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第一章
令和8年
しおりを挟む令和の時代になった翌年には世界的に新型のウィルスが流行り、3年間で感染者が世界で5億人
死亡した人が500万人とも言われた前世紀のスペイン風邪に継ぐ大流行であった。
結局、ワクチンと治療薬が2年がかりで完成してやっとその流行が止まった。
あのときは、米国と日本でもワクチンが成功して世界の人々に配布された。
もちろん自分も接種したし、それからは予防の意味でインフルエンザ同様毎年新型ワクチンも接種する人が増えている。
およそ100年に一度の割合で世界中に感染症が蔓延し、その度に数百万人から数千万人という人が犠牲になってきた。
あと今では遺伝子治療が本格化してきており、糖尿病や高血圧、各種の癌に聞く遺伝子治療薬が出てきて、10年前までは死んでいた病気が延命または治る確率が大幅に高くなってきた。
俺がこっちの世界に戻ってきたのが、ちょうど令和になった年の夏だった。
だから自分には、翌年に新型ウィルスが猛威を奮って世界中の都市がロックダウンされたり、大勢での会食や人が集まるイベントが制限されるようになることも分かっていた。
でも、少し前とは違っている世界だ。
何かが少しずつ違う。
それは例えば、前いた世界では新型ウィルスが流行り出してから一時的には世界中の株価が暴落して、その後は各国が金融緩和に踏み切ったため、浮いた金が集まり株価は半年で新型ウィルスが発生前よりも騰がってしまった。
けど、今の世界ではそんなこともない。
あと、米国の大統領も以前の世界ではトランプからバイデンに変わったけど、こちらではトランプのまま2期目になっている。
これがいわゆるパラレルワールドってやつなのかどうかは自分ではわからないけど、ここで生きて行くしかないということだけはわかる。
この世界は、以前いってしまった江戸よりは少しマシかもしれない。
食べるものとか着る物、住居は自分が育ってきた世界と変わらないし、貨幣価値も大差ない。
仕事は前に戻って同じようなことをやっている。
不思議だかそんなに違和感はない。
ただ江戸で一緒に暮らした女と、その女との間に出来た娘が不憫でならない。
自分の意志で前に近い世界に戻ってきたわけでもないから責任がないと言えばないのだが、一度はあの時代でもう生きて行くんだと腹積もりをした身としては、突然居なくなった夫や父親をどう思うだろうか? とずっとそればかりが心配であった。
こちらと言っても少し前とは違う世界だけど、この世界に戻ってきて数年が経ち、やっと少しずつだが自分が翻弄されてきた異次元の出来事を冷静に見つめてその謎解きを考えることができるようになってきた。
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