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シノノメナギのご挨拶
第14話 色々あったのよ
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で、また戻って2020年の夏。それまでの間にいろいろあった。
まずは二月。
わたしが有給休暇を取ることになり、さてどう過ごすか……と思っていた時。
夏姐さんが妊娠したのだ。
もちろん次郎さんとの子供である。驚きはなく、やっぱりなと。トントンと進んでいった、二人の恋は。次郎さんは夏姐さんと付き合っても女装してわたしと一緒に買い物してたっけ。度々惚気話を聞かされていた。互いからそれぞれ。
二人曰くクリスマスベビーだとか。ああ、あの時の。夏姐さんが は40歳で10何年ぶりの妊娠、四回目だが高齢出産ともあり、今までにない症状、つわりで勤務中に倒れたのだ。あの強靭な彼女がだ。
やはり年齢には勝てなかったと。お酒好きの姐さんは禁酒を余儀なくされ(あまりえだ)うまく特別休暇を利用してるところがちゃっかりしている。
んで、その穴埋めがわたしにきたわけで。こんな時にわたしに助けて欲しいとか……都合が良すぎよ、館長。でも館長のおかげで女として働けていたし、夏姐さんには借りがいっぱいある。出ないわけにはいかない。
それに常田くんと連絡取れるのも夜だけだから……まぁいいか。
わたしが入っても人がいなくて忙しいのは変わらない。毎晩常田くんに電話して愚痴を言う。彼は退院をして実家でお父様と慶一郎さんと男3人で暮らしているそうだ。未だにお母様は帰ってこない。なんとかやっていってるそうだが……。
そしてなかなか進まない大阪生活の準備。
『梛、さっき見ていた物件のところやけども……もう入居者見つかってしもたって。新婚さんらしいで』
「やっぱり未入籍で実質男二人の生活よりも新婚カップルの方がいいってことかー、がっかり」
『たく、口ではいいこと言うてたのに。あの業者にはもう頼らんとこな』
「ほんと、そうよそう!」
と、ビールを開けてしまう。最近お酒ばかり飲んでいる気がする。
『梛、最近丸くなった?』
「そんなことないよ」
……少し太ったというか身体のラインが緩くなった気もする。顔も丸くなったのかな。彼がそういうならそうなんだろう。
そう、常田くんとは電話だけでなくてパソコンでビデオチャットをするようになった。
彼の左目はこれ以上良くならないとのことだったがなんとか生活はできている。
仕事も来月から図書館の事務作業で働き始めるそうでなんだか生き生きしていた。
『とかいう僕もあまり運動していないからなぁー人のこと言われへんわ』
わたしの大好きな常田くんの笑顔が画面いっぱいに広がる。
離れて暮らしていること以外はもうほとんど前の時と同じ……キスやハグや……イチャイチャはできないけどね。
「じゃあ筋トレする?一緒に」
『あー、ええな。腕立て伏せするか?』
「それ、わたし負けないから」
『梛はすごいからなぁ……さすが空手部!』
「それは言わないでっ」
って雑談している場合じゃない。今住んでいるこの部屋も三月末に引き払わなくてはいけないのだ。
一人で住むのに本当に広すぎる。はやく常田くんと暮らしたい。今と同じくらいの広さ。ってなかなか大阪では同じ条件見つからないのよねー。
『まー、とりあえず見つからんくってもうちがあるしなー。気楽に気楽にー』
「悠長すぎるのよ、さぁ腕立て伏せするよ!」
『はーい』
ってわたしたちは余裕こいていたら……。
三月。
わたしが転職予定だった図書館の採用もなんだかんだで見送りになってしまった。
なんで見送りにするのよっ。家探しは諦めてて常田家に居候しようとした時になんとか色々あって例の子供図書館で働かないかということで金銭面はセーフ。とのことで大阪には行きは無くなってしまった。
これまた運が良いことに次郎さんが夏姐さんと結婚するからと一人で暮らしていた1DKを引き渡してくれたのだ。一人暮らしにはちょうどいい。収納スペースが狭いのがアレなんだけど。
夏姐さんとは同じ市内にいてもビデオチャット。横には次郎さんがいて、夏姐さんのお腹を撫でる。ニコニコ嬉しそうである。流石に今は女装ではない。
『梛は運が良いわねぇ。日頃の行いそんなに良かったっけ』
「良いに決まってます!」
『何を偉そうに! あなたが図書館で働けているのもわたしのおかげでもあるんだからっ、てお腹の子供が動いた!』
彼女は臨月間近で産休にそろそろ入る。
『ほんと大変なことになったわよねー。少し前まではここまで感染症がひどくなるとは思わなかったけどさ』
「ですよね……日に日に感染者も増えて」
『出産の時に次郎が付き添えないからねぇ』
「寂しくないですか?」
『んなもん、寂しくないわよー。次郎が立ち会ったらオロオロしそうでさー』
と次郎さんは夏姐さんに叩かれてタジタジ。ほんと尻に敷かれてて笑える。でも聞いたところによると次郎さんは夏姐さんの息子さんたちとも仲が良く、自粛期間中も喧嘩をしつつも夏姐さんと過ごして更に絆を深めたそうだ。微笑ましい。
8ヶ月であっという間にいろんなことが変わってしまったなぁ。
『それよりも梛! あなたは準備できたの?』
「あ、うん……なんとか」
『もう明後日じゃない。早く寝ないと肌に悪いわよ!36からはお肌にそのまま体調出るからね!』
わたしは七月に誕生日を迎えて36歳になった。そして……。
明後日。
常田くんと久しぶりに会う。8ヶ月ぶり。
まずは二月。
わたしが有給休暇を取ることになり、さてどう過ごすか……と思っていた時。
夏姐さんが妊娠したのだ。
もちろん次郎さんとの子供である。驚きはなく、やっぱりなと。トントンと進んでいった、二人の恋は。次郎さんは夏姐さんと付き合っても女装してわたしと一緒に買い物してたっけ。度々惚気話を聞かされていた。互いからそれぞれ。
二人曰くクリスマスベビーだとか。ああ、あの時の。夏姐さんが は40歳で10何年ぶりの妊娠、四回目だが高齢出産ともあり、今までにない症状、つわりで勤務中に倒れたのだ。あの強靭な彼女がだ。
やはり年齢には勝てなかったと。お酒好きの姐さんは禁酒を余儀なくされ(あまりえだ)うまく特別休暇を利用してるところがちゃっかりしている。
んで、その穴埋めがわたしにきたわけで。こんな時にわたしに助けて欲しいとか……都合が良すぎよ、館長。でも館長のおかげで女として働けていたし、夏姐さんには借りがいっぱいある。出ないわけにはいかない。
それに常田くんと連絡取れるのも夜だけだから……まぁいいか。
わたしが入っても人がいなくて忙しいのは変わらない。毎晩常田くんに電話して愚痴を言う。彼は退院をして実家でお父様と慶一郎さんと男3人で暮らしているそうだ。未だにお母様は帰ってこない。なんとかやっていってるそうだが……。
そしてなかなか進まない大阪生活の準備。
『梛、さっき見ていた物件のところやけども……もう入居者見つかってしもたって。新婚さんらしいで』
「やっぱり未入籍で実質男二人の生活よりも新婚カップルの方がいいってことかー、がっかり」
『たく、口ではいいこと言うてたのに。あの業者にはもう頼らんとこな』
「ほんと、そうよそう!」
と、ビールを開けてしまう。最近お酒ばかり飲んでいる気がする。
『梛、最近丸くなった?』
「そんなことないよ」
……少し太ったというか身体のラインが緩くなった気もする。顔も丸くなったのかな。彼がそういうならそうなんだろう。
そう、常田くんとは電話だけでなくてパソコンでビデオチャットをするようになった。
彼の左目はこれ以上良くならないとのことだったがなんとか生活はできている。
仕事も来月から図書館の事務作業で働き始めるそうでなんだか生き生きしていた。
『とかいう僕もあまり運動していないからなぁー人のこと言われへんわ』
わたしの大好きな常田くんの笑顔が画面いっぱいに広がる。
離れて暮らしていること以外はもうほとんど前の時と同じ……キスやハグや……イチャイチャはできないけどね。
「じゃあ筋トレする?一緒に」
『あー、ええな。腕立て伏せするか?』
「それ、わたし負けないから」
『梛はすごいからなぁ……さすが空手部!』
「それは言わないでっ」
って雑談している場合じゃない。今住んでいるこの部屋も三月末に引き払わなくてはいけないのだ。
一人で住むのに本当に広すぎる。はやく常田くんと暮らしたい。今と同じくらいの広さ。ってなかなか大阪では同じ条件見つからないのよねー。
『まー、とりあえず見つからんくってもうちがあるしなー。気楽に気楽にー』
「悠長すぎるのよ、さぁ腕立て伏せするよ!」
『はーい』
ってわたしたちは余裕こいていたら……。
三月。
わたしが転職予定だった図書館の採用もなんだかんだで見送りになってしまった。
なんで見送りにするのよっ。家探しは諦めてて常田家に居候しようとした時になんとか色々あって例の子供図書館で働かないかということで金銭面はセーフ。とのことで大阪には行きは無くなってしまった。
これまた運が良いことに次郎さんが夏姐さんと結婚するからと一人で暮らしていた1DKを引き渡してくれたのだ。一人暮らしにはちょうどいい。収納スペースが狭いのがアレなんだけど。
夏姐さんとは同じ市内にいてもビデオチャット。横には次郎さんがいて、夏姐さんのお腹を撫でる。ニコニコ嬉しそうである。流石に今は女装ではない。
『梛は運が良いわねぇ。日頃の行いそんなに良かったっけ』
「良いに決まってます!」
『何を偉そうに! あなたが図書館で働けているのもわたしのおかげでもあるんだからっ、てお腹の子供が動いた!』
彼女は臨月間近で産休にそろそろ入る。
『ほんと大変なことになったわよねー。少し前まではここまで感染症がひどくなるとは思わなかったけどさ』
「ですよね……日に日に感染者も増えて」
『出産の時に次郎が付き添えないからねぇ』
「寂しくないですか?」
『んなもん、寂しくないわよー。次郎が立ち会ったらオロオロしそうでさー』
と次郎さんは夏姐さんに叩かれてタジタジ。ほんと尻に敷かれてて笑える。でも聞いたところによると次郎さんは夏姐さんの息子さんたちとも仲が良く、自粛期間中も喧嘩をしつつも夏姐さんと過ごして更に絆を深めたそうだ。微笑ましい。
8ヶ月であっという間にいろんなことが変わってしまったなぁ。
『それよりも梛! あなたは準備できたの?』
「あ、うん……なんとか」
『もう明後日じゃない。早く寝ないと肌に悪いわよ!36からはお肌にそのまま体調出るからね!』
わたしは七月に誕生日を迎えて36歳になった。そして……。
明後日。
常田くんと久しぶりに会う。8ヶ月ぶり。
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