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岐阜花火大会

第二話 りんご飴とシバとの思い出

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 花火大会当日。
 湊音は李仁が仕事に行っている間に家事を終わらせてジュリの家に泊まることもあってりんご飴もお菓子作りの得意な湊音が用意する。
 最近のりんご飴はカッティングして販売されているのを知りカップもわざわざ買ってきてネットの見様見真似で作る。

「我ながら上出来」
 と出来上がったりんご飴カップを眺める。
「シバも好きだったもんなぁ」

 実は同じ花火大会に過去、湊音が高校教師のときに輪番制の見回りでシバが同行してくれたことがあったのだ。(シバは警察OB)その時に彼はりんご飴を買っていた。湊音にもひと齧りさせてくれて初めて食べたりんご飴、そしてその後帰りの車の中でキスをしたこと。
 それをふと思い出した。
 でも今日はシバはいない。

 だが湊音はりんご飴カップの写真を撮ってシバに送った。

「こんなの送ったって……」
 とスマホを置いてリビングに戻ってソファーにそのまま眠ってしまった。




「ミナくん!……ミナくん!!!」
 李仁の声でハッと起き上がる。14時。李仁が帰ってくるまで寝ていたようである。
 湊音は驚いて取り繕うが
「大丈夫? 疲れてるでしょ。作りおきまでして色々一気にしちゃうとだめだって先生に言われていたじゃない」
「……ごめん」
「でも助かったわ。それに私ももう少し早く帰って来る予定だったけど遅くなっちゃったし」
 李仁も行く準備をし始める。
「僕も荷物運ぶ」
「ありがとう、助かるわ」

 李仁の優しさに自分は違う男……シバのことを考えていたという浅はかさに申し訳無さを感じた湊音。

 そして二人は準備を終えてジュリの家に向かうのであった。




 車で向かったのはよかったものの進むにつれてお祭りのための道路規制が増えてきた。カーナビでも地図上にバツのマークがいくつか更新されて出てくる。
「ここも規制ー」
 と李仁は土地勘ありながらも遠回りするのはちょっと嫌なようである。

「なんかこないだ滋賀行ったじゃん、その時と同じくらい時間かかってない?」
 助手席に座っている湊音がそう言うと李仁は笑った。
「確かに。この時間で滋賀行けちゃうわ。おかわりする? 滋賀」
「しばらくはいいよ、お腹いっぱい」
「そうね、またもう少し経ってからね」
「てかこの時間でなればよかったのかも。寝なかったらもう少し早く着けたかもしれないな」
 李仁は湊音の頭を撫でる。
「いいのいいの。ドライブデートぉ」
「うれしっ」
「ミナくんと一緒ならどこまでもー」
「僕も李仁と一緒ならどこまでもー」
 2人は笑い合う。
 すると湊音が
「ジュリの家だとイチャイチャチュッチュできないー」
 と。
「こっそりすればいいのよ」
「こっそり? こっそりできるの?」
「バカ、運転中よ……」
「そうだね、ふふっ」
 湊音はコーヒーにストローを刺して李仁に渡す。

「ありがとう、ミナくん。着く前にどこか車止めてチュッチュする?」
「したい……」
「コーヒーの味するよ?」
「いいよ……」
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