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第二章
第二十話
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倫典はそのリストをスマートフォンで撮影して紙を骨壷の下に畳んでしまった。なんでそこに? 気づけば美守の横でスケキヨも寝ていた。やはり痩せ細っている。一年前に比べると。それが気になってしょうがなかった。
「三葉さんどれだけ愛してるかわかったら悔しくなってきた」
倫典には悪いが俺は三葉を心の底から愛している。いつかおまえが三葉とどうなるとなったらまずはお前のことも考えなくてはいけない。
男が妻を引っ張るそんな時代はもう古いかもしれない、今は互いに協力して支え合っていかなくてはいけないが俺みたいにいきなり事故や病気で支えることができなくなることもある。その反対もある。
倫典が三葉を守っていかなくてはいけなくなる時もあるだろう、彼の方が年下だからな。
「悔しいだなんて、そんなこと言われてもさ。俺の方がもっと悔しい。直接これらのリストをすることができるかどうかわからない。お前はまだ体も魂もあるからたくさんできる」
「……三葉さんが大島先生から離れない限り僕に勝ち目はなさそうだなぁ。もうあの男には負けそうなのに」
あの男、そいつに会いたい。まずどんな男なのか。そこからでないと倫典に託すこともできないしな。いや、倫典に託すことを前提にはしたくはないが。
にしてもどうやったら行動できるか。倫典も仕事しているし、乗り移れるのは今のところスケキヨ、三葉だけ。猫はしゃべれないし体が弱ってるからこれ以上移動はできない。
三葉も平日は仕事をしている。乗り移る方法がわかって他の誰かに乗り移れたらもっと行動を起こしやすいのだが。
「そうだ、あの人をここに呼べばいいんですよ。その時は大島先生は仏壇かスケキヨに入ってしばらく様子を伺う。何かあったら三葉さんに乗り移って……」
「さすが倫典、想像力豊かだ。確かに三葉がその男とどう接しているかわかればどういう状態かもわかる。でもこの家に呼べなかったらどうするんだ」
「なんとかして呼び出す、男っていうのはちょろいんです」
……って自分で言うな、倫典。俺も倫典をここに呼び出した方法と同じじゃねえか。でもあの男の名前がわからない。
「呼び出したところで三葉さんはなんで呼んだかわからないってことになるけどメールで呼び出したら履歴が残るからそれ見て思い出すかもね」
「なるほど、でもお前は名前わかるか? そいつの」
倫典は首を横に振った。少しでも特徴とかどんな職業とかわからないのだろうか。心が痛むが三葉のスマホを覗いてみるか。
「……やっぱり見ますか」
「見る。待受は俺なんだよ。この時点で3人の中では一番は俺だな、悪りぃな」
「はいはい」
電話帳か? メールか?
メールの方がここ最近やり取りした相手となる。開くとまずは倫典、美帆子。と思ったら美帆子からのメールだ。
ピロン、と言う着信音だけで俺たちはびっくりしてしまった。が、落ち着いて美帆子のメールを見た。
『三葉、美守大丈夫かな? 今出たところだからあと30分で戻ります』
「30分で帰ってきちゃうぞ」
「それはいけない、も少し時間を稼ごう。あ、美守くん寝てるからもう少しゆっくりしてねって」
「ナイス名案、倫典ってお前仕事は」
倫典は一瞬真顔になった。がニコッと微笑んで
「まだなんとかなります……」
何とかなるのか? また不安要素が。
とりあえずまだ美守が寝ているからもう少しどこか行っててと返信。少し時間を稼ごう。でも俺が見える美守とも少し話はしたい。この時間で起きてくれるといいのだが。
で、次にメールを……。
……。
「大島先生? あの男の見つかりました?」
俺は首を振った。しかし一つ、見つけた。
『三葉さん、若菜です。兄の一周忌ですがやはりそちらに向かうのは難しそうです。お墓や遺骨をそちらにお願いしてしまい申し訳ありません。近いうちにお香典を送らせていただきます。よろしくお願いします』
若菜からのメール……こっちには来れそうにないのか。
「若菜って誰ですか」
「俺の妹だ……北海道に住んでいる」
「会いたいって書いてあったけど一周忌でさえも帰って来れないって。ぼくんちも人のこと言えないけどどういうことなんですか」
まぁ他人からしたらおかしいと思うがな、若菜は遠い北海道の地に嫁いでしまってなかなか難しいところの家族と一緒になってしまったからな。
でも妹にも何とか会いたい。
「テレビ電話とかどうですか」
え、簡単に解決しちゃうのか? でも姿見るだけになるが……。
「香典が届いたタイミングで三葉さんに乗り移ってビデオ電話しましょう。このアドレスなら対応してるかも……」
若菜に会えるのは簡単にクリアできそうだ。いくらなんでも電話をする時間くらいあるだろ。
「あ、もしかしたらこの人かも」
もうスマホの操作は倫典に任せたらすぐ出てきた。
『倉田亨』
倉田……亨。これか?!
「三葉さんどれだけ愛してるかわかったら悔しくなってきた」
倫典には悪いが俺は三葉を心の底から愛している。いつかおまえが三葉とどうなるとなったらまずはお前のことも考えなくてはいけない。
男が妻を引っ張るそんな時代はもう古いかもしれない、今は互いに協力して支え合っていかなくてはいけないが俺みたいにいきなり事故や病気で支えることができなくなることもある。その反対もある。
倫典が三葉を守っていかなくてはいけなくなる時もあるだろう、彼の方が年下だからな。
「悔しいだなんて、そんなこと言われてもさ。俺の方がもっと悔しい。直接これらのリストをすることができるかどうかわからない。お前はまだ体も魂もあるからたくさんできる」
「……三葉さんが大島先生から離れない限り僕に勝ち目はなさそうだなぁ。もうあの男には負けそうなのに」
あの男、そいつに会いたい。まずどんな男なのか。そこからでないと倫典に託すこともできないしな。いや、倫典に託すことを前提にはしたくはないが。
にしてもどうやったら行動できるか。倫典も仕事しているし、乗り移れるのは今のところスケキヨ、三葉だけ。猫はしゃべれないし体が弱ってるからこれ以上移動はできない。
三葉も平日は仕事をしている。乗り移る方法がわかって他の誰かに乗り移れたらもっと行動を起こしやすいのだが。
「そうだ、あの人をここに呼べばいいんですよ。その時は大島先生は仏壇かスケキヨに入ってしばらく様子を伺う。何かあったら三葉さんに乗り移って……」
「さすが倫典、想像力豊かだ。確かに三葉がその男とどう接しているかわかればどういう状態かもわかる。でもこの家に呼べなかったらどうするんだ」
「なんとかして呼び出す、男っていうのはちょろいんです」
……って自分で言うな、倫典。俺も倫典をここに呼び出した方法と同じじゃねえか。でもあの男の名前がわからない。
「呼び出したところで三葉さんはなんで呼んだかわからないってことになるけどメールで呼び出したら履歴が残るからそれ見て思い出すかもね」
「なるほど、でもお前は名前わかるか? そいつの」
倫典は首を横に振った。少しでも特徴とかどんな職業とかわからないのだろうか。心が痛むが三葉のスマホを覗いてみるか。
「……やっぱり見ますか」
「見る。待受は俺なんだよ。この時点で3人の中では一番は俺だな、悪りぃな」
「はいはい」
電話帳か? メールか?
メールの方がここ最近やり取りした相手となる。開くとまずは倫典、美帆子。と思ったら美帆子からのメールだ。
ピロン、と言う着信音だけで俺たちはびっくりしてしまった。が、落ち着いて美帆子のメールを見た。
『三葉、美守大丈夫かな? 今出たところだからあと30分で戻ります』
「30分で帰ってきちゃうぞ」
「それはいけない、も少し時間を稼ごう。あ、美守くん寝てるからもう少しゆっくりしてねって」
「ナイス名案、倫典ってお前仕事は」
倫典は一瞬真顔になった。がニコッと微笑んで
「まだなんとかなります……」
何とかなるのか? また不安要素が。
とりあえずまだ美守が寝ているからもう少しどこか行っててと返信。少し時間を稼ごう。でも俺が見える美守とも少し話はしたい。この時間で起きてくれるといいのだが。
で、次にメールを……。
……。
「大島先生? あの男の見つかりました?」
俺は首を振った。しかし一つ、見つけた。
『三葉さん、若菜です。兄の一周忌ですがやはりそちらに向かうのは難しそうです。お墓や遺骨をそちらにお願いしてしまい申し訳ありません。近いうちにお香典を送らせていただきます。よろしくお願いします』
若菜からのメール……こっちには来れそうにないのか。
「若菜って誰ですか」
「俺の妹だ……北海道に住んでいる」
「会いたいって書いてあったけど一周忌でさえも帰って来れないって。ぼくんちも人のこと言えないけどどういうことなんですか」
まぁ他人からしたらおかしいと思うがな、若菜は遠い北海道の地に嫁いでしまってなかなか難しいところの家族と一緒になってしまったからな。
でも妹にも何とか会いたい。
「テレビ電話とかどうですか」
え、簡単に解決しちゃうのか? でも姿見るだけになるが……。
「香典が届いたタイミングで三葉さんに乗り移ってビデオ電話しましょう。このアドレスなら対応してるかも……」
若菜に会えるのは簡単にクリアできそうだ。いくらなんでも電話をする時間くらいあるだろ。
「あ、もしかしたらこの人かも」
もうスマホの操作は倫典に任せたらすぐ出てきた。
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倉田……亨。これか?!
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