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滋賀旅行
第二話 滋賀に行こう!
しおりを挟む「どこに行こうー」
とりあえず全国分の旅行雑誌を図書館で広げる2人。来た図書館は雑貨販売店に併設されたもので賑やかで他の図書館みたいに静かすぎでもなく、会話をしていても大丈夫な図書館。
だから湊音はとても気に入っている場所でもある。
「どこ行っても暑いよね、北海道もいいけど……北海道の夏旅行でプロポーズだったしー」
「……しばらく行ってないわねー」
「北海道にする?」
と湊音はニコッと北海道の旅行雑誌を見せるがうーん、と考えて李仁は横に首を振る。
「人が程よい感じがいいのよね。車で移動しやすいところがいいかも。北海道は広すぎる。移動が大変」
「人多いと疲れるしね、まぁどこも人多いか……」
「そうよ、それじゃ旅いけないわ」
「だよねぇー」
と2人はそれぞれ雑誌を見ていく。こう会話してても平気な図書館だから2人はあーだこーだ言いながら本を見ていく。
そして行けるとなるとせめて関東、関西あたりくらいまでかと話が進んでいく。
「あっ……」
李仁が思いついたようだ。
「そういえば滋賀、行ってないよね?」
「滋賀!」
普段挙げない地名に湊音はそういえば! と。
「今大河ドラマでも人気の他だとかいうし」
「あー、紫式部ー」
2人は日曜の夜にまったりと見ている大河ドラマである。
図書館でも大河ドラマ関連の特集が組まれていて滋賀もその一部に入っており、滋賀観光の本も多い。
どちらかと言えば京都の方が多いが。
「京都でもいいけど暑いし人多いから……滋賀にしよっ」
「そうね、サクッと決まった!」
「琵琶湖……てか滋賀は昔生徒たち引率して旅行行ったような気もするけど」
「行ってたよー、おみやげもらったし。てか……それだからわたしが当時滋賀行きたい! って言ったら学校で行くからいやだーって言われましたけど?」
そう言われて湊音はそうだっけ? と思いながらも……。
「ああ……でも李仁とは初めてじゃん」
「そうよね、何年越しかしらねー」
「もぉ、ごめんごめん……」
「いーよ」
李仁は相変わらず湊音を揶揄う。湊音はタジタジである。
と2人は滋賀の本を借りて、旅行で必要なものを雑貨店で買って行った。どちらかといえば図書館よりも長い時間買い物をしていた2人であった。
「旅行するのもいいけど、こうやって旅行までの間に準備をするのが楽しいのよね」
「うんうん」
すっかり2人のお気に入りの場所である。
その日の夜。
2人はベッドの上で激しく交わる。何度もキスをし、抱き合い……今夜はめずらしく湊音の方が欲情的だった。何度も求めて腰を振り欲しがる。
そんな彼を見てさらに興奮する李仁。互いを思い、時に自分本位になり動く。
「あああああっ……」
「あんっ……」
そして李仁の上で絶頂に達した湊音。もう何度目だろうか。
カウントできないほど愛し合う。グッタリとした2人は何もかも考えなられなくなるほど頭が白くなり天井を見つめ少し時間が経ち李仁の方から湊音の体を引き寄せる。
湊音は休職したものの、家ではゆったりと過ごしてやれる家事をし、李仁の仕事の帰りを待ち出迎える。
ご飯は先に食べる時も多いが一緒にまったりして過ごす時間は大切にしている。
湊音が休職する事は過去にもあったことであり、仕事をしないだけで普通の生活はしている。こうして激しくセックスもする。
周りからは普通に見えてもそうではない、これ以上また酷くならないように過ごしているだけだ。
休職のきっかけは過去のショックな出来事(子供の頃の母の自死の目撃)がふとしたきっかけでいろんな感情と共に混ざり合ってしまったのだろうと。
これも何度目でもあるが歳を重ねるに連れて治ったかと思えばそうでもない。脆くなりつつもある。
それと市役所職員を辞めて李仁の店を手伝うようになり生活リズムを崩したのも原因のようだった。高校教師、市役所職員として子供食堂を運営、飲食店の店員……それぞれ内容も生活リズムも違う。
今はなにもしない、それが一番の選択であろうとの判断になった。
李仁に尽くし甘えるのが湊音のためにもなる。正直それも危ういと思いつつも……。
「李仁、旅行楽しみ」
「わたしもよ、ミナくん」
甘えてくる湊音を抱きしめ李仁は今度は湊音をベッドの方に倒して沈む。
こうして何度かの夜を超え旅行の日もあっという間にやってきた。
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