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星空
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私達の国、ヴェルディ王国からアルスメア国の間に位置するエルスタシア村から少し離れた所にあるエトルレイファ丘。そこで沢山の星を見渡す事が出来る上に海を見渡す事も出来る為その丘に師匠と二人で偵察を兼ねて来ていた。
「師匠、今日あんまりよく見えないよ?」
少し曇っている星空を見上げれば私は拗ねたように師匠に声を掛け、師匠は、小さく笑いながら星空を見上げた。
「そうだな。…最近、夜も曇ることがあるからなかなか綺麗に星空が見えなくて残念だ」
「残念そうなわりには、ちょっと嬉しそうな顔してるね?」
師匠の口元が少しだけ緩んでいる気がしてそう言うと、師匠は私の言葉を聞けばぱちくりと瞬きをした後、また、口元を緩ませ笑った。
「まあな。…曇り空でも少しだけも星が見えるならそれに越した事はない。だが、満天の夜空が見えないのはやはり残念だが…」
「そっか。…明日は、晴れ見たいだよ?」
「本当か?夕方になって降らないだろうな?」
怪訝そうな顔で問い掛けてくる師匠に、私はほんの少し視線を逸らしながらこう言った。
「空は、気ままだから夕方まで晴れてるかは私は分かんないよ?」
間を置いて師匠がため息を吐いた。
「…はぁ、そうだろうと思った」
「何よー!私は、そんな能力持ってるわけじゃないから晴れるのか雨が降るのか分からないに決まってんじゃん!」
頬を大きく膨らませて言う私を見た師匠は私の事をまだまだ子供だなと思った気がする。師匠より私の方がまだまだ子供なのは確かだけど、もう少しで大人になるんだからそんな事思わないでほしいなと思った。
「師匠、そろそろ帰ろ?皆心配するし…」
「そうだな」
それから数十分経つと、私はちらりと師匠の方を見てそろそろ帰ろうと言えば師匠は軽く頷き、城に向かって歩き出した。私は、師匠の後を追い掛けるように後ろから着いて歩いていく。冷たい空気の中瞬く星達を時折見上げながら、明日も平和でありますようにと祈った。
end
「師匠、今日あんまりよく見えないよ?」
少し曇っている星空を見上げれば私は拗ねたように師匠に声を掛け、師匠は、小さく笑いながら星空を見上げた。
「そうだな。…最近、夜も曇ることがあるからなかなか綺麗に星空が見えなくて残念だ」
「残念そうなわりには、ちょっと嬉しそうな顔してるね?」
師匠の口元が少しだけ緩んでいる気がしてそう言うと、師匠は私の言葉を聞けばぱちくりと瞬きをした後、また、口元を緩ませ笑った。
「まあな。…曇り空でも少しだけも星が見えるならそれに越した事はない。だが、満天の夜空が見えないのはやはり残念だが…」
「そっか。…明日は、晴れ見たいだよ?」
「本当か?夕方になって降らないだろうな?」
怪訝そうな顔で問い掛けてくる師匠に、私はほんの少し視線を逸らしながらこう言った。
「空は、気ままだから夕方まで晴れてるかは私は分かんないよ?」
間を置いて師匠がため息を吐いた。
「…はぁ、そうだろうと思った」
「何よー!私は、そんな能力持ってるわけじゃないから晴れるのか雨が降るのか分からないに決まってんじゃん!」
頬を大きく膨らませて言う私を見た師匠は私の事をまだまだ子供だなと思った気がする。師匠より私の方がまだまだ子供なのは確かだけど、もう少しで大人になるんだからそんな事思わないでほしいなと思った。
「師匠、そろそろ帰ろ?皆心配するし…」
「そうだな」
それから数十分経つと、私はちらりと師匠の方を見てそろそろ帰ろうと言えば師匠は軽く頷き、城に向かって歩き出した。私は、師匠の後を追い掛けるように後ろから着いて歩いていく。冷たい空気の中瞬く星達を時折見上げながら、明日も平和でありますようにと祈った。
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