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第二章
俺の住んでた時代
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俺は昭和生まれで、高校卒業後首都圏の大学に進学、そのまま本社が東京にある大きな会社に就職した。
新人教育が終わり最初の赴任地は静岡だった。
そこの事務所に勤めていた女性と結婚して29歳の時に長女が、そして31歳で長男が産まれた。
長男が産まれて直ぐ転勤となり、初めて名古屋の地にきた。
住めば都とは言うが、生まれ育った地や首都圏や静岡とは違い、この名古屋という地域は気候的にキツくて何年住んでいても慣れない。
夏は毎年40度を超える日があるし、冬は寒い日はマイナス3度くらいにはなる。
流されてこの地に来てしまったというのが本音で、何の縁もゆかりもないのだ。
しかし、この地で子供たちも育ちそして二人とも大学院まで出た。
昭和から平成に変わり、平成の時代を名古屋で長く過ごすこととなった。
そして、あの奇妙なことが起こったのもその頃で、後先にも自分の中では数奇な数年というか、時を遡り過ごした年月というか、他人からは理解の出来ないことを経験してしまったのだった。
その数奇なという数年もこの時代に戻ってこれた時にはどこで歳を重ねたのか不思議なことに時間は殆ど進んではいなかった。
摩訶不思議な現象は自分の中でも説明がつかずに、そのことをかみさんは子供たちに話すこともなかった。
いや、話しても誰も信じてくれないのは間違いないことだった。
長い夢を見ていたようだが、紛れもなく事実であり、あの時代のゆきと一緒に暮らした数年はこのままずっとあの生活が続いてもいいとさえ思っていた。
あの数年は、あの時代を生きていくために必死だった。
そこで知り合ったゆきと夫婦になったのも自然ななり行きだったと言えよう。
今の時代に戻れることを諦めかけて、あの時代を生きていくしかないと無理にでも納得しようと努力していた。
雪は知り合った時が十八で、夫婦となって一人の娘が産まれた。
うめという名だ。
親子三人が暮らしていくためには働いて稼がなくてはなかなかったが、何分その時代になれない自分が稼ぎを得る仕事は簡単にはなかった。
しかし、どの時代でも衣食住は必須で、自分でやれるとしたら食かな?
食べ物を扱うものならやれそうな気がした。
あの時代の食べ物って。
時々時代劇に出てきたよな、あれは。
そして、あの時代とは?
それは、江戸後期 安政年間だった。
安政元年 秋のことだった。
新人教育が終わり最初の赴任地は静岡だった。
そこの事務所に勤めていた女性と結婚して29歳の時に長女が、そして31歳で長男が産まれた。
長男が産まれて直ぐ転勤となり、初めて名古屋の地にきた。
住めば都とは言うが、生まれ育った地や首都圏や静岡とは違い、この名古屋という地域は気候的にキツくて何年住んでいても慣れない。
夏は毎年40度を超える日があるし、冬は寒い日はマイナス3度くらいにはなる。
流されてこの地に来てしまったというのが本音で、何の縁もゆかりもないのだ。
しかし、この地で子供たちも育ちそして二人とも大学院まで出た。
昭和から平成に変わり、平成の時代を名古屋で長く過ごすこととなった。
そして、あの奇妙なことが起こったのもその頃で、後先にも自分の中では数奇な数年というか、時を遡り過ごした年月というか、他人からは理解の出来ないことを経験してしまったのだった。
その数奇なという数年もこの時代に戻ってこれた時にはどこで歳を重ねたのか不思議なことに時間は殆ど進んではいなかった。
摩訶不思議な現象は自分の中でも説明がつかずに、そのことをかみさんは子供たちに話すこともなかった。
いや、話しても誰も信じてくれないのは間違いないことだった。
長い夢を見ていたようだが、紛れもなく事実であり、あの時代のゆきと一緒に暮らした数年はこのままずっとあの生活が続いてもいいとさえ思っていた。
あの数年は、あの時代を生きていくために必死だった。
そこで知り合ったゆきと夫婦になったのも自然ななり行きだったと言えよう。
今の時代に戻れることを諦めかけて、あの時代を生きていくしかないと無理にでも納得しようと努力していた。
雪は知り合った時が十八で、夫婦となって一人の娘が産まれた。
うめという名だ。
親子三人が暮らしていくためには働いて稼がなくてはなかなかったが、何分その時代になれない自分が稼ぎを得る仕事は簡単にはなかった。
しかし、どの時代でも衣食住は必須で、自分でやれるとしたら食かな?
食べ物を扱うものならやれそうな気がした。
あの時代の食べ物って。
時々時代劇に出てきたよな、あれは。
そして、あの時代とは?
それは、江戸後期 安政年間だった。
安政元年 秋のことだった。
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