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ぎくしゃくからの
第三十二話 ノープラン
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剣道室では稽古が行われている。シバのゲキが飛び、湊音の細やかな指導で賑やかである。
だが湊音がやたらとカリカリしている。まぁ昔から神経質だというのはあるが。
「なんかさ、シバ先生と湊音先生……なんか仲悪いんかな」
「俺もそう思った。こないだよりも変な感じもする」
「尚更ひどくなったような気もする」
星野と高畑が休憩中にそうコソコソ話している。
「なんだそこ、コソコソと」
「す、すいません!!!」
後ろに主将の宮野。二人はびっくりして立ち上がる。一年の二人は主将が来たものだから休憩中でも関わらずつい反応してしまった。
「立たなくてもいい」
「いや、練習しまーす」
「さっきからシバ先生と湊音先生のこと見てたろ」
図星で星野は頷いた。
「なんかあの二人、結構……相性悪そうでそうでないような」
高畑は
「まぁどちらかというとちょっかい出すシバ先生、ちょっかいされてるけど実はいやそうじゃない湊音先生って感じがして」
と言うと宮野は笑った。
「だな、俺もそう思ってた。……って湊音先生、付き合ってる人がいたような?」
「えっ、そうなんですか」
「湊音先生は実にわかりやすい。多分だが離婚したのは知ってたけど少しして恋をして失恋してまた付き合って別れて誰か付き合って……いま冷戦してるところにあらわれたのはあのシバ先生」
「……さすが主将……」
と後輩二人は感心する
「まぁ途中までは大島先生に聞いたら当たってた」
「ひゃーやっぱり主将すごい」
フフンとドヤ顔する宮野。だが高畑は大島の名前が出て少し元気を無くした。
「……本当に今度の大会で優勝できますかね」
宮野は肩を叩く。
「何を言ってんだ。優勝する、そう決まってる」
「主将……前まではそんなこと言ってなかったけどシバ先生来てから少し変わりましたね」
「……」
「湊音先生だけでは本当に不安だし、シバ先生みたいな技術はあるけど指導経験のない人……失礼ですが僕は不安です」
高畑は小学生の頃から剣道をしている。街の道場にて大島に何度か指導を受けていてこの高校にはその大島率いる強豪剣道部があり、大島から誘われたのだが高畑が合格した矢先の大島の事故、そして死去。
大島から長いこと指導を受けていた彼にとっては大島のいない剣道生活に不安を抱いていたのだ。
「不安なのはみんなもだし、湊音先生も……シバ先生に関してはただただ剣道してる、楽しんでる感じだな、なにもかんがえずに」
「はぁ」
確かにシバは筋トレや持久力強化のための走り込みとかをさせるが剣道室に入るとただいつものように剣道楽しんでいるだけ。もちろん大口を叩いた以上剣道部の優勝も大事だが、シバはまずは少しずつ少しずつ積み重ねていこうとしている。
と思われていたのだが……。
部員たちは帰っていき、顧問室でシャワーを浴びて下着姿でうろうろしているシバ。
「はぁ……どうしたらいいんだ……」
どうやらノープランだったらしい。
湊音もシャワーを終えて下着に着替えて髪の毛を乾かす。シバとの距離もかなり開いている。
「宮野、三浦、高畑……あいつらは力はあるし技術力はあるのだが宮野以外が大島を崇拝してるのか俺のことあまりよく思って来れてないんだよねぇ」
「そんなん数日ですぐに仲良くなれると思うなよ……たしかに大島先生はすごい先生でしたけどいい加減そこから抜け出して欲しいのは事実です」
湊音は本音を言うがやはりシバとの距離は置いている。
「だからその距離やめろって。本当に何もしないし」
「……そんな保証はないだろ」
「しかも指導中もあからさまに避けてる態度とってさ。公私混同するな。そんなんだから読みが上手い部員たちに舐められるんだぞ」
シバはため息をつく。ずっと彼は気にしていた。湊音がメンタルと言動が直結してることを見抜いていた。
「それはわかってる」
「だったら少しはなんとかしようと思わないのか?」
「……すいません」
湊音は急に弱気になった。
「い、いや……まぁ人の性格はそう簡単に変えられないしなー。俺も荒い性格治らんし、その場で思いついたら即実行だし」
すると湊音がシバのところまでやってきた。
「ここまで近くにこればいいですか?」
「そうだな。さっきのはあまりにも離れてる」
シバはニカっと笑った。その表情を見た湊音は顔を赤らめ、また目を背けた。
シバの方が距離を縮める。
「そういう顔、好きだな」
「えっ……」
「もっとそういう顔、すればいいのに」
「……」
その時だった。湊音がシバの両肩を掴んで……
「んっ……」
シバは突然の湊音の行為に手出しできなかった。
それは湊音がいきなりキスをしてきたからだ。シバは目を開けたまま湊音のキス顔を眺めてる。頬は赤らんでいる。柑橘系のデオドラントの匂い。
なぜいきなり……つい最近にあんなにシバのことを最低だと罵って、と思いながらも自分をさらけ出した湊音にシバはいきなりすぎではないかと驚くばかりだが自分も目を閉じることにした。
その間もなくキスは終わった。
「なんだよ、いきなり」
「……なんとなく」
と湊音は目を合わせようとしないところは変わらず。
「はい、じゃあ剣道室閉めて帰りましょう。俺もこの後校内の見回りと施錠があるんで」
「えっ」
ポカンとした顔をする湊音。
「どした」
「いや、その……いや、こっからどうなるわけでもなく?」
「は?」
シバはいきなり湊音にそう言われたのだがそういうことなのか? と互いの暗黙の了解でまたキスをした。
そしてベンチの上で湊音を押し倒した。
だが湊音がやたらとカリカリしている。まぁ昔から神経質だというのはあるが。
「なんかさ、シバ先生と湊音先生……なんか仲悪いんかな」
「俺もそう思った。こないだよりも変な感じもする」
「尚更ひどくなったような気もする」
星野と高畑が休憩中にそうコソコソ話している。
「なんだそこ、コソコソと」
「す、すいません!!!」
後ろに主将の宮野。二人はびっくりして立ち上がる。一年の二人は主将が来たものだから休憩中でも関わらずつい反応してしまった。
「立たなくてもいい」
「いや、練習しまーす」
「さっきからシバ先生と湊音先生のこと見てたろ」
図星で星野は頷いた。
「なんかあの二人、結構……相性悪そうでそうでないような」
高畑は
「まぁどちらかというとちょっかい出すシバ先生、ちょっかいされてるけど実はいやそうじゃない湊音先生って感じがして」
と言うと宮野は笑った。
「だな、俺もそう思ってた。……って湊音先生、付き合ってる人がいたような?」
「えっ、そうなんですか」
「湊音先生は実にわかりやすい。多分だが離婚したのは知ってたけど少しして恋をして失恋してまた付き合って別れて誰か付き合って……いま冷戦してるところにあらわれたのはあのシバ先生」
「……さすが主将……」
と後輩二人は感心する
「まぁ途中までは大島先生に聞いたら当たってた」
「ひゃーやっぱり主将すごい」
フフンとドヤ顔する宮野。だが高畑は大島の名前が出て少し元気を無くした。
「……本当に今度の大会で優勝できますかね」
宮野は肩を叩く。
「何を言ってんだ。優勝する、そう決まってる」
「主将……前まではそんなこと言ってなかったけどシバ先生来てから少し変わりましたね」
「……」
「湊音先生だけでは本当に不安だし、シバ先生みたいな技術はあるけど指導経験のない人……失礼ですが僕は不安です」
高畑は小学生の頃から剣道をしている。街の道場にて大島に何度か指導を受けていてこの高校にはその大島率いる強豪剣道部があり、大島から誘われたのだが高畑が合格した矢先の大島の事故、そして死去。
大島から長いこと指導を受けていた彼にとっては大島のいない剣道生活に不安を抱いていたのだ。
「不安なのはみんなもだし、湊音先生も……シバ先生に関してはただただ剣道してる、楽しんでる感じだな、なにもかんがえずに」
「はぁ」
確かにシバは筋トレや持久力強化のための走り込みとかをさせるが剣道室に入るとただいつものように剣道楽しんでいるだけ。もちろん大口を叩いた以上剣道部の優勝も大事だが、シバはまずは少しずつ少しずつ積み重ねていこうとしている。
と思われていたのだが……。
部員たちは帰っていき、顧問室でシャワーを浴びて下着姿でうろうろしているシバ。
「はぁ……どうしたらいいんだ……」
どうやらノープランだったらしい。
湊音もシャワーを終えて下着に着替えて髪の毛を乾かす。シバとの距離もかなり開いている。
「宮野、三浦、高畑……あいつらは力はあるし技術力はあるのだが宮野以外が大島を崇拝してるのか俺のことあまりよく思って来れてないんだよねぇ」
「そんなん数日ですぐに仲良くなれると思うなよ……たしかに大島先生はすごい先生でしたけどいい加減そこから抜け出して欲しいのは事実です」
湊音は本音を言うがやはりシバとの距離は置いている。
「だからその距離やめろって。本当に何もしないし」
「……そんな保証はないだろ」
「しかも指導中もあからさまに避けてる態度とってさ。公私混同するな。そんなんだから読みが上手い部員たちに舐められるんだぞ」
シバはため息をつく。ずっと彼は気にしていた。湊音がメンタルと言動が直結してることを見抜いていた。
「それはわかってる」
「だったら少しはなんとかしようと思わないのか?」
「……すいません」
湊音は急に弱気になった。
「い、いや……まぁ人の性格はそう簡単に変えられないしなー。俺も荒い性格治らんし、その場で思いついたら即実行だし」
すると湊音がシバのところまでやってきた。
「ここまで近くにこればいいですか?」
「そうだな。さっきのはあまりにも離れてる」
シバはニカっと笑った。その表情を見た湊音は顔を赤らめ、また目を背けた。
シバの方が距離を縮める。
「そういう顔、好きだな」
「えっ……」
「もっとそういう顔、すればいいのに」
「……」
その時だった。湊音がシバの両肩を掴んで……
「んっ……」
シバは突然の湊音の行為に手出しできなかった。
それは湊音がいきなりキスをしてきたからだ。シバは目を開けたまま湊音のキス顔を眺めてる。頬は赤らんでいる。柑橘系のデオドラントの匂い。
なぜいきなり……つい最近にあんなにシバのことを最低だと罵って、と思いながらも自分をさらけ出した湊音にシバはいきなりすぎではないかと驚くばかりだが自分も目を閉じることにした。
その間もなくキスは終わった。
「なんだよ、いきなり」
「……なんとなく」
と湊音は目を合わせようとしないところは変わらず。
「はい、じゃあ剣道室閉めて帰りましょう。俺もこの後校内の見回りと施錠があるんで」
「えっ」
ポカンとした顔をする湊音。
「どした」
「いや、その……いや、こっからどうなるわけでもなく?」
「は?」
シバはいきなり湊音にそう言われたのだがそういうことなのか? と互いの暗黙の了解でまたキスをした。
そしてベンチの上で湊音を押し倒した。
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