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第四章
第十三話
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よくわからない。この感情。
「お腹いっぱいか?」
郁弥にいちゃんがカウンターで晩御飯出してくれたけどなんか食欲湧かない。
「……そうみたい」
ふと店内のステージを見ると柳さんの仲間が演奏をしていた。ゴリゴリのロックじゃなくてお洒落なバンドで大人なバンド。
「今日も打ち合わせに日中来たけどさ……なんていえばいいかいいのか。あいつがどんな気持ちで今回の結婚式をこの俺にやらせるのかわからんけども……あの仲間達はこの店気に入ってくれてるし、断るのにも断れなかったのかなぁってさ」
「……柳さん優しい人だから人から言われたら断れない人だったもん」
私はタッパーに食べられなかった物を詰め込んだ。
「バンドの時も大貴と海斗に押されてたし。なかなか意見通さなくてシュンとしてる顔何度か見てた」
「わたしも」
「海外行ってから自信がついただろうけど昔と変わんないよな」
「……さすがお兄ちゃん、バンドのリーダーなだけに見てるね」
郁弥にいちゃんは久しぶりに笑った。
「だからと言ってさ、元夫の店で結婚式やるか?」
「柳さんはリーダーである郁弥にいちゃんを慕ってたと思うけど……」
「いや、絶対芹香と結婚した事、根に持ってるよ。あいつが芹香好きだっての知って俺からアプローチして」
なんてこと。……はぁ、お兄ちゃんも欲張りだなぁ。
郁弥にいちゃんが結婚してくれたおかげで私は芹香さんとは義姉妹になれたけども……私が本当は芹香さんと結婚したかった。姉妹じゃなくて。
私の方こそ最初郁弥にいちゃんに嫉妬したもん。
……そいや郁弥にいちゃんと芹香の別れた時……
『私の体質のせいで子供ができなくて』
と涙ながらに語っていた。2人の間に子供がしばらくできなくて不妊治療をしてたけど2人が30歳を目前に互いの道を進もうって……離婚したんだっけ。
「……お兄ちゃん、色々複雑だろうけどさ。私は幸太と余興2人でやる」
「えっ」
「お兄ちゃんたちは無理してやらなくていいよ。だからお兄ちゃんは料理に専念してさ。ちゃんと祝ってあげようよ」
「……」
ああ、また不機嫌になっちゃったよ。
「ほんとさ、柳も芹香も優しいよ」
「……確かに似た物同士だもん」
「離婚したのは表向き……互いの道を歩むためだったけども、家族内では芹香の不妊体質ってことになってたろ」
私は頷いた。でも今芹香さんは柳さんとの子供がお腹にいる。
「……本当は俺の方が不妊体質だったんだ」
「えっ」
「あいつは俺のメンツのためかなんだか知らんけども俺が検査で不妊体質ってことを親たちには知られたくないのか……自分のほうが不妊体質だからって……」
そんなこと知らなかった。お兄ちゃん、その時言えばよかったのに。
「ちゃんと言えてたら……てか俺もその時ショックで。自分のせいで子供ができないなんて信じられなくて。この店もヤバイときでどうすればいいかわからなくて。芹香もなんであんなこと言うんだよって」
「……芹香さんの親さんたちすいませんとか言ってたよね。聞いてたもん、隣の部屋で。お父さんお母さんたちはそれはしょうがないって……」
郁弥にいちゃんは泣いていた。離婚を決意するときも泣いていた。
「ほんと優しすぎるよ、芹香は。優しさに甘えちまったからいけないんだ」
私は背中を撫でてやった。震えてる。
「悔しい。頑張って治療してたら子供できてたかもしれないし、それに子供いなくても2人で頑張ろうとかそう言うこと言えなかった俺は……っ!」
「今更そんなこと言っても意味ないよ」
首を横に振る郁弥にいちゃん。
「……お前もごめんな、芹香に慕ってたのに。芹香もお前のことを本当に妹のように大事にしてたんだよ。だからもっと大事にしてやれって言われてたんだ」
……芹香さん……。
「お腹いっぱいか?」
郁弥にいちゃんがカウンターで晩御飯出してくれたけどなんか食欲湧かない。
「……そうみたい」
ふと店内のステージを見ると柳さんの仲間が演奏をしていた。ゴリゴリのロックじゃなくてお洒落なバンドで大人なバンド。
「今日も打ち合わせに日中来たけどさ……なんていえばいいかいいのか。あいつがどんな気持ちで今回の結婚式をこの俺にやらせるのかわからんけども……あの仲間達はこの店気に入ってくれてるし、断るのにも断れなかったのかなぁってさ」
「……柳さん優しい人だから人から言われたら断れない人だったもん」
私はタッパーに食べられなかった物を詰め込んだ。
「バンドの時も大貴と海斗に押されてたし。なかなか意見通さなくてシュンとしてる顔何度か見てた」
「わたしも」
「海外行ってから自信がついただろうけど昔と変わんないよな」
「……さすがお兄ちゃん、バンドのリーダーなだけに見てるね」
郁弥にいちゃんは久しぶりに笑った。
「だからと言ってさ、元夫の店で結婚式やるか?」
「柳さんはリーダーである郁弥にいちゃんを慕ってたと思うけど……」
「いや、絶対芹香と結婚した事、根に持ってるよ。あいつが芹香好きだっての知って俺からアプローチして」
なんてこと。……はぁ、お兄ちゃんも欲張りだなぁ。
郁弥にいちゃんが結婚してくれたおかげで私は芹香さんとは義姉妹になれたけども……私が本当は芹香さんと結婚したかった。姉妹じゃなくて。
私の方こそ最初郁弥にいちゃんに嫉妬したもん。
……そいや郁弥にいちゃんと芹香の別れた時……
『私の体質のせいで子供ができなくて』
と涙ながらに語っていた。2人の間に子供がしばらくできなくて不妊治療をしてたけど2人が30歳を目前に互いの道を進もうって……離婚したんだっけ。
「……お兄ちゃん、色々複雑だろうけどさ。私は幸太と余興2人でやる」
「えっ」
「お兄ちゃんたちは無理してやらなくていいよ。だからお兄ちゃんは料理に専念してさ。ちゃんと祝ってあげようよ」
「……」
ああ、また不機嫌になっちゃったよ。
「ほんとさ、柳も芹香も優しいよ」
「……確かに似た物同士だもん」
「離婚したのは表向き……互いの道を歩むためだったけども、家族内では芹香の不妊体質ってことになってたろ」
私は頷いた。でも今芹香さんは柳さんとの子供がお腹にいる。
「……本当は俺の方が不妊体質だったんだ」
「えっ」
「あいつは俺のメンツのためかなんだか知らんけども俺が検査で不妊体質ってことを親たちには知られたくないのか……自分のほうが不妊体質だからって……」
そんなこと知らなかった。お兄ちゃん、その時言えばよかったのに。
「ちゃんと言えてたら……てか俺もその時ショックで。自分のせいで子供ができないなんて信じられなくて。この店もヤバイときでどうすればいいかわからなくて。芹香もなんであんなこと言うんだよって」
「……芹香さんの親さんたちすいませんとか言ってたよね。聞いてたもん、隣の部屋で。お父さんお母さんたちはそれはしょうがないって……」
郁弥にいちゃんは泣いていた。離婚を決意するときも泣いていた。
「ほんと優しすぎるよ、芹香は。優しさに甘えちまったからいけないんだ」
私は背中を撫でてやった。震えてる。
「悔しい。頑張って治療してたら子供できてたかもしれないし、それに子供いなくても2人で頑張ろうとかそう言うこと言えなかった俺は……っ!」
「今更そんなこと言っても意味ないよ」
首を横に振る郁弥にいちゃん。
「……お前もごめんな、芹香に慕ってたのに。芹香もお前のことを本当に妹のように大事にしてたんだよ。だからもっと大事にしてやれって言われてたんだ」
……芹香さん……。
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