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シノノメナギの師走
第19話 とんとん拍子
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こたつでラブラブした後二人で寄り添っておでんを食べて、お風呂も一緒に入って、常田くんの布団の中でイチャイチャラブラブ。
そして彼の腕枕に頭を乗せてピロートーク。
「一応僕の方がプロポーズ先やで、大阪来る? というのは……ある意味プロポーズ」
「あんなのプロポーズに入らない。てかわたしからプロポーズって形になっちゃったわね」
「逆プロポーズ、かー。悪くはない」
ってこないだ夜にやってたM-1で出ていたお笑いコンビの真似をする常田くん。少し似てる。
「……でも逆だなんて。女の立場からプロポーズしたらなんで逆になるのかなー。やっぱりそこが成ってないのよ、日本はっ」
「まあまあ、でもそんなに怒ってる君も可愛い」
「だからいつまでモノマネしてるのっ」
常田くんが笑うとわたしも笑う。久しぶりに大きな声で笑う彼を見た。
「今日の梛はセクシーやったわ。なんで明かり消さずに?」
「……そんなことないよ。恥ずかしい」
今日は明かりをつけたままで。わたしはすごく勇気のある行動だったけど常田くんの瞳に、心にわたしを焼き付けたかった。
一生一緒にいると決めたからにはわたしの身体も全ても受け入れてもらえるか……幻滅しないかと思った。
明かりをつけたからもちろん常田くんの表情も身体も見たけど色白くて、優しい表情をしていた。
わたしをその顔で愛してくれていたんだ……なんて。しかもわたしをしっかり見てくれた。何度か目を逸らしてしまったけど、次第に目を合わしながら愛し合うことができた。
あーっ、今思い出すだけでもドキドキしちゃう。
「梛、またなんか変なこと考えてなかった?」
「そんなことないよっ……」
「絶対そうじゃん」
「やだーっ、もぉっ」
と、ここまではわたしたちの世界に浸っていたわけだが。
次の日の昼、わたしたち二人で夏姐さんに相談という名目で話をした。
わたしが子供図書館の異動を断り、退職して常田くんについていく事を。
「……そうか、そうきたか、梛」
夏姐さんは大好きなエビフライをボリボリ食べる。
「仕事はどうすんのよ。大阪で見つけるの?」
「はい……あるかどうかわからないけど」
「……今後のことを考えたら梛、あなたが大黒柱になるかもしれないのよ。かなりギャンブルね」
……それはわかってるけど……。わたしも常田くんも喉が通らない。今日は特別ランチを頼んだのに。
すると夏姐さんが鞄の中からガサゴソとクリアファイルを取り出してわたしに渡してくれた。それを見ると大阪にある幾つの図書館のデータだった。
「もしかしたら梛が常田くんについていくと思ってさ。全国の研修で会った大阪の司書さんに片っ端から連絡とって何ヶ所か募集してるみたい。まぁどこも春採用だけど。梛は有休かなり残ってるしそれ使って常田くんのそばにいてあげて」
わたしと常田くんでデータを見てところどころ条件に赤の線が引いてある。
「ここは僕の実家から近いよ。あとここも車があれば一時間内で行ける」
「夏姐さん……」
こんなことしててくれたなんて。
「……あーっ! 大変になるわー。てかまだわたしは許可したけど館長にしっかり意見を言いなさいよ」
「は、はい……夏姐さん、ありがとうございます……」
「よかった、調べておいて……んで、ついていくってことはープロポーズしたわけ?」
!!!
わたしと常田くんは互いに食べようとしたものをフォークから落とした。それを見た夏姐さんは笑った。
「きょーみあるなぁー、そのへんの話。まだまだお昼時間あるから聞かせて頂戴ー」
この後ギリギリまでこっぱずかしいことを根掘り葉掘り聞かされるわたしたち。
数日後、わたしは館長と話し合いの末、年明け二週間働き、有休消化をして三月末で今の図書館を退職することになった。
こっからがバタバタで。あっという間にクリスマス当日になったのであった。
何も用意してない、せっかくの彼氏がいるクリスマス……。もっとはやくからやっておけばよかった。
そして彼の腕枕に頭を乗せてピロートーク。
「一応僕の方がプロポーズ先やで、大阪来る? というのは……ある意味プロポーズ」
「あんなのプロポーズに入らない。てかわたしからプロポーズって形になっちゃったわね」
「逆プロポーズ、かー。悪くはない」
ってこないだ夜にやってたM-1で出ていたお笑いコンビの真似をする常田くん。少し似てる。
「……でも逆だなんて。女の立場からプロポーズしたらなんで逆になるのかなー。やっぱりそこが成ってないのよ、日本はっ」
「まあまあ、でもそんなに怒ってる君も可愛い」
「だからいつまでモノマネしてるのっ」
常田くんが笑うとわたしも笑う。久しぶりに大きな声で笑う彼を見た。
「今日の梛はセクシーやったわ。なんで明かり消さずに?」
「……そんなことないよ。恥ずかしい」
今日は明かりをつけたままで。わたしはすごく勇気のある行動だったけど常田くんの瞳に、心にわたしを焼き付けたかった。
一生一緒にいると決めたからにはわたしの身体も全ても受け入れてもらえるか……幻滅しないかと思った。
明かりをつけたからもちろん常田くんの表情も身体も見たけど色白くて、優しい表情をしていた。
わたしをその顔で愛してくれていたんだ……なんて。しかもわたしをしっかり見てくれた。何度か目を逸らしてしまったけど、次第に目を合わしながら愛し合うことができた。
あーっ、今思い出すだけでもドキドキしちゃう。
「梛、またなんか変なこと考えてなかった?」
「そんなことないよっ……」
「絶対そうじゃん」
「やだーっ、もぉっ」
と、ここまではわたしたちの世界に浸っていたわけだが。
次の日の昼、わたしたち二人で夏姐さんに相談という名目で話をした。
わたしが子供図書館の異動を断り、退職して常田くんについていく事を。
「……そうか、そうきたか、梛」
夏姐さんは大好きなエビフライをボリボリ食べる。
「仕事はどうすんのよ。大阪で見つけるの?」
「はい……あるかどうかわからないけど」
「……今後のことを考えたら梛、あなたが大黒柱になるかもしれないのよ。かなりギャンブルね」
……それはわかってるけど……。わたしも常田くんも喉が通らない。今日は特別ランチを頼んだのに。
すると夏姐さんが鞄の中からガサゴソとクリアファイルを取り出してわたしに渡してくれた。それを見ると大阪にある幾つの図書館のデータだった。
「もしかしたら梛が常田くんについていくと思ってさ。全国の研修で会った大阪の司書さんに片っ端から連絡とって何ヶ所か募集してるみたい。まぁどこも春採用だけど。梛は有休かなり残ってるしそれ使って常田くんのそばにいてあげて」
わたしと常田くんでデータを見てところどころ条件に赤の線が引いてある。
「ここは僕の実家から近いよ。あとここも車があれば一時間内で行ける」
「夏姐さん……」
こんなことしててくれたなんて。
「……あーっ! 大変になるわー。てかまだわたしは許可したけど館長にしっかり意見を言いなさいよ」
「は、はい……夏姐さん、ありがとうございます……」
「よかった、調べておいて……んで、ついていくってことはープロポーズしたわけ?」
!!!
わたしと常田くんは互いに食べようとしたものをフォークから落とした。それを見た夏姐さんは笑った。
「きょーみあるなぁー、そのへんの話。まだまだお昼時間あるから聞かせて頂戴ー」
この後ギリギリまでこっぱずかしいことを根掘り葉掘り聞かされるわたしたち。
数日後、わたしは館長と話し合いの末、年明け二週間働き、有休消化をして三月末で今の図書館を退職することになった。
こっからがバタバタで。あっという間にクリスマス当日になったのであった。
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