風俗からの脱出  - 男から見た女 -

おおぎや ちあき

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第5章

娘さんが羨ましい

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彼女とうちの娘は、産まれがひと月違いで、俺から見たら彼女というより、まさに娘なのである。

俺がそう言うと、美穂は 私は好きで彼女になってるんだから、娘でも愛人とかでもないよ と言う。

たまに、娘がわがままで困ると言う話をすると彼女は、
娘さんが羨ましい といつも言う。

彼女は、既に両親も亡くなってて、不良だった姉二人もどこに住んでいるのかも知らないと言う。

天涯孤独?
親戚とかはいるんだろうけど、聞いたこともない。
父親は長崎で、母親は福島の出身で、お墓はそちらにあると言っていた。

三人姉妹なんだけど、彼女だけがすごく可愛がられて育てられたようなことを言っていた。
それで姉2人がグレてしまったのではと。

まあ、自分のこれまでの境遇と較べて、うちの娘などは彼女の中ではお嬢様に写っているのだと思う。

娘は、産まれてから何も苦労せず、小さい時からピアノだけを弾いて、
そのまま音大に進み、一度も働くこともなく医者と結婚して、
一児の母となり、今年市内に一戸建て住宅を買って住んでいる。

未だに親には甘え放題で毎週のようにたかりに来る。

俺から見てもあまりにこれまでの境遇が娘とは違い過ぎて、それで彼女のことを娘との比較から同情して支援してしまったことは事実である。

彼女にしても、デリヘル 闇金地獄から救い出してくれた俺に対して、お金を返済しないで逃げようとしてるわけではなくて、ちゃんと返す気はあるとこれまで何回も確認した。

でも、なかなか世の中彼女の思うようにはいかない。

現に、現在新型ウィルスの影響で、夜の店は閉ざされたまま。
他の仕事を当たっても採用されず、家で籠ったまま過ごしている。

もう来月の家賃や生活費も持ってない筈
どうするんだろうか?

早く10万円の政府支援金を貰わないと、ご飯も食べられなくなるんだろうな。

そんな人は、いっぱいいるよ。
風俗やってた子なんてみんなそう。

どんぶり勘定だし、持てば持ったでパッと使ってしまうような人多いし。

まあ、あと暫くしたら、また援助を求めてくるのかもしれないけど、
自分も今回また株で相当な損失を出しており、銀行からも借り入れしてるため、彼女を支援する余裕はない。

困ったなあ、お互いに。


さて、話しを昨年秋に戻そう。

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