8 / 28
第一章 月と兎
第8話 高嶺の花
しおりを挟む
「断る」
ハッキリと言い切る。
「……なぜでしょうか?」
「たとえどれだけかるなちゃまのファンだったとしても、この前綺鳴に会ったことはやっぱり駄目だったと思う。反省してるんだよ。俺たちファンは画面を挟んでVチューバーと接するべきだ」
「なるほど……合格です」
「合格?」
「私の誘いに対して下心丸出しで了承するようでは、トラブルシューターを任せられませんでした。あなた自身が新たなトラブルになるのは最悪のケースですからね」
「合格だろうが不合格だろうが、俺はトラブルシューターなんてごめんだ」
「今さら反省しても遅いですよ。あなたはもう関わってしまった。朝影綺鳴に、月鐘かるなに、6期生に……」
麗歌が詰め寄ってくる。
俺は麗歌から逃げようと後ずさるが、扉横の壁に押し込まれてしまった。麗歌は至近距離で俺の目を見上げてきやがる。僅かに伏せた二重瞼、長いまつ毛、綺麗な翡翠の眼。改めて思うが、すげー整った顔だ。
「おまっ!? 近いって!」
「昴先輩……あなたが思っている以上に6期生は薄氷の上に立っています。このまま見殺しにするつもりですか?」
「それは……」
「もっと6期生を見ていたいですよね? だったら、手伝ってください」
それでも渋る俺に対し、麗歌はやや呆れた様子で、
「もしも昴先輩がここで断り、その半年後にでも6期生が全員卒業した場合を想像してみてください。その時、あなたはなにを思うでしょう」
想像してみる。
『皆さん、これまで応援ありがとうございました! 私、七絆ヒセキは今日をもって卒業します!!』
ヒセキ店長……!
『みんな、ごめんね。色々あって、私……エグゼドライブを辞めることにしたから』
れっちゃん……!
『弊社所属タレントである天空ハクアは諸事情により本日をもって活動を終了いたします。byスタッフ』
ハクアたん……!
『本当の本当に残念だけど、月鐘かるなは今日でエグゼドライブを辞めます。これまで応援ありがとうございました。みんなとの思い出は……永遠に不滅だよっ!』
かるなちゃま……!!
4人の卒業を見届けた俺はきっと頭を抱え、こう思うだろう。
「あの時、俺が麗歌の話を受けていたら、なにか変わっていたのだろうか……!」
「正解です」
「――ああ、もうちくしょう! わかったよ! やってやるよトラブルシューター! 6期生のためなら、この身すべて捧げてやる!!」
麗歌は「そうですか」と距離を取る。
「それは良かったです。指令は改めて伝えます。一応、忠告しておきますが、Vチューバーはアイドル……不純異性交遊はご法度です。くれぐれも6期生の面々に手を出さないように」
「そんぐらい言われないでもわかってるよ!」
「もしも、彼女たちと接する内に性欲を抑えられなくなったら……」
麗歌はクスりと、いつもの小悪魔な笑顔をして、また近づいてくる。
「私がお相手しますので、いつでもお申し付けください」
麗歌は胸を、俺の下腹部に押し付けてきた。
見た目は慎ましくも、しっかり重量感のあるやわらかい感触を腹に感じる。
「なにっ!? それってつまり――」
「なーんて、冗談ですよ」
麗歌は後ろで手を組み、意地の悪い目で俺を見た後、屋上を去っていった。
なんて、なんて――
「生意気な後輩だ……!」
俺の方が年上なのに、終始ペースを握られてしまった。
屋上から教室に戻ると、なぜか俺と綺鳴の席の周りに人だかりができていた。
クラスメイトの口々から「かわいい」だの「天使……」だのと声が聞こえる。
「ちょい、通してくれ」
人だかりを抜けると――座って眠っている綺鳴の姿があった。
左頬を下にして、腕を枕にして気持ちよさそうに眠っている。腕に押し付けられ、ぷにっと潰れた頬っぺたが愛おしい。もっちもちの大福のようだ。つい指でツンと突きたくなる。
妹は悪魔だが、姉は天使だな。
---
メイド喫茶〈MoonRabbit〉。俺のバイト先である。
その厨房で俺はフライパンを振っていた。米粒が宙を舞う。
「今日はオムライスばっかだな~。オムライス、オムライス、オムライス。さすがに飽きてきたぜ」
そう俺の隣でフライパンを振りながら愚痴を零しているのはこのメイド喫茶の店長だ。26歳の男性である。大人の色気を持つ人で、男の俺から見てもカッコいい。普通にアイドルとかできそう。
この店長と2人でメイド喫茶の料理を作るのが俺の主な業務だ。
「……」
「どうした兎神、今日は口数少ないな。なにか悩み事か?」
「えぇ、まぁ」
「お兄さんが相談に乗ってやろうか?」
「う~ん、そうですね。じゃあ聞いてもらえますか?」
「おう。暇つぶしにな」
詳細を伝える気はない。
あくまでぼかして相談する。
「俺には憧れの人が居て、その憧れの人に近づけるチャンスを貰ったのですが……なんか、気が乗らなくて」
「ほぉ、その相手ってのは女子か?」
「はい」
「それはあれだな、その相手のことを理解するのが怖いんじゃないか?」
「理解するのが怖い? そんなことありますか?」
「あるだろ。人間なんて解像度を上げるほどボロが出るもんだ。お前はその子と喋りたいわけでもその子に触れたいわけでもなくて、お前はただその子を眺めていたいだけなのかもな。深く知ることなく、不明瞭な彼女のままでいてほしい。ミステリアスってのは男女共に大好きだからなぁ」
「ただ眺めていたいだけ……」
「高嶺の花ってのは手の届かないところにあるから、美しく見えるのかもしれないって話だ」
なるほどな。今の言葉は腑に落ちる。
俺はただ、彼女を、彼女たちを遠くから見ていたいのかもしれない。
手の届かない月だからこそ、美しく見えているのかもしれない。
「もちろん、逆のパターンもあると思うぜ」
「逆、ですか」
「間近で見たらもっと美しかったってパターンさ」
そう言って店長は口に咥えたシガレット(棒状の砂糖菓子)を口に含んだ。
「パフェ2つお願いしまーす!」
メイドさんの1人が注文してくる。
ちなみにウチのメイドは全員頭にウサギ耳をつけているのが特徴だ。可愛いから、ぜひ一回ご来店してほしいね。
「ちっ、パフェなんて頼んでんじゃねぇよ。めんどくせぇな。おとなしくオムライスにしとけや」
「……さっきと言ってること違いますよ。いいっすよ、俺が作るんで」
---
バイト帰り。
5月の夜の寒さを舐めて、半袖で来たことを後悔していると、ポケットに入ったスマホがピロンと鳴った。
スマホを見ると麗歌からメッセージが届いていた。
《昴先輩、大変です》
その一文から嫌な予感が背筋を走った。
そして予感はすぐさま的中する。
《このままでは、月鐘かるなは卒業してしまいます》
「な……」
俺は手に持っていたコーラとポテチの入ったコンビニ袋を落とした。
「なにいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃっっ!!!!?」
《詳細は明日の朝、私たちの家でお話しします》
―――――――
面白かったらお気に入り登録&ハートの付与お願いします!
ハッキリと言い切る。
「……なぜでしょうか?」
「たとえどれだけかるなちゃまのファンだったとしても、この前綺鳴に会ったことはやっぱり駄目だったと思う。反省してるんだよ。俺たちファンは画面を挟んでVチューバーと接するべきだ」
「なるほど……合格です」
「合格?」
「私の誘いに対して下心丸出しで了承するようでは、トラブルシューターを任せられませんでした。あなた自身が新たなトラブルになるのは最悪のケースですからね」
「合格だろうが不合格だろうが、俺はトラブルシューターなんてごめんだ」
「今さら反省しても遅いですよ。あなたはもう関わってしまった。朝影綺鳴に、月鐘かるなに、6期生に……」
麗歌が詰め寄ってくる。
俺は麗歌から逃げようと後ずさるが、扉横の壁に押し込まれてしまった。麗歌は至近距離で俺の目を見上げてきやがる。僅かに伏せた二重瞼、長いまつ毛、綺麗な翡翠の眼。改めて思うが、すげー整った顔だ。
「おまっ!? 近いって!」
「昴先輩……あなたが思っている以上に6期生は薄氷の上に立っています。このまま見殺しにするつもりですか?」
「それは……」
「もっと6期生を見ていたいですよね? だったら、手伝ってください」
それでも渋る俺に対し、麗歌はやや呆れた様子で、
「もしも昴先輩がここで断り、その半年後にでも6期生が全員卒業した場合を想像してみてください。その時、あなたはなにを思うでしょう」
想像してみる。
『皆さん、これまで応援ありがとうございました! 私、七絆ヒセキは今日をもって卒業します!!』
ヒセキ店長……!
『みんな、ごめんね。色々あって、私……エグゼドライブを辞めることにしたから』
れっちゃん……!
『弊社所属タレントである天空ハクアは諸事情により本日をもって活動を終了いたします。byスタッフ』
ハクアたん……!
『本当の本当に残念だけど、月鐘かるなは今日でエグゼドライブを辞めます。これまで応援ありがとうございました。みんなとの思い出は……永遠に不滅だよっ!』
かるなちゃま……!!
4人の卒業を見届けた俺はきっと頭を抱え、こう思うだろう。
「あの時、俺が麗歌の話を受けていたら、なにか変わっていたのだろうか……!」
「正解です」
「――ああ、もうちくしょう! わかったよ! やってやるよトラブルシューター! 6期生のためなら、この身すべて捧げてやる!!」
麗歌は「そうですか」と距離を取る。
「それは良かったです。指令は改めて伝えます。一応、忠告しておきますが、Vチューバーはアイドル……不純異性交遊はご法度です。くれぐれも6期生の面々に手を出さないように」
「そんぐらい言われないでもわかってるよ!」
「もしも、彼女たちと接する内に性欲を抑えられなくなったら……」
麗歌はクスりと、いつもの小悪魔な笑顔をして、また近づいてくる。
「私がお相手しますので、いつでもお申し付けください」
麗歌は胸を、俺の下腹部に押し付けてきた。
見た目は慎ましくも、しっかり重量感のあるやわらかい感触を腹に感じる。
「なにっ!? それってつまり――」
「なーんて、冗談ですよ」
麗歌は後ろで手を組み、意地の悪い目で俺を見た後、屋上を去っていった。
なんて、なんて――
「生意気な後輩だ……!」
俺の方が年上なのに、終始ペースを握られてしまった。
屋上から教室に戻ると、なぜか俺と綺鳴の席の周りに人だかりができていた。
クラスメイトの口々から「かわいい」だの「天使……」だのと声が聞こえる。
「ちょい、通してくれ」
人だかりを抜けると――座って眠っている綺鳴の姿があった。
左頬を下にして、腕を枕にして気持ちよさそうに眠っている。腕に押し付けられ、ぷにっと潰れた頬っぺたが愛おしい。もっちもちの大福のようだ。つい指でツンと突きたくなる。
妹は悪魔だが、姉は天使だな。
---
メイド喫茶〈MoonRabbit〉。俺のバイト先である。
その厨房で俺はフライパンを振っていた。米粒が宙を舞う。
「今日はオムライスばっかだな~。オムライス、オムライス、オムライス。さすがに飽きてきたぜ」
そう俺の隣でフライパンを振りながら愚痴を零しているのはこのメイド喫茶の店長だ。26歳の男性である。大人の色気を持つ人で、男の俺から見てもカッコいい。普通にアイドルとかできそう。
この店長と2人でメイド喫茶の料理を作るのが俺の主な業務だ。
「……」
「どうした兎神、今日は口数少ないな。なにか悩み事か?」
「えぇ、まぁ」
「お兄さんが相談に乗ってやろうか?」
「う~ん、そうですね。じゃあ聞いてもらえますか?」
「おう。暇つぶしにな」
詳細を伝える気はない。
あくまでぼかして相談する。
「俺には憧れの人が居て、その憧れの人に近づけるチャンスを貰ったのですが……なんか、気が乗らなくて」
「ほぉ、その相手ってのは女子か?」
「はい」
「それはあれだな、その相手のことを理解するのが怖いんじゃないか?」
「理解するのが怖い? そんなことありますか?」
「あるだろ。人間なんて解像度を上げるほどボロが出るもんだ。お前はその子と喋りたいわけでもその子に触れたいわけでもなくて、お前はただその子を眺めていたいだけなのかもな。深く知ることなく、不明瞭な彼女のままでいてほしい。ミステリアスってのは男女共に大好きだからなぁ」
「ただ眺めていたいだけ……」
「高嶺の花ってのは手の届かないところにあるから、美しく見えるのかもしれないって話だ」
なるほどな。今の言葉は腑に落ちる。
俺はただ、彼女を、彼女たちを遠くから見ていたいのかもしれない。
手の届かない月だからこそ、美しく見えているのかもしれない。
「もちろん、逆のパターンもあると思うぜ」
「逆、ですか」
「間近で見たらもっと美しかったってパターンさ」
そう言って店長は口に咥えたシガレット(棒状の砂糖菓子)を口に含んだ。
「パフェ2つお願いしまーす!」
メイドさんの1人が注文してくる。
ちなみにウチのメイドは全員頭にウサギ耳をつけているのが特徴だ。可愛いから、ぜひ一回ご来店してほしいね。
「ちっ、パフェなんて頼んでんじゃねぇよ。めんどくせぇな。おとなしくオムライスにしとけや」
「……さっきと言ってること違いますよ。いいっすよ、俺が作るんで」
---
バイト帰り。
5月の夜の寒さを舐めて、半袖で来たことを後悔していると、ポケットに入ったスマホがピロンと鳴った。
スマホを見ると麗歌からメッセージが届いていた。
《昴先輩、大変です》
その一文から嫌な予感が背筋を走った。
そして予感はすぐさま的中する。
《このままでは、月鐘かるなは卒業してしまいます》
「な……」
俺は手に持っていたコーラとポテチの入ったコンビニ袋を落とした。
「なにいいいいいいいいいいいいいいいいぃぃぃっっ!!!!?」
《詳細は明日の朝、私たちの家でお話しします》
―――――――
面白かったらお気に入り登録&ハートの付与お願いします!
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
ゼンタイリスト! 全身タイツなひとびと
ジャン・幸田
ライト文芸
ある日、繁華街に影人間に遭遇した!
それに興味を持った好奇心旺盛な大学生・誠弥が出会ったのはゼンタイ好きの連中だった。
それを興味本位と学術的な興味で追っかけた彼は驚異の世界に遭遇する!
なんとかして彼ら彼女らの心情を理解しようとして、振り回される事になった誠弥は文章を纏められることができるのだろうか?
隣の家の幼馴染は学園一の美少女だが、ぼっちの僕が好きらしい
四乃森ゆいな
ライト文芸
『この感情は、幼馴染としての感情か。それとも……親友以上の感情だろうか──。』
孤独な読書家《凪宮晴斗》には、いわゆる『幼馴染』という者が存在する。それが、クラスは愚か学校中からも注目を集める才色兼備の美少女《一之瀬渚》である。
しかし、学校での直接的な接触は無く、あってもメッセージのやり取りのみ。せいぜい、誰もいなくなった教室で一緒に勉強するか読書をするぐらいだった。
ところが今年の春休み──晴斗は渚から……、
「──私、ハル君のことが好きなの!」と、告白をされてしまう。
この告白を機に、二人の関係性に変化が起き始めることとなる。
他愛のないメッセージのやり取り、部室でのお昼、放課後の教室。そして、お泊まり。今までにも送ってきた『いつもの日常』が、少しずつ〝特別〟なものへと変わっていく。
だが幼馴染からの僅かな関係の変化に、晴斗達は戸惑うばかり……。
更には過去のトラウマが引っかかり、相手には迷惑をかけまいと中々本音を言い出せず、悩みが生まれてしまい──。
親友以上恋人未満。
これはそんな曖昧な関係性の幼馴染たちが、本当の恋人となるまでの“一年間”を描く青春ラブコメである。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる