誰もが誰かに嫉妬する

麻木香豆

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第六章

第十九話

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そしてあっという間に式の日を迎え、無事盛大に終えた。

余興は芹香さんは全く知らなくて泣いて喜んでくれた。サプライズ、成功? 
周りのバンドマンからわたしがバーディズの二代目ボーカルだなんて言われてこしょぐったく恥ずかしかった。

あれから練習したけどあっという間に今日になっちゃったからあまり時間もなかった。

でもなんとかみんなとできてよかった。大貴くんに関してはしょうがないか、だなんていいつつもずっとスタジオかしてくれたし、海斗くんもいつものようにぐちぐち言いながらもみんなのムードメーカーだった。
郁弥にいちゃんもリーダーらしくみんなをまとめ上げていた。

当日はお兄ちゃんは同級生の料理人たちと調理、私と幸太は配膳、海斗くんは照明、大貴くんは音響ともあって今はもうクタクタである。

みんなはうちの家で雑魚寝してる。幸太と私以外はみんなお酒入ってるもんね。

芹香さんは少し無理したらしくって先におうちで横になってるそうだ。

ウエディングドレス姿、素敵だったなぁ。お化粧もしてさらに素敵だった。
だからいつも以上に緊張した。彼女の前で歌うだなんてそんな度胸……と思いながらも会場内盛り上がったし。うまく行った、てことかしら。

わたしはお店に戻ると柳さんがいた。もらったお祝いを車に運んでいるところみたい。

「柳さん、わたしも手伝います。そんなにたくさん!」
「ああ、ありがとう。あと少しだから」
「たくさん持って落としたら大変だから」
「そうだね、僕そそっかしいから。助かる」

そうかなぁと思いながらもわたしはお土産を持って行くのを手伝う。大きなワゴン車……レンタカーだ。もうすでにいくつかのプレゼントでいっぱい。あ、チャイルドシートもついてる。

「気が早いって思うでしょ」
「まだ芹香さんのお腹そこまで大きくないから実感ないです」
「だよな。でも生まれて退院して病院から家まで行く時もチャイルドシート乗せないとダメみたいだからつけてもらったんだ。これも車もレンタル」
ほぉ……。


荷物を置いて店に戻る。
「柳さん、何か飲みます?」
「いや、大丈夫よ。お手伝いありがとう」
店の中にはわたしと柳さんだけだ。意外と彼と二人きりってないよなぁ。

……何話せばいいんだろう。

「よかったよ。余興……ありがとう」
あ、柳さんから話しかけてきてくれた。

「ありがとう……ちょっと恥ずかしかったよ」
「……ジンってきちゃったよ胸に」
「……」
「ギターもボーカルもうまくてカッコよかったよ」
「……」

わたしは何も返せなかった。


「ねぇ、なんでわたしたちに余興させたの?」
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