78 / 79
シノノメナギのご挨拶
第20話
しおりを挟む
それからわたしたちはまた離れ離れだけど家にいる時間は気が向いたらビデオチャットを繋げて共に生活をしている。
ご飯食べる時はできるだけ同じ時間に食べるようにして。常田くんは常にラジオか落語のCDを聴きながら、私はテレビをつけながら。筋トレも毎晩する。疲れててもする。
話もたくさんする。仕事のこととか夏姐さんの出産の話とか次郎さんの父親としての奮闘ぷりとか、あれ、気づいたら私ばかり話してない?
『べつにええで、梛の話聞くの好きや。おもろい』
「そんな面白い話してないのにー」
『おもろいでー。オチがないところが』
「うそぉーっ。それはつまらないんじゃないの?」
常田くんはニコニコしている。
『梛は昔に比べたらよう喋るようになったわ。いっつも何かを話そうとして飲み込んで胸の内に閉じ込めてしまう。だからさ、そう思うと今はかなり話せてる』
……今でも口数は少ないほうだとは思うけどなぁ。妄想の方にセリフとられている気もする。
『こうやって話しているとな、寂しくないな』
「そうね……」
『ああ、去年の今頃はクリスマスを梛と過ごせるわーって楽しんでいたのにな』
「そうね、わたしも浮かれていた」
『はははっ、そうやなー。クリスマスだからってなぁ。ツリーは流石に飾られへんし。またクリスマスになったらオンラインクリスマス会しような』
「じゃああの去年の下着着た方がいい?」
ブッ!
常田くんは飲んでいたお茶を吐いた。関西人らしいナイスリアクション。
『そ、それは梛に任せるけど興奮してその、あれは何をどーしろっていうんや』
「冗談よ、一人ですれば?」
『ええかげんにせえよ、絨毯汚れてしもうたわ』
「面白い」
『面白うないわっ!』
常田くんもだんだんわたしにきつい関西弁で話してくるようになってきた。なんとなく、それは本来の彼になってきたわけで。それはそれでいい。
そうか、もうあれから一年。付き合ってから一年もお祝いして、今度はクリスマス。常田くんの誕生日も初めて今年しっかりお祝いできたし、プロポーズ記念日、年越し、お正月……結婚式、来年こそ二人でそばで一緒に過ごしたいね。
『梛、愛してるで』
「わたしもよ、常田くん」
って改めていうと恥ずかしくて同時に笑ってしまった。
ご飯食べる時はできるだけ同じ時間に食べるようにして。常田くんは常にラジオか落語のCDを聴きながら、私はテレビをつけながら。筋トレも毎晩する。疲れててもする。
話もたくさんする。仕事のこととか夏姐さんの出産の話とか次郎さんの父親としての奮闘ぷりとか、あれ、気づいたら私ばかり話してない?
『べつにええで、梛の話聞くの好きや。おもろい』
「そんな面白い話してないのにー」
『おもろいでー。オチがないところが』
「うそぉーっ。それはつまらないんじゃないの?」
常田くんはニコニコしている。
『梛は昔に比べたらよう喋るようになったわ。いっつも何かを話そうとして飲み込んで胸の内に閉じ込めてしまう。だからさ、そう思うと今はかなり話せてる』
……今でも口数は少ないほうだとは思うけどなぁ。妄想の方にセリフとられている気もする。
『こうやって話しているとな、寂しくないな』
「そうね……」
『ああ、去年の今頃はクリスマスを梛と過ごせるわーって楽しんでいたのにな』
「そうね、わたしも浮かれていた」
『はははっ、そうやなー。クリスマスだからってなぁ。ツリーは流石に飾られへんし。またクリスマスになったらオンラインクリスマス会しような』
「じゃああの去年の下着着た方がいい?」
ブッ!
常田くんは飲んでいたお茶を吐いた。関西人らしいナイスリアクション。
『そ、それは梛に任せるけど興奮してその、あれは何をどーしろっていうんや』
「冗談よ、一人ですれば?」
『ええかげんにせえよ、絨毯汚れてしもうたわ』
「面白い」
『面白うないわっ!』
常田くんもだんだんわたしにきつい関西弁で話してくるようになってきた。なんとなく、それは本来の彼になってきたわけで。それはそれでいい。
そうか、もうあれから一年。付き合ってから一年もお祝いして、今度はクリスマス。常田くんの誕生日も初めて今年しっかりお祝いできたし、プロポーズ記念日、年越し、お正月……結婚式、来年こそ二人でそばで一緒に過ごしたいね。
『梛、愛してるで』
「わたしもよ、常田くん」
って改めていうと恥ずかしくて同時に笑ってしまった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説


会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる