2人で歩めば(李仁と湊音2024)

麻木香豆

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滋賀旅行

第五話 アイスも溶ける暑さ

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 彦根城に登り彦根の街を展望し終わった後、彦根の街に戻り空いている店に入って昼ごはんを食べることにした2人。気づけば昼近くになっていたから。

「やっぱ店の中は涼しいわ」
「ねー、でも彦根の街を待たせたのは最高だったー」
 と2人は城から撮った景色を見せ合って先ほどまで居た場所を思い出す。
 ツーショットを撮ったが互いにサングラス姿で怪しさ満開だった。それを見て笑う。

「ねぇ、後でさっき見つけたアイスクリーム屋さんでソフトクリーム食べよ」
「うん、それのためにここのプリン注文しなかったんでしょ」
「わかってるね、李仁」
「長い間一緒にいるからわかるわよ」


 涼んだ後に外に出るとまた暑さは半端ない。
 すぐ近くのアイスクリーム屋さんでほうじ茶、抹茶それぞれのソフトクリームを買う。

 店の中で食べれるのだが湊音が車の中で、という。
 外に出ると暑いが駐車場も近いから大丈夫だよね、と。

 李仁はわかっていた。不器用な湊音が遠回しにそう言う事。

 車に戻ると車内温度は高い。少しずつ溶けていくソフトクリーム。それぞれ運転席と助手席に座ってそれぞれのソフトクリームを舐める。
「やっぱ2人きりの方がいい」
「旅行なんだから、でもわたしも」
 互いのソフトクリームをシェアしどんどん溶けていくソフトクリームの液体が垂れて持つ手にどんどん垂れて来るのを阻止するために2人で舐め合う。

 指を舐めアイスを舐め。
 フロントガラスをアルミのシートで隠しているのを良いことにアイスもコーンも無くなる頃には運転席のシートを倒して互いの唇を吸い、舌を交じり合い、ほうじ茶と抹茶の味、そして汗の塩っぽさが口の中にカオスのように混ざり合う。
 体も火照り制汗剤と香水の匂いの奥の汗と体臭とソフトクリームの甘い匂い。
 熱を一番帯びている互いの部分がズボン越しに感じ取られる。

 その時、正気に戻った李仁は覆い被さる湊音を優しく離した。
 そして頭を撫でて
「まだ歩くんだから体力温存しましょう」
 と言うと湊音は少し不満足げだが頷き、もう一度キスして体を離した。



 2人は少し冷静さを取り戻して彦根を後にし多賀大社に向かう。

「多賀大社もお祭りらしいよ」
「まじか、駐車場あるといいけど」
 昼過ぎだと混む確率も高い。確かに向かう先はだんだん車が多くなってきた。
 だが境内はそこまで広くはないため滞在時間も少ないから回転率も高い、と李仁の独自の考えの元強行突破。
 確かに境内横の駐車場はあるが出ては入っての連続。しかしなかなか入ることはできない。

「少し先に銀行あるけどそこに……」
 とややせっかちな湊音は提案するが
「銀行から神社まで歩くわよ。外暑いのに歩いたら体力なくなるわ」
 と李仁は待つことにするとすぐ5分もしないうちに駐車できた。

 降りてやはり暑さを感じるが先ほどのように歩くとなるとしんどかったであろう。それよりも……と考えたら。

 そして車から降りて2人が境内を見渡す。
「雑誌と見た目が違う」

 雑誌ではシンプルな神社であったが祭りの日でもあって提灯がズラーっと並びかなりの圧巻である。
 人もそれなり多く、他に夜から始まるであろう露店の準備もされていた。

「なんかパワーが漲るわねー」
 と李仁は日傘を差しながらも腕を広げる。
「そう言われるとそうかもー」
 と湊音も一緒に。

「せっかくならこのパワー受け取っておみくじ引きましょう!」
「うん!」
 と社務所でおみくじを引こうとすると目の前にQRコードが。
「おみくじがコード決済……進んでるわね」
 と二人はびっくりする。
「お守りとかは現金でいただきます」
 と巫女さんが言う。
「そこは現金か……」
 さっそく湊音がコード決済をして2人分のおみくじをもらう。

「いっせーのーで!」
 おみくじを同時を開けると
「大吉!」
 何と2人とも大吉。
 それぞれ番号は違うが。
 45才の男2人が大吉にキャッキャ言う姿を周りの人が白い目で見ているが社務所の巫女さんが
「なかなか大吉が一気に出ることはここでは珍しいんですよ」
 と本当か嘘かわからないのだがそう言われた2人はこの神社のパワーの凄さを感じるのであった。


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