7 / 8
黄金
しおりを挟む
アスミはダイの横顔を見る。左耳には黄金のピアス。
武臣もピアスしていたが安っぽいものだった。
「なんで荷物無いんや。まだ20前やろ。君みたいな若い子をあんなところでこんな怪我させて」
ダイも知ってる場所だからかホッとして少し声の抑揚も上がってきた。
アスミはダイの問いかけに答えるか悩んだ。言ったところでどうなるのか、見ず知らずの人に。
「病院でなんて答えるん」
「……」
「答えたく無いんか」
「彼氏」
「……」
答えた瞬間ガタガタ道が続き車は減速した。
「ごめん、ここ舗装されて無かったわ。大丈夫か」
「そんなに心配しなくていいよ」
「心配するやろ……」
一旦車は止まった。少し奥にはアスミも知ってる店の看板が光っていた。コンビニの灯りも見える。
「喧嘩か」
「……というのかな」
「あと少しや、病院でも聞かれるで。気持ち整理しておいたほうがええ。あと少し抜ければ川沿いの橋の上やしまっすぐだから、景色でも見て」
アスミは思った。なんでこの人はこんなに優しいのだろう、と。
また車はゆっくり加速した。
武臣もピアスしていたが安っぽいものだった。
「なんで荷物無いんや。まだ20前やろ。君みたいな若い子をあんなところでこんな怪我させて」
ダイも知ってる場所だからかホッとして少し声の抑揚も上がってきた。
アスミはダイの問いかけに答えるか悩んだ。言ったところでどうなるのか、見ず知らずの人に。
「病院でなんて答えるん」
「……」
「答えたく無いんか」
「彼氏」
「……」
答えた瞬間ガタガタ道が続き車は減速した。
「ごめん、ここ舗装されて無かったわ。大丈夫か」
「そんなに心配しなくていいよ」
「心配するやろ……」
一旦車は止まった。少し奥にはアスミも知ってる店の看板が光っていた。コンビニの灯りも見える。
「喧嘩か」
「……というのかな」
「あと少しや、病院でも聞かれるで。気持ち整理しておいたほうがええ。あと少し抜ければ川沿いの橋の上やしまっすぐだから、景色でも見て」
アスミは思った。なんでこの人はこんなに優しいのだろう、と。
また車はゆっくり加速した。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
ガラスの森
菊池昭仁
現代文学
自由奔放な女、木ノ葉(このは)と死の淵を彷徨う絵描き、伊吹雅彦は那須の別荘で静かに暮らしていた。
死を待ちながら生きることの矛盾と苦悩。愛することの不条理。
明日が不確実な男は女を愛してもいいのだろうか? 愛と死の物語です。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
Last Recrudescence
睡眠者
現代文学
1998年、核兵器への対処法が発明された以来、その故に起こった第三次世界大戦は既に5年も渡った。庶民から大富豪まで、素人か玄人であっても誰もが皆苦しめている中、各国が戦争進行に。平和を自分の手で掴めて届けようとする理想家である村山誠志郎は、辿り着くためのチャンスを得たり失ったりその後、ある事件の仮面をつけた「奇跡」に訪れられた。同時に災厄も生まれ、その以来化け物達と怪獣達が人類を強襲し始めた。それに対して、誠志郎を含めて、「英雄」達が生れて人々を守っている。犠牲が急増しているその惨劇の戦いは人間に「災慝(さいとく)」と呼ばれている。
【完結】白い月と黄色の月
九時せんり
現代文学
フランスと日本のクォーターで、幼稚園の担任の桃香先生と約束しバレエダンサーを目指す叶太と、何でも1番になりたがる真凛ちゃん。
ゆるゆるとでも着実に育っていく二人の物語。
[百合]短編集
[百合垢]中頭[etc垢]
現代文学
百合の短編集です。他サイトに掲載していたものもあります。健全が多めです。当て馬的男性も出てくるのでご注意ください。
表紙はヨシュケイ様よりお借りいたしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる