誰もが誰かに嫉妬する

麻木香豆

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プロローグ

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現代ではSNSでメールやビデオ通話ができるのに、芹香さんは絵手紙を書き、それに直筆のメッセージまで添えてくれた。

彼女が私を思って一回で綺麗な字で書いてくれた手紙を、学校の屋上で天気の良い青空の下で太陽に透かして見ると、消し跡が無い。私だけにこんなことをしてくれるなんて、とても優越感に浸る。

他の人に言ったら嫉妬されるだろうな、と思う。

芹香さんは人気がある人だけど、私だけを特別に可愛がってくれた。今も私のことを思ってくれていることが、この手紙から分かる。ああ、自分に自惚れてしまう。

「成美、またここでサボって。何か覚える気あるの?」
クラスメイトの幸太が私の前に立ちはだかる。手紙をポッケに隠すと、幸太は

「それ何?」

と聞いてきた。

「なんでもないよ」
と私は答えた。

芹香さんの手紙は秘密なのだ。幸太も芹香さんを知っているから、口外しないでほしい。
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