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新生活編
第三話
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寧人は秘書である古田との行為も終わりメールで社員たちに指示をだしたり彼らの業務報告書などをみて明日以降の計画を立てて仕事を終えパソコンを閉じた。
そしてデパートに出向き花束とケーキを受け取る。古田にも手伝ってもらいクルマに乗せてホテルに向かう。服もついでに着替えてある。ケーキと花束をフロントに預け古田はロビーで寧人に帰宅することを伝えた。
「今日の服はこのままクリーニングに出してまた社長室にかけておきます」
「いつもありがとう」
「いえ、あなたにとって最高の秘書ですから……今夜はどうか楽しんできてくださいね」
古田はチラッと首元のキスマークを見せてニヤッと笑った。寧人は参ったという顔をしながらその場のソファーに腰掛ける。
「参ったな、リンめ……女狐だな」
とぼやきながらスマホを見ると、一護からあと少しで着くと連絡があった。
寧人はこの一年がバタバタと過ぎていき、あっという間であったと振り返る。あの時に夢なら覚めて欲しい、と言ったが一護が言った通りいい夢だから覚めないで欲しい、と思うようになった。まだ夢見心地のようだから。
少しでもぐらつくとまたあの引きこもりの時に戻ってしまうと恐れつつも欲には勝てない。
「寧人ーっ」
一護が後ろから声をかけてきた。髪の毛を綺麗に一つに束ねてスーツもピシッと。少し体格もサイクリングのせいかたくましくなった。
「相変わらずきまってんな」
「ありがとう」
「どうしたらそんなカッコよくなるんだ」
「好きな人がいたら……」
「僕もいるのに」
「まぁ身長はどうにもならないね」
「このやろっ!」
「ふふふ。さぁ、レストランいきましょう」
自分よりも20センチ高い一護を羨ましく思う寧人であった。
最上階にあるレストラン。今までに二人でいろんな美味しいところに食べに行った。
実際のところ、一護の体格の良さはそこにも通じるが彼は筋肉に変えてしまう。寧人はというとジムも行くのだが代謝が悪くなったのか少し丸くなってしまったという自覚もある。
「にしても今日は豪華なところ予約したんだね、寧人」
「まあな、たまには奮発して」
「中華レストラン……まさかだけど」
「ここまできて麻婆丼なわけないよ」
「かといって麻婆丼頼むんでしょ」
「……バレたか」
「バレバレよ」
二人の乗ったエレベーターはどんどん上がる。他に誰も乗っていない。最上階まで直行である。
それをいいことに一護は寧人の手を握る。エレベーターからは夜景が見える。
「一護、まだ夢は覚めて欲しくないか?」
「んー、夢は覚めた」
「えっ……」
一護は笑う。そして手を強く握った。
「これは夢じゃない、現実よ」
「前と言ってること違うじゃねーか」
「そうかしら……」
そして最上階についた。すると一護がレストランに入る前に立ち止まった。
「あら、このレストラン……」
「ん?」
一護は寧人を見てニヤッと笑った。寧人はそれに気づいたがフフン、と笑い返して入った。
「気の利くようなことするようになったのね、寧人も」
「そんなことはない、行くぞ」
そこのレストランは寧人があの頃よく頼んでいた麻婆丼を頼んでいたお店の監修するシェフが経営しているレストランであった。
終
そしてデパートに出向き花束とケーキを受け取る。古田にも手伝ってもらいクルマに乗せてホテルに向かう。服もついでに着替えてある。ケーキと花束をフロントに預け古田はロビーで寧人に帰宅することを伝えた。
「今日の服はこのままクリーニングに出してまた社長室にかけておきます」
「いつもありがとう」
「いえ、あなたにとって最高の秘書ですから……今夜はどうか楽しんできてくださいね」
古田はチラッと首元のキスマークを見せてニヤッと笑った。寧人は参ったという顔をしながらその場のソファーに腰掛ける。
「参ったな、リンめ……女狐だな」
とぼやきながらスマホを見ると、一護からあと少しで着くと連絡があった。
寧人はこの一年がバタバタと過ぎていき、あっという間であったと振り返る。あの時に夢なら覚めて欲しい、と言ったが一護が言った通りいい夢だから覚めないで欲しい、と思うようになった。まだ夢見心地のようだから。
少しでもぐらつくとまたあの引きこもりの時に戻ってしまうと恐れつつも欲には勝てない。
「寧人ーっ」
一護が後ろから声をかけてきた。髪の毛を綺麗に一つに束ねてスーツもピシッと。少し体格もサイクリングのせいかたくましくなった。
「相変わらずきまってんな」
「ありがとう」
「どうしたらそんなカッコよくなるんだ」
「好きな人がいたら……」
「僕もいるのに」
「まぁ身長はどうにもならないね」
「このやろっ!」
「ふふふ。さぁ、レストランいきましょう」
自分よりも20センチ高い一護を羨ましく思う寧人であった。
最上階にあるレストラン。今までに二人でいろんな美味しいところに食べに行った。
実際のところ、一護の体格の良さはそこにも通じるが彼は筋肉に変えてしまう。寧人はというとジムも行くのだが代謝が悪くなったのか少し丸くなってしまったという自覚もある。
「にしても今日は豪華なところ予約したんだね、寧人」
「まあな、たまには奮発して」
「中華レストラン……まさかだけど」
「ここまできて麻婆丼なわけないよ」
「かといって麻婆丼頼むんでしょ」
「……バレたか」
「バレバレよ」
二人の乗ったエレベーターはどんどん上がる。他に誰も乗っていない。最上階まで直行である。
それをいいことに一護は寧人の手を握る。エレベーターからは夜景が見える。
「一護、まだ夢は覚めて欲しくないか?」
「んー、夢は覚めた」
「えっ……」
一護は笑う。そして手を強く握った。
「これは夢じゃない、現実よ」
「前と言ってること違うじゃねーか」
「そうかしら……」
そして最上階についた。すると一護がレストランに入る前に立ち止まった。
「あら、このレストラン……」
「ん?」
一護は寧人を見てニヤッと笑った。寧人はそれに気づいたがフフン、と笑い返して入った。
「気の利くようなことするようになったのね、寧人も」
「そんなことはない、行くぞ」
そこのレストランは寧人があの頃よく頼んでいた麻婆丼を頼んでいたお店の監修するシェフが経営しているレストランであった。
終
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