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2021
よからぬ気持ちは押し殺して
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「そいや、シバとはどうなの」
湊音は話題を変えた。
「どうっていっても普通よ。恋人同士というのは違うけど、以前みたいに雇い主と雇われ以上恋人未満てとこかしら」
なんとも言えぬ関係性である。これを聞いたらシバはきっとがっくりするだろう。
「ごめんね、そっちにシバくん住まわせちゃってさ。そっちの方が気になってたわ。どうなの?」
どうなのと反対に聞かれた湊音は普段の生活を思い返すと明里には到底話せないことが多い。
「まあ見た通り性格は荒いけど家事とかやること守ることはしっかりやってくれてるし、3人で過ごすのも悪くはないよ」
と当たり障りのないことを湊音が話すと明里は笑った。なぜ笑ったのかわからない。
「かなり当たり障りのないこと言うね。男3人同世代なら意気投合して楽しそうだと思う。みんなそれぞれ個性違うから楽しそうだしー」
「た、楽しいっていうかなんというか」
湊音はふと昨晩、李仁が帰って来るまでの間にシバとシャワーを浴びてからイチャイチャし、夜は何食わぬ顔で李人とベッドでもいちゃついたことを思い出す。
「いいな、私はそんなのかけ離れた世界になってしまったわ。もう今は子供で精一杯」
そういう明里にたいして湊音は過去のことを思い出す。彼女に対して仄かな恋愛感情はあったものの、身体の関係ばかり求めてしまったことを。その時の彼女は愛に飢えて他の男とも身体の関係を持っていたがそれは湊音が明里をちゃんと愛さなかったからであって、湊音は自分がもっと彼女を大切に、そして恋を楽しめばよかったかと。
でもその時には李仁に出会って恋をしてしまったから、運命の悪戯かもしれない。別れてからお互いに結婚したものの、彼女の夫のパーソナルジムに誘われたものの湊音が彼女の夫に気に入られ、しかもゲイであり関係を持ってしまったことから関係性はかなり複雑になり、それを知った李仁も加わってぐちゃぐちゃになった経緯もある。
明里は夫が湊音たちと関係を持っていたことや、ゲイであった事実はさておき、価値観や経営のことで方向性が合わず離婚した。
それでも湊音と明里は縁を切らずに未だ付き合いがあるのは不思議なくらいだ、と。あれからはというともちろん湊音と明里には身体の関係はない。なんとなく2人は隣り合わせながら何かを感じ取っていた。しかし互いにそれ以上を超えてはいけない、ものも。
「シバくんは子供と楽しく遊んでくれるし、仕事もちゃんとしてくれてるし……でも」
「でも?」
「結婚が全てじゃないなぁって。結婚したらもうときめきなんて終わってしまう……」
そんな言葉を明里が言うなんて、と湊音は驚いて彼女の方をみると意味深げに微笑んでいた。
「おいそこ、不倫してんじゃねぇぞ」
子供2人抱えたシバが茶化す。
「違うわよー、そんな尻軽じゃないって……子供の前で何言わせてんのよっ。湊音くんもパンフレット渡すから読んで考えて。じゃあ」
明里は子供たちと帰っていった。湊音は一瞬、彼女に対してよからぬことを抱いてしまったと、その感情を押し殺した。
「湊音、帰りはモールで飯食って李仁の本屋寄ってこうや」
「うん。ちょっと調べたいことがあって……」
湊音は気持ちを変えるべく明里からもらったパンフレットに目をやる。シバはそれを覗き込んだ。
「何を」
「……ちょっとね」
湊音は話題を変えた。
「どうっていっても普通よ。恋人同士というのは違うけど、以前みたいに雇い主と雇われ以上恋人未満てとこかしら」
なんとも言えぬ関係性である。これを聞いたらシバはきっとがっくりするだろう。
「ごめんね、そっちにシバくん住まわせちゃってさ。そっちの方が気になってたわ。どうなの?」
どうなのと反対に聞かれた湊音は普段の生活を思い返すと明里には到底話せないことが多い。
「まあ見た通り性格は荒いけど家事とかやること守ることはしっかりやってくれてるし、3人で過ごすのも悪くはないよ」
と当たり障りのないことを湊音が話すと明里は笑った。なぜ笑ったのかわからない。
「かなり当たり障りのないこと言うね。男3人同世代なら意気投合して楽しそうだと思う。みんなそれぞれ個性違うから楽しそうだしー」
「た、楽しいっていうかなんというか」
湊音はふと昨晩、李仁が帰って来るまでの間にシバとシャワーを浴びてからイチャイチャし、夜は何食わぬ顔で李人とベッドでもいちゃついたことを思い出す。
「いいな、私はそんなのかけ離れた世界になってしまったわ。もう今は子供で精一杯」
そういう明里にたいして湊音は過去のことを思い出す。彼女に対して仄かな恋愛感情はあったものの、身体の関係ばかり求めてしまったことを。その時の彼女は愛に飢えて他の男とも身体の関係を持っていたがそれは湊音が明里をちゃんと愛さなかったからであって、湊音は自分がもっと彼女を大切に、そして恋を楽しめばよかったかと。
でもその時には李仁に出会って恋をしてしまったから、運命の悪戯かもしれない。別れてからお互いに結婚したものの、彼女の夫のパーソナルジムに誘われたものの湊音が彼女の夫に気に入られ、しかもゲイであり関係を持ってしまったことから関係性はかなり複雑になり、それを知った李仁も加わってぐちゃぐちゃになった経緯もある。
明里は夫が湊音たちと関係を持っていたことや、ゲイであった事実はさておき、価値観や経営のことで方向性が合わず離婚した。
それでも湊音と明里は縁を切らずに未だ付き合いがあるのは不思議なくらいだ、と。あれからはというともちろん湊音と明里には身体の関係はない。なんとなく2人は隣り合わせながら何かを感じ取っていた。しかし互いにそれ以上を超えてはいけない、ものも。
「シバくんは子供と楽しく遊んでくれるし、仕事もちゃんとしてくれてるし……でも」
「でも?」
「結婚が全てじゃないなぁって。結婚したらもうときめきなんて終わってしまう……」
そんな言葉を明里が言うなんて、と湊音は驚いて彼女の方をみると意味深げに微笑んでいた。
「おいそこ、不倫してんじゃねぇぞ」
子供2人抱えたシバが茶化す。
「違うわよー、そんな尻軽じゃないって……子供の前で何言わせてんのよっ。湊音くんもパンフレット渡すから読んで考えて。じゃあ」
明里は子供たちと帰っていった。湊音は一瞬、彼女に対してよからぬことを抱いてしまったと、その感情を押し殺した。
「湊音、帰りはモールで飯食って李仁の本屋寄ってこうや」
「うん。ちょっと調べたいことがあって……」
湊音は気持ちを変えるべく明里からもらったパンフレットに目をやる。シバはそれを覗き込んだ。
「何を」
「……ちょっとね」
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