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第一章
30年前
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「あら、あんた大丈夫かい」
「あいやちょっと眩暈がして」
あいつらはどこだ?
辺りを見回したが一緒に来た二人は見当たらない。
「あのすみませんが、ここはどこですか?」
野菜を籠に入れて持ち歩いていた着物姿の女の人に尋ねた。
「ここはって、ここは神楽坂だよ、いやだね何言ってんだい」
神楽坂? ていうと東京の飯田橋のとこのか?
なんで神楽坂なのかわからない。
俺は飛騨の位山に登山してたんだから。
それに周りの風景が山じゃない!
といって俺が知っている都会の神楽坂でもない。
「本当に神楽坂ですか!?」
自分の知っている都会の東京の景色ではなかった。
平屋の木作りの家、道路は舗装されていない。
おかしい。 変だ。
ここは一体?
そうだ 電話してみよう
携帯電話を探すが見つからない。
どこかに落としてしまったのか?
「あのう、すみませんが、電話をお借りできないですか?」
「えっ? でんわって何ですか?」
「電話はあの、その・・・」
おかしい
「今は何年ですか?」
「何年って? なんだい?」
「いや、文久とか、寛永何年とか…」
「ああ、それなら安政二年だけど」
安政?
あ、安政の大獄ってのがあったな確か。
江戸末期だな
ペルーが浦賀に来た頃だったような
「あんたは何処から来たんだい?」
「えーっと、それは…」
「あ、お、おわり、尾張かな」
「変な人だねえ、尾張ってそんな遠くから来たのかい」
「なんだい、商いかい江戸には?」
「あきない、ええそうです、商いです商い」
「どんな商いしてるんだい?」
「それは、えーと、食べ物屋です。そう、江戸で蕎麦屋でもやろうかと」
「えー、本気かい? 江戸には蕎麦屋なんて腐るほどあるんだよ。
聞いた話では、屋台まで入れたら三百軒くらいあるって話しだよ。
そんなところで商売これから出来るのかい?」
「あ、いやそれはそのう…」
「まあいいけど、あんたねぐらは何処なんだい?」
「ねぐら、ああそれは まだ決めてないです。 宿はまあこの辺りにしようかと」
「変わったお人だねえ。 そんな変な着物きて、どこからかひょんと現れたみたいで」
「よかったらうちの長屋に来るかい? 空いてるから大家に頼んであげるよ」
「そそうですか、なんか悪いですね。よろしくお願いします」
「この先だからついておいでなさい」
夕暮れ時の坂道を下駄履きの若い女の後を恐る恐るついていく。
「あ、あんた名前は何て言うんだい?」
「あ、あきひろです。 章宏」
「あたしは、ゆきって言うんだ」
「よろしくお願いします」
「こちらこそ」
晩夏のはずだが、この地はいつもの夏より涼しく感じる。
夕立でもあったのだろうか、それとも水打ちされてるからなのか。
しかし、それにしてもこの理解できない状況は一体何なんだ。
心の準備も何も、これ 何が何だか、どうすりゃいいんだよ!
「あいやちょっと眩暈がして」
あいつらはどこだ?
辺りを見回したが一緒に来た二人は見当たらない。
「あのすみませんが、ここはどこですか?」
野菜を籠に入れて持ち歩いていた着物姿の女の人に尋ねた。
「ここはって、ここは神楽坂だよ、いやだね何言ってんだい」
神楽坂? ていうと東京の飯田橋のとこのか?
なんで神楽坂なのかわからない。
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おかしい。 変だ。
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そうだ 電話してみよう
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「えっ? でんわって何ですか?」
「電話はあの、その・・・」
おかしい
「今は何年ですか?」
「何年って? なんだい?」
「いや、文久とか、寛永何年とか…」
「ああ、それなら安政二年だけど」
安政?
あ、安政の大獄ってのがあったな確か。
江戸末期だな
ペルーが浦賀に来た頃だったような
「あんたは何処から来たんだい?」
「えーっと、それは…」
「あ、お、おわり、尾張かな」
「変な人だねえ、尾張ってそんな遠くから来たのかい」
「なんだい、商いかい江戸には?」
「あきない、ええそうです、商いです商い」
「どんな商いしてるんだい?」
「それは、えーと、食べ物屋です。そう、江戸で蕎麦屋でもやろうかと」
「えー、本気かい? 江戸には蕎麦屋なんて腐るほどあるんだよ。
聞いた話では、屋台まで入れたら三百軒くらいあるって話しだよ。
そんなところで商売これから出来るのかい?」
「あ、いやそれはそのう…」
「まあいいけど、あんたねぐらは何処なんだい?」
「ねぐら、ああそれは まだ決めてないです。 宿はまあこの辺りにしようかと」
「変わったお人だねえ。 そんな変な着物きて、どこからかひょんと現れたみたいで」
「よかったらうちの長屋に来るかい? 空いてるから大家に頼んであげるよ」
「そそうですか、なんか悪いですね。よろしくお願いします」
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「あ、あんた名前は何て言うんだい?」
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