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第四章 心の傷
第十五話
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やはり相当きつかった。いつもよりもこの一ヶ月間の中で一番しんどい日である。藍里は教室に入ってようやく着いた、とほっとするや否や昨日帰りに茶化してきたクラスメイトたちがやってきた。
「おはよ、やっぱり宮部くんと仲良いのね」
「おはよう、たまたま通学路が同じで……」
「って宮部くんの下宿先はすぐそこの弁当屋さんだから藍里ちゃんを待ってたんじゃないの」
いつの間にか下の名前にちゃんづけで呼ばれてる藍里。それはさておき、実際は迎えにきてもらってる、が正しいのだがどうやらこの3人はその現場を見ていないわけでホッとしてるようだ。
清太郎はというと隣のクラスの友人に呼び止められて話し込んでいる。
「宮部くんってどうなの? なんか紳士的だけどもなんかそこまで深く関わろうとしないし」
「藍里ちゃんは幼馴染でしょ? 何か知ってる? どこまで知ってるの?」
「どこまでって言われても、小学6年くらいまで近くに住んでいて……あ、お姉さんがいるわ。四つ上の」
と話し出すと他の女子生徒も興味津々で藍里をいつのまにか囲むような状態に。
「えっ、お姉さんがいたことなんて知らなかったわ」
「私は聞いていたけど、4歳上は知らなかったー」
「お姉さんがいるからなにかと叩き込まれてたんじゃないかしら」
となにやら清太郎の性格の裏側を検証するようなことを始め出している女子生徒たち。
「あの、なんでみんなは宮部くんのこと気になるの?」
騒いでた女子生徒たちは藍里のその疑問でピタリと止まった。
「い、いやーさ、ねぇ」
「ねぇー」
自分の幼馴染が女子たちの好意の的に当たってるのはもどかしい。子供の頃はそんなに清太郎はモテる方ではなかったが、今の背の高さや容姿の変化させたら少しは納得いくのか、でもそうでもないかなと。
「だから藍里は幼馴染として堂々思うの」
「どう思うって……子供のころはほんとヤンチャで、あと正直に言っちゃうし、猪突猛進だし、みんながこうキャーキャーいうのっておかしいって思うくらい!」
藍里はそう言い切る。
「だーれがおかしいって?」
「あっ……」
クラスメイトはクスクス笑ってる。いつのまにか清太郎が教室に入ってた。
「その、ね……あのーみんながさっ!」
クラスメイトたちは違う話題をし始めている。
「橘綾人の新CM見た? あのコーヒーのブランドってうちの自動販売機にあるからポスター貼られるかもね」
「東海地区限定のメッセージ嬉しかったよね。他の地区のファンが動画落ちてないかネットで大騒ぎ」
藍里のことは無視していて、その内容も綾人の今朝のCMの話であった。
「……猪突猛進ですけども?」
「ごめん」
「事実だからいいけど。あ、先生来た。起立!」
クラスの中に清太郎の声が響く。担任がやってきた。
「おはようございます!」
「おはようございます!」
朝の会。みんなあんなに騒いでいたのになんであんなにもすぐ静かになるのだろう、藍里は不思議でしかなかった。
前の行っていた神奈川の中学と高校はそんなにすぐ静かになるものではなかった。
「あ、百田さん……後で先生の所来て。宮部、号令。朝の会終わり」
「起立! 例! 本日もよろしくお願いいたします!」
「よろしくお願いいたします!」
清太郎の声が本当によく通る、横から見る喉仏に惚れ惚れしている藍里。時雨はもう30過ぎた大人だから完全に大人の体だが、清太郎の少年から大人になる途中の体に藍里はドキドキしてしまうのだ、尚更。
「藍里」
「はっ、はい……」
突っ立って清太郎を見ていた藍里。周りはクスクスと笑う。
「先生に呼ばれてんだろ」
「そうだった……」
と、思った瞬間。何かどろっとしたものが下腹部から伝わる感覚。
「そうだった……」
先生のところに行ったらトイレに行こう、そう思った藍里だった。
「おはよ、やっぱり宮部くんと仲良いのね」
「おはよう、たまたま通学路が同じで……」
「って宮部くんの下宿先はすぐそこの弁当屋さんだから藍里ちゃんを待ってたんじゃないの」
いつの間にか下の名前にちゃんづけで呼ばれてる藍里。それはさておき、実際は迎えにきてもらってる、が正しいのだがどうやらこの3人はその現場を見ていないわけでホッとしてるようだ。
清太郎はというと隣のクラスの友人に呼び止められて話し込んでいる。
「宮部くんってどうなの? なんか紳士的だけどもなんかそこまで深く関わろうとしないし」
「藍里ちゃんは幼馴染でしょ? 何か知ってる? どこまで知ってるの?」
「どこまでって言われても、小学6年くらいまで近くに住んでいて……あ、お姉さんがいるわ。四つ上の」
と話し出すと他の女子生徒も興味津々で藍里をいつのまにか囲むような状態に。
「えっ、お姉さんがいたことなんて知らなかったわ」
「私は聞いていたけど、4歳上は知らなかったー」
「お姉さんがいるからなにかと叩き込まれてたんじゃないかしら」
となにやら清太郎の性格の裏側を検証するようなことを始め出している女子生徒たち。
「あの、なんでみんなは宮部くんのこと気になるの?」
騒いでた女子生徒たちは藍里のその疑問でピタリと止まった。
「い、いやーさ、ねぇ」
「ねぇー」
自分の幼馴染が女子たちの好意の的に当たってるのはもどかしい。子供の頃はそんなに清太郎はモテる方ではなかったが、今の背の高さや容姿の変化させたら少しは納得いくのか、でもそうでもないかなと。
「だから藍里は幼馴染として堂々思うの」
「どう思うって……子供のころはほんとヤンチャで、あと正直に言っちゃうし、猪突猛進だし、みんながこうキャーキャーいうのっておかしいって思うくらい!」
藍里はそう言い切る。
「だーれがおかしいって?」
「あっ……」
クラスメイトはクスクス笑ってる。いつのまにか清太郎が教室に入ってた。
「その、ね……あのーみんながさっ!」
クラスメイトたちは違う話題をし始めている。
「橘綾人の新CM見た? あのコーヒーのブランドってうちの自動販売機にあるからポスター貼られるかもね」
「東海地区限定のメッセージ嬉しかったよね。他の地区のファンが動画落ちてないかネットで大騒ぎ」
藍里のことは無視していて、その内容も綾人の今朝のCMの話であった。
「……猪突猛進ですけども?」
「ごめん」
「事実だからいいけど。あ、先生来た。起立!」
クラスの中に清太郎の声が響く。担任がやってきた。
「おはようございます!」
「おはようございます!」
朝の会。みんなあんなに騒いでいたのになんであんなにもすぐ静かになるのだろう、藍里は不思議でしかなかった。
前の行っていた神奈川の中学と高校はそんなにすぐ静かになるものではなかった。
「あ、百田さん……後で先生の所来て。宮部、号令。朝の会終わり」
「起立! 例! 本日もよろしくお願いいたします!」
「よろしくお願いいたします!」
清太郎の声が本当によく通る、横から見る喉仏に惚れ惚れしている藍里。時雨はもう30過ぎた大人だから完全に大人の体だが、清太郎の少年から大人になる途中の体に藍里はドキドキしてしまうのだ、尚更。
「藍里」
「はっ、はい……」
突っ立って清太郎を見ていた藍里。周りはクスクスと笑う。
「先生に呼ばれてんだろ」
「そうだった……」
と、思った瞬間。何かどろっとしたものが下腹部から伝わる感覚。
「そうだった……」
先生のところに行ったらトイレに行こう、そう思った藍里だった。
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