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2021
そんなこと考えていたの?
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「また寄り道してたでしょ」
台所はいい匂いが漂う。李仁はごめんごめんと言いながらも「また」という言い方に少しヒヤッとしている。
すでにある材料で進めるだけ進めている湊音。こういう時間配分を考えるのが好きなのが彼である。欠点としてはその時間配分が崩れると混乱してしまうがそこからは李仁の出番で応用していき次々と作っていく。
夕方に次々と出来上がる。ピザ、サラダ、唐揚げ、焼きそば、ビーフシチュー、カップケーキ、キッシュ……。子供も食べられるものも多い。シバに関してはジャンキーだからなんでもよし、明里はヘルシー思考ということでサラダも二種類、唐揚げは胸肉。
「シバ、今から向かうわ……あら、子供達寝ちゃったの?」
李仁がシバに電話している。湊音は保冷バックに食べ物を詰め込む。
「子供達寝てるんだって」
「シバが相手していたら子供たちもヘトヘトでしょー」
「どっちが遊ばれてるのやら」
「たしかに。じゃあいくよー」
二人は車に食べ物を積んでシバの元に向かう。
20分ほどかかるのだが、その道中。
「ねぇ、お店の経営って大変だよね?」
湊音がいきなりそう切り出す。
「なに、いきなり。大変よー」
「だよね……」
「なによいいなり。何か店でもやるつもり?」
湊音はうーんと言いながら口籠っている。
「シゲさんだって跡継ぎがいないからあそこのテーラー閉めるって言ってたし、いつもいく喫茶店も四苦八苦、今はなんとかなってるけど……うちの本屋もモールのところもそうだけど今まで何店舗も潰れた。ほんと大変よ」
「だよね」
「で、ミナくんは何のお店やりたかったのかしら」
湊音はモジモジしながら
「料理屋さん」
と答えると、李仁はホォーとうなずく。きっと今日の料理を作って運ぶことで思い付いたんだろう、と気づいた。
「例えばシゲさんのテーラーの場所、駅から少し遠いけどいい場所にある割には家賃も程よい。面積は狭いからこじんまりとした料理屋さんとしていいかもね」
「僕はこじんまりでいい。あと考えてるのは子ども食堂とか……剣道部の子供たちもさ、親さんが働く人たちが増えててさ、昼ごはんを剣道場の隣の児童館で食べてるんだ。そっから児童館とか図書館とか……。シバを雇えば託児もできるし、僕は高校生までなら勉強を教えてあげられる……」
李仁は運転しながらも湊音がそこまで考えていたとは思わなかった。
「てかシバの名前出すなんて、まぁ使えるやつは使ってもいいと思うけど」
「ごめん、彼しか思い浮かばなくて」
「ごめんの意味がわからないけど……一人で回していくの?」
湊音はまたダンマリとする。
「子ども食堂は発想いいと思うけどさ、平日もやるのか、土日祝日も開けるのか……それに剣道の指導も考えると一人じゃ潰れるわよ」
「……李仁、李仁も、一緒に」
口籠ってた最大の理由がこれだった。
「わ、わたしも?!」
「うん、二人なら……できるかなって」
「……なるほどぉ」
李仁もンーと唸りながら考えている。
「たしかにねぇー。書店もいつまで続けられるかしら。20年後……本屋は無くなってるかもね。また料理屋もいいかもね、検討しておくわ」
「……うん」
「でもね、まずは体調を戻してからよ」
「うん、そうだね……」
そして明里の住むアパートに着いた。
台所はいい匂いが漂う。李仁はごめんごめんと言いながらも「また」という言い方に少しヒヤッとしている。
すでにある材料で進めるだけ進めている湊音。こういう時間配分を考えるのが好きなのが彼である。欠点としてはその時間配分が崩れると混乱してしまうがそこからは李仁の出番で応用していき次々と作っていく。
夕方に次々と出来上がる。ピザ、サラダ、唐揚げ、焼きそば、ビーフシチュー、カップケーキ、キッシュ……。子供も食べられるものも多い。シバに関してはジャンキーだからなんでもよし、明里はヘルシー思考ということでサラダも二種類、唐揚げは胸肉。
「シバ、今から向かうわ……あら、子供達寝ちゃったの?」
李仁がシバに電話している。湊音は保冷バックに食べ物を詰め込む。
「子供達寝てるんだって」
「シバが相手していたら子供たちもヘトヘトでしょー」
「どっちが遊ばれてるのやら」
「たしかに。じゃあいくよー」
二人は車に食べ物を積んでシバの元に向かう。
20分ほどかかるのだが、その道中。
「ねぇ、お店の経営って大変だよね?」
湊音がいきなりそう切り出す。
「なに、いきなり。大変よー」
「だよね……」
「なによいいなり。何か店でもやるつもり?」
湊音はうーんと言いながら口籠っている。
「シゲさんだって跡継ぎがいないからあそこのテーラー閉めるって言ってたし、いつもいく喫茶店も四苦八苦、今はなんとかなってるけど……うちの本屋もモールのところもそうだけど今まで何店舗も潰れた。ほんと大変よ」
「だよね」
「で、ミナくんは何のお店やりたかったのかしら」
湊音はモジモジしながら
「料理屋さん」
と答えると、李仁はホォーとうなずく。きっと今日の料理を作って運ぶことで思い付いたんだろう、と気づいた。
「例えばシゲさんのテーラーの場所、駅から少し遠いけどいい場所にある割には家賃も程よい。面積は狭いからこじんまりとした料理屋さんとしていいかもね」
「僕はこじんまりでいい。あと考えてるのは子ども食堂とか……剣道部の子供たちもさ、親さんが働く人たちが増えててさ、昼ごはんを剣道場の隣の児童館で食べてるんだ。そっから児童館とか図書館とか……。シバを雇えば託児もできるし、僕は高校生までなら勉強を教えてあげられる……」
李仁は運転しながらも湊音がそこまで考えていたとは思わなかった。
「てかシバの名前出すなんて、まぁ使えるやつは使ってもいいと思うけど」
「ごめん、彼しか思い浮かばなくて」
「ごめんの意味がわからないけど……一人で回していくの?」
湊音はまたダンマリとする。
「子ども食堂は発想いいと思うけどさ、平日もやるのか、土日祝日も開けるのか……それに剣道の指導も考えると一人じゃ潰れるわよ」
「……李仁、李仁も、一緒に」
口籠ってた最大の理由がこれだった。
「わ、わたしも?!」
「うん、二人なら……できるかなって」
「……なるほどぉ」
李仁もンーと唸りながら考えている。
「たしかにねぇー。書店もいつまで続けられるかしら。20年後……本屋は無くなってるかもね。また料理屋もいいかもね、検討しておくわ」
「……うん」
「でもね、まずは体調を戻してからよ」
「うん、そうだね……」
そして明里の住むアパートに着いた。
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