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滋賀旅行
第十六話 旅の終わり
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大津港近くのお土産屋さんで地元産のビールやお菓子、漬物をはじめとするお土産、雑貨なども買い大満足の2人。
「さて、帰るまでが旅行ですからね」
と李仁はぐびっと栄養ドリンクを飲んだ。
「うん、安全運転でお願いしますね」
「はーい」
出発直後に湊音は爆睡。李仁は途中で助手席を倒して横にしてやった。
早々に寝てしまった彼に対して李仁は特に嫌な感情は無い。
湊音が少しでも気持ちが楽になれたんだと。ひどい時は夜も寝付けず時に泣き喚く時もあった。
旅の道中ではSEXをして後スンッと寝静まってくれた。
旅が終わってからしばらくは大丈夫なはず……と思いながらも。
行きと同じくノンストップで行くつもりであったが途中、ジュリから電話がかかってきたため近くのインターで休憩がてら立ち寄り車の外で電話をした。
もしもふと湊音が起きた時にいなかったらパニックを起こされたら困るからだが流石に車内で電話をすることはできない李仁なりの配慮だ。
『はぁーい、帰宅してる? それとも道中?』
陽気なジュリ、相変わらずである。
「道中。あんたから電話かかってきたからパーキングにねいるの。ミナくんは寝てる」
『あら、そう。でも湊音……元気そうに見えたけど旅行中だったからかしら』
「まぁね。でも疲れちゃったのもあって寝てるけどさ。シバはいるの?」
『シバも寝てるー。今週一週間はここにいるし。あ、週末に長良川の花火大会あるから見にきてよー』
ジュリたちの家は長良川花火大会の会場すぐ近くの高級マンションに住んでいるのだ。
シバが警察学校でしばらくの間学生たちと共に寮生活をしながら働いているため普段は一人暮らしをジュリはしている。
「そうね、一回も新居行ってなかったし」
『シバもその日は帰ってくるしー、ベッドもキングサイズだから、ねっ』
その「ねっ」に何か裏があるというのはわかっている李仁。
「はいはい、まぁミナくんの調子見てだけど予定入れておくわ……あとさぁ」
『あと?』
李仁は聞きたいことがあったのだ。
「なんで清水くんの店で……会うことにしたのさ」
ジュリからの返事がない。
「……私の元カレよ、清水くん」
そう、李仁は湊音に嘘をついていた。清水は李仁の元カレである。
『左耳のインダストリアル……の彼だったわよね』
2つのピアスホールを1つのロングバーベルで繋いでいたもので、今はもう塞がっているがかなりのインパクト強めのピアスであった。
李仁は付き合うたびにピアスの穴を増やすのだが……。
「一回別れてまた付き合ったから二箇所穴空いて繋げたやつだからねぇ。でもすぐ別れたけどさ……」
『別れたのも清水くんのお父さんが倒れたから……下の兄弟を育てるために夜の仕事辞めて地元に戻ったんでしょ』
「まぁね……それを知ったのもその後だったから」
『ふん、すぐ違う男見つけてバーテンの資金出してもらってたくせに』
「そ、それは……んー、そのー!」
ここまで取り乱す李仁はなかなか無い。湊音に見られたらとふと車内見るとまだ寝ていた。
「……でも清水くんが私の道を変えてくれた、だから今こうしていられてるのは事実よ」
『そうね、私も彼に李仁とはいい仕事のパートナーになるから可愛がってもらえって言われたのよね……』
「あら、そうだったの? ……長い付き合いになるわね、夜のあの街の中で一番長い……」
とふと李仁は空を仰ぐ。色々あった、過去のこと。夜の街でしか生きていけなかったあの時を。
すると窓ガラスを叩く音。
湊音が起きたようだ。
「さて、帰るまでが旅行ですからね」
と李仁はぐびっと栄養ドリンクを飲んだ。
「うん、安全運転でお願いしますね」
「はーい」
出発直後に湊音は爆睡。李仁は途中で助手席を倒して横にしてやった。
早々に寝てしまった彼に対して李仁は特に嫌な感情は無い。
湊音が少しでも気持ちが楽になれたんだと。ひどい時は夜も寝付けず時に泣き喚く時もあった。
旅の道中ではSEXをして後スンッと寝静まってくれた。
旅が終わってからしばらくは大丈夫なはず……と思いながらも。
行きと同じくノンストップで行くつもりであったが途中、ジュリから電話がかかってきたため近くのインターで休憩がてら立ち寄り車の外で電話をした。
もしもふと湊音が起きた時にいなかったらパニックを起こされたら困るからだが流石に車内で電話をすることはできない李仁なりの配慮だ。
『はぁーい、帰宅してる? それとも道中?』
陽気なジュリ、相変わらずである。
「道中。あんたから電話かかってきたからパーキングにねいるの。ミナくんは寝てる」
『あら、そう。でも湊音……元気そうに見えたけど旅行中だったからかしら』
「まぁね。でも疲れちゃったのもあって寝てるけどさ。シバはいるの?」
『シバも寝てるー。今週一週間はここにいるし。あ、週末に長良川の花火大会あるから見にきてよー』
ジュリたちの家は長良川花火大会の会場すぐ近くの高級マンションに住んでいるのだ。
シバが警察学校でしばらくの間学生たちと共に寮生活をしながら働いているため普段は一人暮らしをジュリはしている。
「そうね、一回も新居行ってなかったし」
『シバもその日は帰ってくるしー、ベッドもキングサイズだから、ねっ』
その「ねっ」に何か裏があるというのはわかっている李仁。
「はいはい、まぁミナくんの調子見てだけど予定入れておくわ……あとさぁ」
『あと?』
李仁は聞きたいことがあったのだ。
「なんで清水くんの店で……会うことにしたのさ」
ジュリからの返事がない。
「……私の元カレよ、清水くん」
そう、李仁は湊音に嘘をついていた。清水は李仁の元カレである。
『左耳のインダストリアル……の彼だったわよね』
2つのピアスホールを1つのロングバーベルで繋いでいたもので、今はもう塞がっているがかなりのインパクト強めのピアスであった。
李仁は付き合うたびにピアスの穴を増やすのだが……。
「一回別れてまた付き合ったから二箇所穴空いて繋げたやつだからねぇ。でもすぐ別れたけどさ……」
『別れたのも清水くんのお父さんが倒れたから……下の兄弟を育てるために夜の仕事辞めて地元に戻ったんでしょ』
「まぁね……それを知ったのもその後だったから」
『ふん、すぐ違う男見つけてバーテンの資金出してもらってたくせに』
「そ、それは……んー、そのー!」
ここまで取り乱す李仁はなかなか無い。湊音に見られたらとふと車内見るとまだ寝ていた。
「……でも清水くんが私の道を変えてくれた、だから今こうしていられてるのは事実よ」
『そうね、私も彼に李仁とはいい仕事のパートナーになるから可愛がってもらえって言われたのよね……』
「あら、そうだったの? ……長い付き合いになるわね、夜のあの街の中で一番長い……」
とふと李仁は空を仰ぐ。色々あった、過去のこと。夜の街でしか生きていけなかったあの時を。
すると窓ガラスを叩く音。
湊音が起きたようだ。
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