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第三章
第45話
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「……三葉」
「和樹さん、よね?」
目の前には三葉がいる。俺をしっかり見てくれている。ああ、やっぱり早く倫典に乗り移りたかった。スケキヨ、美守……あの強盗は例外として……を介して触られたり、触ったりもしたが。
「あぁ、和樹だ」
「演技じゃないよね、倫典くん」
「な訳ないだろ、信じろ……」
「んー」
ジーって見ても俺は倫典に入っているわけだから倫典の姿のままなわけで。
「ねぇ、私の中に乗り移ったこともあるってあの時の強盗の時はまだしも他の時も?」
「数回乗り移った」
「変なことしてないよね?」
って体を隠しても何もしてない、スマホ覗いたとかおっぱい触った以外は。
「てか乗り移りってあるの、ねぇ」
「そうだよな、俺も信じられない」
沈黙……。
三葉、久しぶりの再会なのに喜んでくれないのか。あんなに俺に会いたいとか寂しいとか言ってたのに。こんな形でも会いたいって思わないのか。そうだよな、信じないよな。
「和樹さん、触っていい?」
倫典の体だが中は俺だ。三葉。
「う、うん。俺も触っていいか」
何がおかしい、笑って。
「だって倫典君が俺って言わないから」
「そうだろ? だから信じて欲しい、手を握って欲しい」
「手、ふふふ」
「何がおかしい」
「ふふ、だってうぶな恋人たちみたいじゃない、まず手を握ってって」
だったら!
「ん!!!」
俺は押し倒した。もちろん頭を彼女が打たないように頭の下に手を差し入れて、激しくキスをした。三葉の唇、あぁ、久しぶりだ。この柔らかさ。上下の厚み。そして当たる体の暖かさ、やはり良い。舌も入れて。
バチん!!
「イッテェえええええ!」
「ごめん、びっくりするじゃない。いきなり」
「すまん、つい」
「ついじゃないわよ、ばか」
三葉の目から涙が溢れた。俺は拭ってやる。頬を撫でる。そして再びキスをした。三葉も頬にキスをしてくれた。唇にもしてもいいのに、まだ戸惑っているのか?
優しく撫でてやると彼女は目を瞑った。
「和樹さん、和樹さん」
「なんだ、三葉」
できる限り声を低く出した。でも似ないよな。匂いも形も筋肉のつき方も触り心地も違う。でも俺だ、この中身は俺だ。彼女の耳たぶを優しく咥える。
「あっ、あん」
彼女はこの耳たぶが弱い、特に左だ。沢山舐めて咥えて、最後に優しく噛む。彼女の腕の筋肉が少し緩んできた。どうやら少しずつ俺を受け入れてくれているようだ。
そして耳たぶから左の首筋に沿うように口づけをし、鎖骨あたりで深くキスをする。キスマークをよく首元につけて怒られたっけ。
好きで好きで仕方なくて他の男に取られたくない、それで首元にキスマークをつけた。この白い肌に。
「だめよ、痕がついちゃうじゃない……」
「俺の跡を残したい」
そして右側の首筋も優しくキスをする。三葉の吐息がどんどんと色っぽくなっていく。なぁ、今は倫典に抱かれている感覚なのか? 俺に抱かれている感覚なのか? もう一年半以上前のことだ。最後に抱いたのは。
事故に遭う前の朝に、洗面台のところで後ろから荒っぽく彼女を抱いた。出勤前だというのにって言われたけどすごく好きだから、三葉のことが。
ちゃんと夜にはベッドの上で優しく抱いてやろう、って飲みに行った後だからもう寝てるか、だったらまた明日、明後日……があるからって思っていた。
しかしその夜に俺は事故に遭って、それ以降彼女を抱いていない。
キスは手にしてくれた。俺が呼吸器をつけていたからだ。それが取れたとしてもキスは出来なかった。最後に一回したかったなぁ。俺の体で。
そして彼女の服のボタンを開けた。久しぶりだ、彼女の美しい胸の形。何度も愛した、何度も触った。一年半前と変わらない。
「いいか、三葉……」
キスは普通に出来たが、やはり胸を触るのには抵抗ある。自分が三葉に入った時は平気で触っていたのにな。
三葉はゆっくり瞳を開けて俺に目を合わせた。
「それか部屋、暗くするか?」
その方がいいだろ? だが彼女は首を横に振る。そして俺の左手を引っ張って三葉は左の胸に手を当ててくれた。暖かくて柔らかい。……でもこれはもうずっと倫典が触っている。悔しい。これはずっと俺のものだと思ったのに。
「キスの仕方に耳たぶの舐め方……首元にキスマークつけるところ、ここまでのルーティーンが全部和樹さんだわ」
……それはなんとなく恥ずかしい。俺は優しく、優しく三葉の胸を握る。そして彼女にキスをして、舌を入れる。彼女も受け入れてくれた。
「もっと、和樹さん……」
と今まで閉じていた脚を開いてくれた。黒い下着がスカートから覗いた瞬間、俺は理性を失った。倫典の中に入っていることも忘れ、俺自身が三葉を愛しているように。激しく、激しくいつも以上に彼女を愛しまくった。
彼女も俺に合わせて動き、キスをたくさんし、ずっと俺の名前を呼んだ。俺も三葉の名前をたくさん呼んだ、叫んだ。
あぁ、これをずっとしたかったんだ。彼女を抱きたかった。
それが叶ったんだ。
ああ、もう天国に……逝く……
「和樹さん、大丈夫?」
「大丈夫だっ、三葉も大丈夫か?」
「……ふふ、大丈夫」
「さすが俺の妻だ」
「バカぁ、調子に乗って。こんなに息が切れるまでしたの久しぶり。倫典くん、明日の朝びっくりするわよ」
……一年半分の欲望が溜まりに溜まっていた。気づけば日にちは跨いでいた。
こんなに疲れ果ててしまったら睡魔が来てしまうではないか?
でもまだ冴えているのは、肉体が俺よりも若いからであろう。倫典に乗り移って正解だった。あいつも意外とタフだな。
三葉もよく俺に合わせて欲を満たしていてくれたし、元SM嬢という過去、そうかそこに結びつくのか? そう思うと結構俺は彼女を粗く扱っていたし、彼女も耐えてくれていた。
もう少し丁寧に接すればよかっただなんて今更思ってもだめだ。
彼女も少し汗ばんでいる。……本当にいい女だ。ああ、このまま倫典の体の中にいたい。許される限り三葉を抱きたい、愛したい。
渡したくない、彼女を。倫典は前の時よりも見方は変わった。
とても気遣いのできる青年に成長していた。……もう中年に足を突っ込んでいるが。三葉、美守、猫、色んな人に対して優しい、思いやりのある男だ。
ただ実の家族に対して頑なに会いたくないというところはまだ子供っぽいが仕事もちゃんとしてるし。
だが倫典、まだまだ……。こうやって何度も三葉を抱けばいいのだ。
そうか、その手があったのか。ああ、神様、仏様。まだまだこうして成仏してないってことはまだここにいていいのですね。
「和樹さん」
「なんだ、三葉」
「とても満足です、私。すごくあなたに愛されているって実感したわ」
「勿論愛してるさ。当たり前だ」
「あの時も全力で守ってくれた。本当に素敵……ずっとガムシャラで」
そんなに褒めても何も出ないぞ、三葉。いつにまでもないくらい褒め上手だ。
彼女は男を立てるのが上手い。見た目は自分が自分がと出てきそうでプライドが高そうに見えるが実際は控えめだがとても品のある素敵な女性だ。
料理も家事も得意で妻として女として最高だ。ああ、こんな彼女と結婚してよかった……ってだめだ、こんなこと思っていたら成仏してしまう。
「あっ、そうだ!」
「ん、なんだ?」
三葉はスマホを取り出し、何かを見ている。
「……明日、お昼なんだけど若菜さんが電話できるって。この時にお墓のことも話したいし……」
若菜、ようやく電話できるのか。
す
「あなたもお話ししたいでしょ」
なんて気がつかえるんだ、お前は。
「でも倫典くんのままでテレビ電話だし……声も少し違うしなぁ」
「そうだよな……」
ああ、そこなんだよなぁ。やっぱり北海道と岐阜じゃ遠いよな。三葉も仕事があるしあっちも出るに出られない。
「でもせめて墓を建てた時には帰ってきて欲しい……実家の墓にも手を合わせてくれるといいのだが」
「そうね、それさえさせてくれないご主人たち……言い方アレかもしれないけど、私だったら離婚しろって言うわ」
「……それでも手を引かない奴らだったの知ってるだろ」
「まぁそれだけどさ……」
三葉とは互いの実家のことはあまり突っ込まないようにしてたのだが、俺が若菜のことでどうすればいいかわからず女の立場で色々聞いたこともあった。
でも若菜は結局相手とは離婚せずまだとどまっている。
……まさか俺、三葉とのこともだけど若菜のことが一番引っかかってるんじゃないのか?
でもどうにもならねぇ。ひどい話、若菜を苦しめる夫やその家族たちが手を引く、いや死なない限り若菜は離婚できないだろう。
「……それは別にして、わたしが手紙を読む感じにするとか……」
「それが一番無難かなぁ。ああ、この目で会いたかった、若菜には」
すると三葉ひ肩を俺の持った。
「大丈夫! 女は強いの。それに時代は変わらないとか言うけどそれは一部のこと。何かをきっかけに若菜さんは若菜さんらしく生きられる。……和樹さんの妹さんですもの。一度助けてくれたお兄ちゃんの行動がきっかけで今、少しでも何か動いているかもしれない!」
……ってすごくなんか頼りになるなぁ、三葉。
「それにわたしもスッキリしたわ」
「スッキリ?」
「気持ちがよ」
「……えっ」
なんか表情変わった気もするが、ああ、久しぶりにしたからか?
「ずっと和樹さん和樹さん、て心の中で死んだ和樹さんを探してた。でも目の前に大切にしてくれる倫典くんの存在……とても大事なんだなって」
え、どゆこと……。
「スッキリ、というか吹っ切れた! もうウジウジしない。ケジメをつけてしっかり倫典くんと向き合う。久しぶりに気持ちよかったわ、ふふふー。もう足がふらふらで……いろんなところが痛いけど」
そんな微笑みで言われても……俺とはこれっきりってことだよな。
「はいはい、さっさとシャワー浴びてきて服着替えて手紙書いて!」
パチン!!!って背中を叩かれた。痛い……背中だけでなくて心も。ほんと女は強い。ってか。
若菜もそうであって欲しい。
「和樹さん、よね?」
目の前には三葉がいる。俺をしっかり見てくれている。ああ、やっぱり早く倫典に乗り移りたかった。スケキヨ、美守……あの強盗は例外として……を介して触られたり、触ったりもしたが。
「あぁ、和樹だ」
「演技じゃないよね、倫典くん」
「な訳ないだろ、信じろ……」
「んー」
ジーって見ても俺は倫典に入っているわけだから倫典の姿のままなわけで。
「ねぇ、私の中に乗り移ったこともあるってあの時の強盗の時はまだしも他の時も?」
「数回乗り移った」
「変なことしてないよね?」
って体を隠しても何もしてない、スマホ覗いたとかおっぱい触った以外は。
「てか乗り移りってあるの、ねぇ」
「そうだよな、俺も信じられない」
沈黙……。
三葉、久しぶりの再会なのに喜んでくれないのか。あんなに俺に会いたいとか寂しいとか言ってたのに。こんな形でも会いたいって思わないのか。そうだよな、信じないよな。
「和樹さん、触っていい?」
倫典の体だが中は俺だ。三葉。
「う、うん。俺も触っていいか」
何がおかしい、笑って。
「だって倫典君が俺って言わないから」
「そうだろ? だから信じて欲しい、手を握って欲しい」
「手、ふふふ」
「何がおかしい」
「ふふ、だってうぶな恋人たちみたいじゃない、まず手を握ってって」
だったら!
「ん!!!」
俺は押し倒した。もちろん頭を彼女が打たないように頭の下に手を差し入れて、激しくキスをした。三葉の唇、あぁ、久しぶりだ。この柔らかさ。上下の厚み。そして当たる体の暖かさ、やはり良い。舌も入れて。
バチん!!
「イッテェえええええ!」
「ごめん、びっくりするじゃない。いきなり」
「すまん、つい」
「ついじゃないわよ、ばか」
三葉の目から涙が溢れた。俺は拭ってやる。頬を撫でる。そして再びキスをした。三葉も頬にキスをしてくれた。唇にもしてもいいのに、まだ戸惑っているのか?
優しく撫でてやると彼女は目を瞑った。
「和樹さん、和樹さん」
「なんだ、三葉」
できる限り声を低く出した。でも似ないよな。匂いも形も筋肉のつき方も触り心地も違う。でも俺だ、この中身は俺だ。彼女の耳たぶを優しく咥える。
「あっ、あん」
彼女はこの耳たぶが弱い、特に左だ。沢山舐めて咥えて、最後に優しく噛む。彼女の腕の筋肉が少し緩んできた。どうやら少しずつ俺を受け入れてくれているようだ。
そして耳たぶから左の首筋に沿うように口づけをし、鎖骨あたりで深くキスをする。キスマークをよく首元につけて怒られたっけ。
好きで好きで仕方なくて他の男に取られたくない、それで首元にキスマークをつけた。この白い肌に。
「だめよ、痕がついちゃうじゃない……」
「俺の跡を残したい」
そして右側の首筋も優しくキスをする。三葉の吐息がどんどんと色っぽくなっていく。なぁ、今は倫典に抱かれている感覚なのか? 俺に抱かれている感覚なのか? もう一年半以上前のことだ。最後に抱いたのは。
事故に遭う前の朝に、洗面台のところで後ろから荒っぽく彼女を抱いた。出勤前だというのにって言われたけどすごく好きだから、三葉のことが。
ちゃんと夜にはベッドの上で優しく抱いてやろう、って飲みに行った後だからもう寝てるか、だったらまた明日、明後日……があるからって思っていた。
しかしその夜に俺は事故に遭って、それ以降彼女を抱いていない。
キスは手にしてくれた。俺が呼吸器をつけていたからだ。それが取れたとしてもキスは出来なかった。最後に一回したかったなぁ。俺の体で。
そして彼女の服のボタンを開けた。久しぶりだ、彼女の美しい胸の形。何度も愛した、何度も触った。一年半前と変わらない。
「いいか、三葉……」
キスは普通に出来たが、やはり胸を触るのには抵抗ある。自分が三葉に入った時は平気で触っていたのにな。
三葉はゆっくり瞳を開けて俺に目を合わせた。
「それか部屋、暗くするか?」
その方がいいだろ? だが彼女は首を横に振る。そして俺の左手を引っ張って三葉は左の胸に手を当ててくれた。暖かくて柔らかい。……でもこれはもうずっと倫典が触っている。悔しい。これはずっと俺のものだと思ったのに。
「キスの仕方に耳たぶの舐め方……首元にキスマークつけるところ、ここまでのルーティーンが全部和樹さんだわ」
……それはなんとなく恥ずかしい。俺は優しく、優しく三葉の胸を握る。そして彼女にキスをして、舌を入れる。彼女も受け入れてくれた。
「もっと、和樹さん……」
と今まで閉じていた脚を開いてくれた。黒い下着がスカートから覗いた瞬間、俺は理性を失った。倫典の中に入っていることも忘れ、俺自身が三葉を愛しているように。激しく、激しくいつも以上に彼女を愛しまくった。
彼女も俺に合わせて動き、キスをたくさんし、ずっと俺の名前を呼んだ。俺も三葉の名前をたくさん呼んだ、叫んだ。
あぁ、これをずっとしたかったんだ。彼女を抱きたかった。
それが叶ったんだ。
ああ、もう天国に……逝く……
「和樹さん、大丈夫?」
「大丈夫だっ、三葉も大丈夫か?」
「……ふふ、大丈夫」
「さすが俺の妻だ」
「バカぁ、調子に乗って。こんなに息が切れるまでしたの久しぶり。倫典くん、明日の朝びっくりするわよ」
……一年半分の欲望が溜まりに溜まっていた。気づけば日にちは跨いでいた。
こんなに疲れ果ててしまったら睡魔が来てしまうではないか?
でもまだ冴えているのは、肉体が俺よりも若いからであろう。倫典に乗り移って正解だった。あいつも意外とタフだな。
三葉もよく俺に合わせて欲を満たしていてくれたし、元SM嬢という過去、そうかそこに結びつくのか? そう思うと結構俺は彼女を粗く扱っていたし、彼女も耐えてくれていた。
もう少し丁寧に接すればよかっただなんて今更思ってもだめだ。
彼女も少し汗ばんでいる。……本当にいい女だ。ああ、このまま倫典の体の中にいたい。許される限り三葉を抱きたい、愛したい。
渡したくない、彼女を。倫典は前の時よりも見方は変わった。
とても気遣いのできる青年に成長していた。……もう中年に足を突っ込んでいるが。三葉、美守、猫、色んな人に対して優しい、思いやりのある男だ。
ただ実の家族に対して頑なに会いたくないというところはまだ子供っぽいが仕事もちゃんとしてるし。
だが倫典、まだまだ……。こうやって何度も三葉を抱けばいいのだ。
そうか、その手があったのか。ああ、神様、仏様。まだまだこうして成仏してないってことはまだここにいていいのですね。
「和樹さん」
「なんだ、三葉」
「とても満足です、私。すごくあなたに愛されているって実感したわ」
「勿論愛してるさ。当たり前だ」
「あの時も全力で守ってくれた。本当に素敵……ずっとガムシャラで」
そんなに褒めても何も出ないぞ、三葉。いつにまでもないくらい褒め上手だ。
彼女は男を立てるのが上手い。見た目は自分が自分がと出てきそうでプライドが高そうに見えるが実際は控えめだがとても品のある素敵な女性だ。
料理も家事も得意で妻として女として最高だ。ああ、こんな彼女と結婚してよかった……ってだめだ、こんなこと思っていたら成仏してしまう。
「あっ、そうだ!」
「ん、なんだ?」
三葉はスマホを取り出し、何かを見ている。
「……明日、お昼なんだけど若菜さんが電話できるって。この時にお墓のことも話したいし……」
若菜、ようやく電話できるのか。
す
「あなたもお話ししたいでしょ」
なんて気がつかえるんだ、お前は。
「でも倫典くんのままでテレビ電話だし……声も少し違うしなぁ」
「そうだよな……」
ああ、そこなんだよなぁ。やっぱり北海道と岐阜じゃ遠いよな。三葉も仕事があるしあっちも出るに出られない。
「でもせめて墓を建てた時には帰ってきて欲しい……実家の墓にも手を合わせてくれるといいのだが」
「そうね、それさえさせてくれないご主人たち……言い方アレかもしれないけど、私だったら離婚しろって言うわ」
「……それでも手を引かない奴らだったの知ってるだろ」
「まぁそれだけどさ……」
三葉とは互いの実家のことはあまり突っ込まないようにしてたのだが、俺が若菜のことでどうすればいいかわからず女の立場で色々聞いたこともあった。
でも若菜は結局相手とは離婚せずまだとどまっている。
……まさか俺、三葉とのこともだけど若菜のことが一番引っかかってるんじゃないのか?
でもどうにもならねぇ。ひどい話、若菜を苦しめる夫やその家族たちが手を引く、いや死なない限り若菜は離婚できないだろう。
「……それは別にして、わたしが手紙を読む感じにするとか……」
「それが一番無難かなぁ。ああ、この目で会いたかった、若菜には」
すると三葉ひ肩を俺の持った。
「大丈夫! 女は強いの。それに時代は変わらないとか言うけどそれは一部のこと。何かをきっかけに若菜さんは若菜さんらしく生きられる。……和樹さんの妹さんですもの。一度助けてくれたお兄ちゃんの行動がきっかけで今、少しでも何か動いているかもしれない!」
……ってすごくなんか頼りになるなぁ、三葉。
「それにわたしもスッキリしたわ」
「スッキリ?」
「気持ちがよ」
「……えっ」
なんか表情変わった気もするが、ああ、久しぶりにしたからか?
「ずっと和樹さん和樹さん、て心の中で死んだ和樹さんを探してた。でも目の前に大切にしてくれる倫典くんの存在……とても大事なんだなって」
え、どゆこと……。
「スッキリ、というか吹っ切れた! もうウジウジしない。ケジメをつけてしっかり倫典くんと向き合う。久しぶりに気持ちよかったわ、ふふふー。もう足がふらふらで……いろんなところが痛いけど」
そんな微笑みで言われても……俺とはこれっきりってことだよな。
「はいはい、さっさとシャワー浴びてきて服着替えて手紙書いて!」
パチン!!!って背中を叩かれた。痛い……背中だけでなくて心も。ほんと女は強い。ってか。
若菜もそうであって欲しい。
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