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第三章

第34話

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「キャァっ!!!!」

 甲高い声が部屋に響く。息が荒い、天井に視点がいってたのだが今は床に視点がいった。そして俺の体の下には三葉がいる。苦しそうにもがく。よし、……成功だ。

 猫のキーホルダーを男がポッケに入れた。それを見ていた俺は男に乗り移ったのだ。やはり身に付けているやつに乗り移れるんだ。

 三葉の体ではもう無理だったからな。男がキーホルダーを盗んでくれてよかった。久しぶりに三葉の上に乗っかって柔らかい身体といい匂いにすごく興奮してくるのだがこんな泥棒野郎のむさ苦しくて重い体は嫌だろう。匂いも少しキツい。

 乗り移ってこの男の体の重さをコントロールするのは難しいがなんとか覆い被さった状態から横に転がり彼女を解放してやった。
 すかさず三葉は壁側に離れた。涙が目から出ている。怖かっただろう。

「私に何したの? 意識が無くなったから変なことしてないよねっ」
「し、してないよ。反対にこいつの頭が怪我してらぁ」
「……?? 正当防衛よ。ここの部屋に来てから真っ暗になったから絶対何かされた……」

 大丈夫だ、男は何もしてない。俺が守った。お前の身体も、命も! あ、こいつ……て言っちまった。あくまでもこの男に乗り移ったから気をつけないとな。

 俺は腕を上に組み足をまっすぐにして横に倒れた。
「は、はやく……この体を縛れ!」
「縛る!?」
「また襲ってもいいのか!」
「いやよ! この変態っ!」
「はうううっ」

 しまった、何故か知らぬが心の奥底にあるM属性の俺が三葉の罵りでなんとなく高揚感が……。へんな声が出てしまったぞ。ああ。三葉のその冷たい目つき、見下した顔。
 俺にはそんな顔をしたことがなかったのに……。
 ああ、ダメだ、他人の体なのにへんなところが反応してる。

「……わかったわ。動かないで頂戴。少しでも動いたら!!」

 パシン!!!! 

 三葉が竹刀を持って畳に叩きつけた。こ、こんな彼女見たことない!!!
 でもそそられるのはなぜなんだっ!!! 
「それよりも早く縛ってくれ!!!! 早く!」
 そうだ、三葉! ウカウカしてる場合じゃない。そう、そう、そうだよ。紐……雑誌を縛る紐。それをこの男の体に巻きつけてくれ。でも三葉の力では弱くないか??? ん!!! なんて力だ。真剣な目つきで縛っている。少しなんか手慣れてる感もあるが。まず手首のあたり……。

「こっからどうするんだっけ……」
 何か縛り方を知っているのか? 保健室の先生だから護身術とか知ってるんだろうな。ああ、今は保健室の先生っていうワードだけでも反応してしまう。
 そうか、他人の体でも男のあの部分は反応するのか。ふむふむ。
 にしても三葉。かなり凝った縛り方をしているんだが。荒くぐるぐる巻きでいいんだからな! っ!!!

 あああ、何だこのプレイ! 体験したことがないっ。まさかこんなことを死んでから受けるだなんて……ああ、天国に逝くぅううう。
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