21 / 42
鬼が見た景色
断崖の鬼
しおりを挟む
須藤はまだパトカーが残っているのに気づいた。
「刑事さんは僕を逮捕しようと最初からここに来たんですか?」
「二人目の「オニ」の件ではまだお前の名前は捜査に上がっていなかったが、三人目の被害者がお前の親で、息子の名前が「才二」って言うから……まさかとは思ったが。決め手は……二人目のライターの愛人が僕の知り合いでね。その人がライターから手帳を預かっていて……その中にお前の名前が載っていた。それにはやく気づけば子供は殺されなかったのだろう……悔しい」
須藤はまだ夕日を見ていた。
「晴海と会った時と同じ景色だ」
「捕まる前に過去に浸ってるのか」
「本当は通報した後、警察が来る前に……ここで晴海を抱いて飛び降りて死のうとした。……そしたら彼女からお腹に子供がいると、告白された。……僕との子供が」
須藤は沈みゆく夕日を見て泣き出した。
「彼女には申し訳ないことをした……殺した後に泣いてた彼女を抱きしめると、体が震えていた。彼女はただ僕に言われるがままに殺したんだ。……どうか許してやってくれ。僕だけ……僕だけ……逮捕してくれ!!!」
冬月はタバコの吸殻を携帯灰皿に入れ、膝から崩れ落ちて懇願する須藤を見下ろす。
「馬鹿か。だったら彼女が連れて行かれる前に自首しろ。俺に迫られなかったら逃げる気でいたのか?そっから飛び降りてさ。
彼女が連れてかれてから、ずっとこの辺りにウロウロしてさ。飛び降りて死ねば、恋人が捕まってショックを受けて死んだということになるもんな。でもできなかった」
冬月に追い詰められて、須藤は咄嗟に柵を越えた。
「あの女はただの捨て駒だ。性処理にも持って来いだったさ!従順で素直で……なんでも鵜呑みにする女だった。僕に利用されているのに……。僕は彼女にちっとも愛情なったのに」
笑ってるのか泣いてるのか、須藤の表情は壊れていた。
「男と女、情を持つとだめだねぇ。あとは……下を見ろ」
冬月が須藤にそう促すと、崖の下にはネットが張ってあり、下にはさらに大きなクッションが用意され、パトカーが数台止まっていた。そこには瀧本がタバコをふかして見上げていた。
「あああああああああああっ!!!!!」
と須藤は叫んだところをシバに引っ張られ取り押さえられた。
「自分で人を殺せないし、自分のことも殺せないんだな。このバカが」
「刑事さんは僕を逮捕しようと最初からここに来たんですか?」
「二人目の「オニ」の件ではまだお前の名前は捜査に上がっていなかったが、三人目の被害者がお前の親で、息子の名前が「才二」って言うから……まさかとは思ったが。決め手は……二人目のライターの愛人が僕の知り合いでね。その人がライターから手帳を預かっていて……その中にお前の名前が載っていた。それにはやく気づけば子供は殺されなかったのだろう……悔しい」
須藤はまだ夕日を見ていた。
「晴海と会った時と同じ景色だ」
「捕まる前に過去に浸ってるのか」
「本当は通報した後、警察が来る前に……ここで晴海を抱いて飛び降りて死のうとした。……そしたら彼女からお腹に子供がいると、告白された。……僕との子供が」
須藤は沈みゆく夕日を見て泣き出した。
「彼女には申し訳ないことをした……殺した後に泣いてた彼女を抱きしめると、体が震えていた。彼女はただ僕に言われるがままに殺したんだ。……どうか許してやってくれ。僕だけ……僕だけ……逮捕してくれ!!!」
冬月はタバコの吸殻を携帯灰皿に入れ、膝から崩れ落ちて懇願する須藤を見下ろす。
「馬鹿か。だったら彼女が連れて行かれる前に自首しろ。俺に迫られなかったら逃げる気でいたのか?そっから飛び降りてさ。
彼女が連れてかれてから、ずっとこの辺りにウロウロしてさ。飛び降りて死ねば、恋人が捕まってショックを受けて死んだということになるもんな。でもできなかった」
冬月に追い詰められて、須藤は咄嗟に柵を越えた。
「あの女はただの捨て駒だ。性処理にも持って来いだったさ!従順で素直で……なんでも鵜呑みにする女だった。僕に利用されているのに……。僕は彼女にちっとも愛情なったのに」
笑ってるのか泣いてるのか、須藤の表情は壊れていた。
「男と女、情を持つとだめだねぇ。あとは……下を見ろ」
冬月が須藤にそう促すと、崖の下にはネットが張ってあり、下にはさらに大きなクッションが用意され、パトカーが数台止まっていた。そこには瀧本がタバコをふかして見上げていた。
「あああああああああああっ!!!!!」
と須藤は叫んだところをシバに引っ張られ取り押さえられた。
「自分で人を殺せないし、自分のことも殺せないんだな。このバカが」
1
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
夫から「用済み」と言われ追い出されましたけれども
神々廻
恋愛
2人でいつも通り朝食をとっていたら、「お前はもう用済みだ。門の前に最低限の荷物をまとめさせた。朝食をとったら出ていけ」
と言われてしまいました。夫とは恋愛結婚だと思っていたのですが違ったようです。
大人しく出ていきますが、後悔しないで下さいね。
文字数が少ないのでサクッと読めます。お気に入り登録、コメントください!

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる