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小旅行?!
第三十九話 美樹先輩
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早速合宿の地に着いたものの一行は絶句する。関東といっても都会とは程遠く、剣道場が広いがかなり古い。
「うわー、相変わらずボロいなー」
とシバが言う。部員、湊音が彼を見る。その視線に怯まずニコニコしてる。ここはシバが警察にいた頃、剣道の合宿していた場所である。各地から老若男女集まり剣道をする。古いが歴史は長く、ここから世界大会に行った選手もいるとか。
「相手の高校がここに近かったしー。あとここの宿泊施設も使ったことあるから」
「にしても本当にこんなところ……」
「他の稽古場よりも安いんだからあーダコーダ言うなよ」
シバが笑うと稽古場の扉がどん! と開いて全員驚いた。
「わちゃわちゃうるさい、この田舎者!」
そこには剣道着を着たおさげ髪の女性がいた。
「って冬月シバ!」
「おっす、美樹先輩」
「……田舎者! そのじゃがいも小僧らを連れてさっさと入れ!」
かなり荒い口調の女性でじゃがいも小僧と言われた部員たちは呆気に取られる。シバは大笑い。部員たちは慌てて靴を脱いで上がっていく。しかし湊音だけは顔を歪めた。
すると美樹は
「そこのメガネも! さっさとこい!」
と湊音に向かって投げかけた。そう言われメガネをくいっとあげる。
「まさかだけど僕のジャガイモのひとつかな」
「多分。部員と間違えられてるみたいだよ」
「……なんだあの女」
やはり湊音は女性が苦手であるようだ。そして顧問であるのに生徒と間違えられるのはよくあることだが初対面で間違えられて自分の容姿、メガネをかけてるだけで名前も聞かれずに身に付けてるもので呼ばれるものには納得がいなかい。
「美樹先輩ドSだから」
「しらねぇよ性的嗜好だなんて」
「まぁまぁ……仲良くなったらいい人だってわかるから」
シバはポンと湊音の背中を叩いて入っていった。
美樹はシバの警察時代の上司で彼女もまた警察署内で一二を誇る腕前の女性剣士だった。現在はフリーで警察署だけでなくて地元の小学生、今回一緒に合宿をする高校の剣道部の指導もしているようで口の悪さからも見てわかる限り彼女の腕前はすごいが口調が激しくドSの女鬼とこっそり影で女子部員たちが言ってたのをシバは見て相変わらずだなぁと笑っていた。それよりも女子高校生を見て少しドキッとしていたのもある。
だがシバだけではなかった。部員たちも久しぶりに同世代の女子たちと剣道の練習をするということで気合も入っていた。
が休憩の合間に女子部員たちにどう近づこうか、たった二日のこの稽古で都会の女子たちとどこまで距離を縮められるのかを模索していた。
特にしっかり者だった主将の宮野が意外にもソワソワしているのを見てシバが声をかける。
「気に入った女の子がいたのか」
「……い、いないっすよ」
目が泳ぐ宮野。しかし横から藤井が現れる。
「さっきから宮野先輩はあちらの同じく主将の草刈さんを見てましたよ」
「……うっ」
「図星ですね」
シバがハハーンとニヤニヤした。宮野の兄も実のところシバと争うくらいの女好きでもあり、よくあんなことこんなことして女性との関係を持ったもんだと思い出しながらも……流石にそれは弟には言えないであろうが。血は争えない。
「だったらよ、お前の思いを叶えてやろうか」
「……だからその、別に気にして!!」
赤面する宮野。他の部員たちは冷やかした。
「そこっ!!! 」
部員とシバはビクッとした。美樹が鋭い顔を向けていた。女子部員たちはいやらしいものを見るような目を向けていた。
「お前ら、全員外走ってこい!!!!」
バシっ!!!
凄まじい竹刀の音が剣道場に響いた。シバは顔を引き攣らせた。
夕方までこの調子で稽古が続きヘトヘトになったシバたち御一行。しかしみっちりと稽古ができて今の実力もわかったところで課題を練らなくてはと湊音は思った。
一緒に稽古をした近くの高校生たち、部員と研修場の少し歩いたところに宿泊施設のバンガローがある方に向かった。
「……シバ……久しぶりなのに、昔と変わらない……」
「美樹先輩、相変わらず稽古中はドSなのにセックス中はドMチャンだなぁ」
「何よ、もぉ……早くバンガローに行かないと……夜だってできるわよ」
「あほ、あのバンガローだとまる聞こえだって知ってんだろ……」
「他の部屋にも筒抜けでそれを聞いた他のみんなも次次と……ねぇ、ふふふ」
シバと美樹は誰もいない稽古場で一糸纏わぬ格好で絡み合ってた。
「剣道の腕も落ちてないみたいね……なのに刑事もやめちゃって勿体無い。幼馴染とデキ婚したって聞いたから身を引いたけど……まさかもう離婚して今は田舎の高校で剣道部の顧問、あぁ、だったら結婚しなかった……」
「えっ……」
シバは身をひいた。
「結婚?」
美樹は体を起こして頷いた。
「ええ、結婚したの。一昨年ね。子供も1人、人妻よ」
「人妻だとぉおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「うわー、相変わらずボロいなー」
とシバが言う。部員、湊音が彼を見る。その視線に怯まずニコニコしてる。ここはシバが警察にいた頃、剣道の合宿していた場所である。各地から老若男女集まり剣道をする。古いが歴史は長く、ここから世界大会に行った選手もいるとか。
「相手の高校がここに近かったしー。あとここの宿泊施設も使ったことあるから」
「にしても本当にこんなところ……」
「他の稽古場よりも安いんだからあーダコーダ言うなよ」
シバが笑うと稽古場の扉がどん! と開いて全員驚いた。
「わちゃわちゃうるさい、この田舎者!」
そこには剣道着を着たおさげ髪の女性がいた。
「って冬月シバ!」
「おっす、美樹先輩」
「……田舎者! そのじゃがいも小僧らを連れてさっさと入れ!」
かなり荒い口調の女性でじゃがいも小僧と言われた部員たちは呆気に取られる。シバは大笑い。部員たちは慌てて靴を脱いで上がっていく。しかし湊音だけは顔を歪めた。
すると美樹は
「そこのメガネも! さっさとこい!」
と湊音に向かって投げかけた。そう言われメガネをくいっとあげる。
「まさかだけど僕のジャガイモのひとつかな」
「多分。部員と間違えられてるみたいだよ」
「……なんだあの女」
やはり湊音は女性が苦手であるようだ。そして顧問であるのに生徒と間違えられるのはよくあることだが初対面で間違えられて自分の容姿、メガネをかけてるだけで名前も聞かれずに身に付けてるもので呼ばれるものには納得がいなかい。
「美樹先輩ドSだから」
「しらねぇよ性的嗜好だなんて」
「まぁまぁ……仲良くなったらいい人だってわかるから」
シバはポンと湊音の背中を叩いて入っていった。
美樹はシバの警察時代の上司で彼女もまた警察署内で一二を誇る腕前の女性剣士だった。現在はフリーで警察署だけでなくて地元の小学生、今回一緒に合宿をする高校の剣道部の指導もしているようで口の悪さからも見てわかる限り彼女の腕前はすごいが口調が激しくドSの女鬼とこっそり影で女子部員たちが言ってたのをシバは見て相変わらずだなぁと笑っていた。それよりも女子高校生を見て少しドキッとしていたのもある。
だがシバだけではなかった。部員たちも久しぶりに同世代の女子たちと剣道の練習をするということで気合も入っていた。
が休憩の合間に女子部員たちにどう近づこうか、たった二日のこの稽古で都会の女子たちとどこまで距離を縮められるのかを模索していた。
特にしっかり者だった主将の宮野が意外にもソワソワしているのを見てシバが声をかける。
「気に入った女の子がいたのか」
「……い、いないっすよ」
目が泳ぐ宮野。しかし横から藤井が現れる。
「さっきから宮野先輩はあちらの同じく主将の草刈さんを見てましたよ」
「……うっ」
「図星ですね」
シバがハハーンとニヤニヤした。宮野の兄も実のところシバと争うくらいの女好きでもあり、よくあんなことこんなことして女性との関係を持ったもんだと思い出しながらも……流石にそれは弟には言えないであろうが。血は争えない。
「だったらよ、お前の思いを叶えてやろうか」
「……だからその、別に気にして!!」
赤面する宮野。他の部員たちは冷やかした。
「そこっ!!! 」
部員とシバはビクッとした。美樹が鋭い顔を向けていた。女子部員たちはいやらしいものを見るような目を向けていた。
「お前ら、全員外走ってこい!!!!」
バシっ!!!
凄まじい竹刀の音が剣道場に響いた。シバは顔を引き攣らせた。
夕方までこの調子で稽古が続きヘトヘトになったシバたち御一行。しかしみっちりと稽古ができて今の実力もわかったところで課題を練らなくてはと湊音は思った。
一緒に稽古をした近くの高校生たち、部員と研修場の少し歩いたところに宿泊施設のバンガローがある方に向かった。
「……シバ……久しぶりなのに、昔と変わらない……」
「美樹先輩、相変わらず稽古中はドSなのにセックス中はドMチャンだなぁ」
「何よ、もぉ……早くバンガローに行かないと……夜だってできるわよ」
「あほ、あのバンガローだとまる聞こえだって知ってんだろ……」
「他の部屋にも筒抜けでそれを聞いた他のみんなも次次と……ねぇ、ふふふ」
シバと美樹は誰もいない稽古場で一糸纏わぬ格好で絡み合ってた。
「剣道の腕も落ちてないみたいね……なのに刑事もやめちゃって勿体無い。幼馴染とデキ婚したって聞いたから身を引いたけど……まさかもう離婚して今は田舎の高校で剣道部の顧問、あぁ、だったら結婚しなかった……」
「えっ……」
シバは身をひいた。
「結婚?」
美樹は体を起こして頷いた。
「ええ、結婚したの。一昨年ね。子供も1人、人妻よ」
「人妻だとぉおおおおおおおおおおおおおお!!!」
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