃う大講堂の近くに行くことすら危険だ。
狙うなら入学式の後だ。解散し、寮に帰る道中だ。大講堂からクイーン寮への道で一番闇討ちが狙いやすいのは――
(ここだな)
人通りの多い大通り。商店街だ。
通常、闇討ちするなら人気のない場所がベスト。しかし大講堂からクイーン寮までの道で人気のない道はない。そうなると真逆の場所、人通りの多い場所が闇討ちに適している。人が多い場所なら人の影に隠れターゲットに近づくことができるし、暗殺後も人に紛れて逃走しやすい。
あくまで確率が高いだけでここにいるという確証はない。
俺はレストランの屋根の上に行き、神竜眼の超視力で一人一人の顔を凝視する。素早く、一人当たり0.001秒で顔を判別する。
――居た。
カフェのテラス席でコーヒーを飲んでいる。頬に傷のあるオールバックの男……間違いない。
しかし、見つけると同時に目が合った。距離は1キロほどあるが、あっちも俺の存在を認識したようだ。奴も奴で超人的な視力を持っている。
奴はカップをテーブルに置くと、瞬く間に姿を消した。カフェの店員が食い逃げに一切気づかないほどの速度。周囲の客も、奴が消えたことに気づいていない。目の前で人が消えれば誰でも驚き、大声を出してしまうだろう。だがそれがない。ただ姿を消しただけじゃない、全員の意識が自分に向いていないタイミングで姿を消したのだ。だから誰も気づかない。十数人の意識を同時に把握できるとはな、暗殺者としての技量の高さが伺える。
俺は屋根を渡り、ジェイクの背中を追う。
距離を100メートルまで詰めたところで、速度を緩めこの距離を保つ。奴はどんどん人気のない方へ行く。好都合だ。俺も俺で人目のあるところで戦いたくないからな。余計な騒ぎは起こしたくない。
奴は教会へ入る。俺も後を追い、教会へ入った。
教会には誰もいない。俺と奴以外いない。
――礼拝堂。
奴は女神像を見上げていた。俺は奴の背中に近づく。
「この教会は週に二度しか開いて無くてな。今日は休みなんだ」
奴は俺に背中を向けたまま、話し出す。余程実力に自信があるんだな。
「人が少ない教会が好きでね。神秘さ、神聖さを肌で感じることができる」
「人が多いと感じないのか?」
「ああ。どんな神秘的な場所でも、人間に溢れていれば神々しさを失う。持論だが、神は恥ずかしがり屋なんじゃないかと思ってるんだ。だから人が多い場所にはその神々しさを発揮しない」
どうでもいい。
「神を信じているわけじゃないが、女神様の前で戦うのは嫌だな。表に出ろ」
「安心しろ。戦いにはならない。一方的な蹂躙に――」
俺は奴に一息で近づき、その首根っこを掴む。
「!!?」
奴が何かしらの防御策をする前に奴を引っ張り、超高速で教会の入り口扉の前に行き、扉に向けてジェイクを投げる。扉に背中からぶつかり、扉を開き、外に飛び出るジェイク。
「つぅ……!!」
ジェイクは投げ出されながらも空中で姿勢を直し、路地に着地する。
教会の前の通りは裏通りで、人の気配はない。戦いの場として悪くない。
「色々と聞きたいことはあるが……とりあえずぶっ倒す」
そう言って俺は刀に手を添える。
「同じく、だ」
ジェイクは拳を構えた。その顔には先ほどまでの余裕はない。
―――――――
面白かったらお気に入り登録&ハートの付与お願いします!
10秒経つ毎に蛍のような黄緑の光が一つ、また一つとロゼの周りに漂う。この光は妖精だ。
妖精魔法――それはエルフのみが使える特別な魔法。魔力を消費し、祈りを捧げることで妖精(魔法端末とも呼ばれる)を生み出すことができる。
妖精は召喚者と感覚を共有でき、さらに魔法も使える小さな魔法使いだ。妖精は魔力の塊であるため、魔弾として使うこともできるし、盾にすることもできる。応用幅はかなり広い。
妖精の生成スピードと同時に使役できる個体数はエルフの技量に依る。平均的なエルフで1分毎に1体生み出すことができ、同時使役個体数は5体ほど。ロゼはエルフの中でも能力が高いため、10秒で1体生成でき、最大で20体同時に動かせる。
ロゼは200秒で20体の妖精を生み出し、一斉に散らせた。
「妖精を20体散らせたわ。頬に傷のある男を見つけたら私に連絡するよう指示を出した。妖精の最大時速は200キロ、最小サイズは砂粒ぐらいまでいくから小さな隙間も抜けられる。妖精たちが暗殺者を見つけるのは時間の問題よ」
小さなロゼが20体散った、と考えていい。
「すげぇな。妖精魔法は何度か見たことあるが、これだけの数の妖精を出してここまで器用に扱えるエルフは初めてだ」
「これでも王女の護衛を任せられるぐらいには優秀だから。ダンザ、あなたが指揮を執ってみんなに指示を出しなさい」
「俺か? 経験で言ったらロゼがリーダーをやるべきだろ」
「私は妖精の操作で手一杯なの」
ロゼが試すような目つきで見てくる。『この30年近くでどれだけ成長したか見せなさい』とでも言いたげだ。
「ったく、わかったよ。とりあえずロゼはここで妖精操作に集中。ドクト、お前は彼女の護衛についてくれ」
「まっかせなさい!」
「ハヅキ。スピード特化ならジェイクから逃げ切れるか?」
「可能です」
「よし。それなら俺とお前は単独でジェイクを探す。ハヅキはジェイクを見つけても交戦せず、すぐにジェイクから離れて俺たちの誰かに報告すること。異論はあるか?」
俺はロゼの方を見る。
「いいんじゃない。でも一つ心配なのはあなたよ。あなたはジェイク相手に逃げ切れる足を持ってるの?」
ドクトとハヅキが「え?」と同時に口にする。
「なに言ってんだ。コイツならジェイクなんてやつ、瞬殺だろう」
「瞬殺できるかはわかりませんが、まず負けることはないですね」
「? 相手はA級冒険者並み……なのよね?」
「あ~……うん、ロゼの言いたいことはわかる。昔の俺の実力を考えればまず勝てないからな」
昔はオークにすら歯が立たなかった。
あの頃の俺を知っているロゼからすれば、俺がリザードマンに転生したと言っても、俺の実力を信用できないのは当然。
「でも、信じてくれ。俺は負けないよ」
俺が自信満々に言うと、ロゼは半信半疑ながらも「わかったわ」と認めた。
俺たちは三方に別れ、ジェイクの捜索を始める。
---
クイーン寮の近くにいた。ということは、相手の狙いはクイーン寮に住む誰かの可能性が高い。
クイーン寮はこの街で最良の寮だ。そこに住む生徒は必然とパラディンクラスの人間が多い。パラディンクラスの一年生、二年生、三年生……もしくはその守護騎士が狙いだろう。中でも王族が多く存在する一年生が濃厚か。そうなると、現在一年パラディンクラスが揃う大講堂の近くにいる確率が高いか? ――いや、まず大講堂の近くにジェイクは居ないだろう。
もし今日、暗殺を決行するとして、入学式中に襲うことはまずない。腕利きの守護騎士と教師が揃っているからな。あれだけの手練れが揃う大講堂の近くに行くことすら危険だ。
狙うなら入学式の後だ。解散し、寮に帰る道中だ。大講堂からクイーン寮への道で一番闇討ちが狙いやすいのは――
(ここだな)
人通りの多い大通り。商店街だ。
通常、闇討ちするなら人気のない場所がベスト。しかし大講堂からクイーン寮までの道で人気のない道はない。そうなると真逆の場所、人通りの多い場所が闇討ちに適している。人が多い場所なら人の影に隠れターゲットに近づくことができるし、暗殺後も人に紛れて逃走しやすい。
あくまで確率が高いだけでここにいるという確証はない。
俺はレストランの屋根の上に行き、神竜眼の超視力で一人一人の顔を凝視する。素早く、一人当たり0.001秒で顔を判別する。
――居た。
カフェのテラス席でコーヒーを飲んでいる。頬に傷のあるオールバックの男……間違いない。
しかし、見つけると同時に目が合った。距離は1キロほどあるが、あっちも俺の存在を認識したようだ。奴も奴で超人的な視力を持っている。
奴はカップをテーブルに置くと、瞬く間に姿を消した。カフェの店員が食い逃げに一切気づかないほどの速度。周囲の客も、奴が消えたことに気づいていない。目の前で人が消えれば誰でも驚き、大声を出してしまうだろう。だがそれがない。ただ姿を消しただけじゃない、全員の意識が自分に向いていないタイミングで姿を消したのだ。だから誰も気づかない。十数人の意識を同時に把握できるとはな、暗殺者としての技量の高さが伺える。
俺は屋根を渡り、ジェイクの背中を追う。
距離を100メートルまで詰めたところで、速度を緩めこの距離を保つ。奴はどんどん人気のない方へ行く。好都合だ。俺も俺で人目のあるところで戦いたくないからな。余計な騒ぎは起こしたくない。
奴は教会へ入る。俺も後を追い、教会へ入った。
教会には誰もいない。俺と奴以外いない。
――礼拝堂。
奴は女神像を見上げていた。俺は奴の背中に近づく。
「この教会は週に二度しか開いて無くてな。今日は休みなんだ」
奴は俺に背中を向けたまま、話し出す。余程実力に自信があるんだな。
「人が少ない教会が好きでね。神秘さ、神聖さを肌で感じることができる」
「人が多いと感じないのか?」
「ああ。どんな神秘的な場所でも、人間に溢れていれば神々しさを失う。持論だが、神は恥ずかしがり屋なんじゃないかと思ってるんだ。だから人が多い場所にはその神々しさを発揮しない」
どうでもいい。
「神を信じているわけじゃないが、女神様の前で戦うのは嫌だな。表に出ろ」
「安心しろ。戦いにはならない。一方的な蹂躙に――」
俺は奴に一息で近づき、その首根っこを掴む。
「!!?」
奴が何かしらの防御策をする前に奴を引っ張り、超高速で教会の入り口扉の前に行き、扉に向けてジェイクを投げる。扉に背中からぶつかり、扉を開き、外に飛び出るジェイク。
「つぅ……!!」
ジェイクは投げ出されながらも空中で姿勢を直し、路地に着地する。
教会の前の通りは裏通りで、人の気配はない。戦いの場として悪くない。
「色々と聞きたいことはあるが……とりあえずぶっ倒す」
そう言って俺は刀に手を添える。
「同じく、だ」
ジェイクは拳を構えた。その顔には先ほどまでの余裕はない。
―――――――
面白かったらお気に入り登録&ハートの付与お願いします!
48
お気に入りに追加
245
あなたにおすすめの小説
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう
果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。
名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。
日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。
ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。
この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。
しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて――
しかも、その一部始終は生放送されていて――!?
《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》
《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》
SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!?
暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する!
※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。
※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。
家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?
大人気ダンジョン配信者のサポーターをやっていたけど、あまりにパワハラが酷いから辞めることにする。ん? なんか再生数激オチしているけど大丈夫?
空松蓮司
ファンタジー
「アンタは1人じゃ何もできない」
事あるごとにそう言い放ってくるパートナー、成瀬美亜にうんざりしつつも葉村志吹は彼女をサポートし続けた。
過去にモンスターに右腕を喰われ隻腕となり、さらに何も特殊な能力を持たない自分を雇ってくれるのは美亜だけ……そう志吹は思い込み、どれだけパワハラされようが耐えてきた。
しかし、現実は違った。
確かに志吹は隻腕で、特殊能力を持たない。だがそのサポート能力は最高レベルであり、美亜のダンジョン配信を見ている視聴者達の目当ても美亜ではなく志吹の完璧なまでのサポート能力だった。そんな高い能力を持つ志吹が放置されるわけがなく、彼は美亜より遥か格上のS級シーカー・唯我阿弥数にギルドへの勧誘を受ける。
「今日はギルドへの勧誘に来たんだ」
「そういう話なら美亜を交えて改めて場を設けるよ。今日はグラビアの撮影で忙しいから、後日都合の良い日に……」
「え? 成瀬美亜ちゃん? 彼女はいらないよ別に」
「ん? 美亜の勧誘じゃないのか?」
「君がどうしてもと言うなら入れてあげてもいいけど、特に魅力は感じないな。僕が欲しいのは君だけだよ」
自分に敬意を示し、真摯に接してくれる唯我と自分を見下し、雑に扱う美亜……比べるまでもなく志吹は唯我を選び、美亜とのパートナー契約を打ち切る。
新たなギルドで正当な評価を受け始める志吹。
一方で志吹を失い、動画の再生数が落ち込んでいく美亜。
やがて美亜は自分の失墜を志吹のせいにし、自分が所属するギルドにありもしないことを吹き込んで志吹を悪者に仕立て上げ、ギルドを率いて志吹への復讐を企てる……。
無能と罵られ続けた実は有能な男が、環境を変えたことをきっかけに正当な評価を受け始める迷宮成り上がりファンタジー、ここに開幕。
俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜
平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。
『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。
この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。
その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。
一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる