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四年目
第六十六話 トクさん…元推しと二人きり
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ん? ……あっ!!! 俺は声を出しそうになってただ口を塞いだ。
「……トクさん……だよね?」
「ハナ……」
俺は今のみっともない格好にとても恥じた。なるべく顔を合わせないよう……手にしてたエロ雑誌も慌てて戻した。
彼女もメイクは薄めで、地味な格好であった。少し髪の毛も伸びていた。こんなに小さかったか?
「久しぶりじゃん、どうしたんだよ……てか女一人で夜をぶらついて大丈夫か?」
「あ、その……一人じゃない……あれ?」
ハナは窓越しから駐車場を見て驚いた顔をしている。誰かと来たのか? 男か?
ハナは一旦外を出て戻ってきた。
「……一人じゃなかったけど置いていかれたみたい」
「あらなんじゃそりゃ……」
……ハナ……がすぐそばにいる。あんなに近距離でたくさん握手したのになんか久しぶりすぎて緊張してしまう。
てか一人でこんな暗い中どうやってハナは帰るのか。……カゴの中を見ると明らかに二人分のドリンクやアイス。
男だな。そうだ。でも置いていかれた? なんという男だ! こんな可愛いハナを……。その男をぐるぐる巻きにして放置してやりたい!
と冗談はさておき、次に何を話せばいいのだろうか。
「トクさん、アイス食べますか? あの、お金もらったから……1万円分……パーっと使いませんか?」
「1万円っ!?」
なんだその放置男、1万を渡すってなんで太っ腹なんだ? え? いや、ハナの男のお金でパーっとって。
てかどこでパーっとする? え? あ?
……でも……おい待てよ。これ、夢か? 幻か? 妄想か? 右頬をつねる。……痛い! 違う、現実だ。
おい、こんな夜中にハナと二人きり。こんなチャンス、あるか?ないよな?
……。生唾を飲んだ。
「あ、あの……」
するとハナが
「私のおうち来る?」
えっ? うち?
「トクさんのおうちいきなり行くのも迷惑だし、タクシーも呼んで……いいかな?」
「え、あ、うん……」
ぬあああああああ!!! っ、俺は取り乱さないよう、反対側を見てガッツポーズをした。
そして再びハナの方を向くと彼女は笑っている。
「じゃあ、何買います?」
「……酒」
「よかったら今見ていた雑誌も……」
「ああああ、これはいい。間に合っている」
何が間に合ってるだ……。
とりあえず俺がカゴを持って店内でうろうろしながら買い物をした。
て、おい待て! 俺は泊まる気か?
「トクさん、パンツも買う?」
とハナが男性者の下着を手にしている。俺はすぐ取り上げて
「ばか、女の子がこんなのを持っちゃダメだ……」
と言ってカゴに入れた。あと歯磨きセット……。
お酒4缶、つまみ、アイス二つ、朝食用のパン、歯磨きセット、髭剃り、俺の下着……。
俺がスマホで払った。電子決済で。
「一万あるし……」
「それは持ってなさい。どこの男かわからんやつのお金は使いたくない」
ハナは笑う。なぜ笑う。タクシーもアプリでスマートに予約してすぐ来た。
タクシーに乗り込み、ハナの家に向かった。アプリで行き先を設定してあるからそのまま向かうだけ。ハナはその仕組みにびっくりしている。
実は俺の会社がこのタクシー会社のために独自に開発したアプリでもあり、俺も開発に携わっていたから、って自慢になるから言わんかったがこれはこうなってとか説明し、ハナにもダウンロードさせて使い方を教えているうちに目的地についた。
お金の支払いも電子マネー、だから今はお金を出さなくていいのだ。
「すごいね、こんな便利な時代になったのね」
ハナはSNSに疎いとか言っていた。アプリの話で盛り上がってよかった。じゃなかったらタクシーの後部座席で何を話していいかわからない状態で二人乗り込むのはアレだったし。
てか、女の子の部屋に行くなんて……独身の時に晶子さんの部屋に行った時以来じゃないかっ!!
はう、はう、はう。
「小さいアパートだけどセキュリティはしっかりしてるんだ」
そうだ、こんな可愛い若い女が一人住むなんて危なっかしい。ハナはやはり疎いのか不慣れな操作である。
「今の時代、こういうのうまくできないとねーほんと、無理だわー」
アイドルの時のハナとやはり違う、本当に普通の27歳だ。語尾は伸びてない、普通の女の子だ。
アイドルのときのあのフローラルな香りではないが、清潔感のあるいい匂いだ。柔軟剤の優しい香り。ヤベ、勃ってきた。アホか俺は。エレベーターの中でこんなんだもんな。ああ、早く俺は髭を剃りたい。
部屋に入るとまだ引っ越したばかりなのか荷物が少ない。てか布団とこたつと複数の段ボールだけ。1LDK。もっと箪笥とか鏡台とかあってもいいだろ。
なんて質素なんだ……。
「思い切って色々捨てちゃった。お金にもなったしね。必要最低限のものだけよ。笑っちゃうよね? 元アイドルの部屋だよ」
……なぜこんなに荷物を減らしてしまったのか。んあー! もう兎にも角にも!
「さっさと酒飲もう! 夜も遅い! アイス溶けるから冷凍庫に!!」
「あ、アイスのことすっかり忘れてた! ……あー!!! 溶けてる!!」
「普段でもおっちょこちょいなのか?」
「それは言わないでっ」
むすっとした顔、可愛いんだがぁ!!!
さぁ、俺はハナと二人きり。俺はどうなる?
「……トクさん……だよね?」
「ハナ……」
俺は今のみっともない格好にとても恥じた。なるべく顔を合わせないよう……手にしてたエロ雑誌も慌てて戻した。
彼女もメイクは薄めで、地味な格好であった。少し髪の毛も伸びていた。こんなに小さかったか?
「久しぶりじゃん、どうしたんだよ……てか女一人で夜をぶらついて大丈夫か?」
「あ、その……一人じゃない……あれ?」
ハナは窓越しから駐車場を見て驚いた顔をしている。誰かと来たのか? 男か?
ハナは一旦外を出て戻ってきた。
「……一人じゃなかったけど置いていかれたみたい」
「あらなんじゃそりゃ……」
……ハナ……がすぐそばにいる。あんなに近距離でたくさん握手したのになんか久しぶりすぎて緊張してしまう。
てか一人でこんな暗い中どうやってハナは帰るのか。……カゴの中を見ると明らかに二人分のドリンクやアイス。
男だな。そうだ。でも置いていかれた? なんという男だ! こんな可愛いハナを……。その男をぐるぐる巻きにして放置してやりたい!
と冗談はさておき、次に何を話せばいいのだろうか。
「トクさん、アイス食べますか? あの、お金もらったから……1万円分……パーっと使いませんか?」
「1万円っ!?」
なんだその放置男、1万を渡すってなんで太っ腹なんだ? え? いや、ハナの男のお金でパーっとって。
てかどこでパーっとする? え? あ?
……でも……おい待てよ。これ、夢か? 幻か? 妄想か? 右頬をつねる。……痛い! 違う、現実だ。
おい、こんな夜中にハナと二人きり。こんなチャンス、あるか?ないよな?
……。生唾を飲んだ。
「あ、あの……」
するとハナが
「私のおうち来る?」
えっ? うち?
「トクさんのおうちいきなり行くのも迷惑だし、タクシーも呼んで……いいかな?」
「え、あ、うん……」
ぬあああああああ!!! っ、俺は取り乱さないよう、反対側を見てガッツポーズをした。
そして再びハナの方を向くと彼女は笑っている。
「じゃあ、何買います?」
「……酒」
「よかったら今見ていた雑誌も……」
「ああああ、これはいい。間に合っている」
何が間に合ってるだ……。
とりあえず俺がカゴを持って店内でうろうろしながら買い物をした。
て、おい待て! 俺は泊まる気か?
「トクさん、パンツも買う?」
とハナが男性者の下着を手にしている。俺はすぐ取り上げて
「ばか、女の子がこんなのを持っちゃダメだ……」
と言ってカゴに入れた。あと歯磨きセット……。
お酒4缶、つまみ、アイス二つ、朝食用のパン、歯磨きセット、髭剃り、俺の下着……。
俺がスマホで払った。電子決済で。
「一万あるし……」
「それは持ってなさい。どこの男かわからんやつのお金は使いたくない」
ハナは笑う。なぜ笑う。タクシーもアプリでスマートに予約してすぐ来た。
タクシーに乗り込み、ハナの家に向かった。アプリで行き先を設定してあるからそのまま向かうだけ。ハナはその仕組みにびっくりしている。
実は俺の会社がこのタクシー会社のために独自に開発したアプリでもあり、俺も開発に携わっていたから、って自慢になるから言わんかったがこれはこうなってとか説明し、ハナにもダウンロードさせて使い方を教えているうちに目的地についた。
お金の支払いも電子マネー、だから今はお金を出さなくていいのだ。
「すごいね、こんな便利な時代になったのね」
ハナはSNSに疎いとか言っていた。アプリの話で盛り上がってよかった。じゃなかったらタクシーの後部座席で何を話していいかわからない状態で二人乗り込むのはアレだったし。
てか、女の子の部屋に行くなんて……独身の時に晶子さんの部屋に行った時以来じゃないかっ!!
はう、はう、はう。
「小さいアパートだけどセキュリティはしっかりしてるんだ」
そうだ、こんな可愛い若い女が一人住むなんて危なっかしい。ハナはやはり疎いのか不慣れな操作である。
「今の時代、こういうのうまくできないとねーほんと、無理だわー」
アイドルの時のハナとやはり違う、本当に普通の27歳だ。語尾は伸びてない、普通の女の子だ。
アイドルのときのあのフローラルな香りではないが、清潔感のあるいい匂いだ。柔軟剤の優しい香り。ヤベ、勃ってきた。アホか俺は。エレベーターの中でこんなんだもんな。ああ、早く俺は髭を剃りたい。
部屋に入るとまだ引っ越したばかりなのか荷物が少ない。てか布団とこたつと複数の段ボールだけ。1LDK。もっと箪笥とか鏡台とかあってもいいだろ。
なんて質素なんだ……。
「思い切って色々捨てちゃった。お金にもなったしね。必要最低限のものだけよ。笑っちゃうよね? 元アイドルの部屋だよ」
……なぜこんなに荷物を減らしてしまったのか。んあー! もう兎にも角にも!
「さっさと酒飲もう! 夜も遅い! アイス溶けるから冷凍庫に!!」
「あ、アイスのことすっかり忘れてた! ……あー!!! 溶けてる!!」
「普段でもおっちょこちょいなのか?」
「それは言わないでっ」
むすっとした顔、可愛いんだがぁ!!!
さぁ、俺はハナと二人きり。俺はどうなる?
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