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追いかけてはいけない
第五話
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「またここ通るの嫌よ」
「大丈夫です。僕が横にいますので何かあったら後ろからもコウが出てきますし」
「でもぉ、それに……この格好」
少し緊張気味の由貴と怖がる渚が立つのはあの坂の上。そして渚の格好は女子高の制服だ。生徒から借りたものであり、髪型以外はアルバムの渚そのものである。
先にこの2人が歩き、後ろにはコウが歩く。渚を歩かせて白い綿が出てきたところで後ろからコウがそれと対峙する。そして場合によっては除霊するのだ。
「一応今は通りが少ない。少し下校時間をずらしてやっている。格好はこないだ転んだ女子高校生と同じ制服、髪色、髪型。女性を狙ってるのか、高校生を狙ってるのか、髪型なのか。とりあえず2人の共通点を合わさった格好にした。聞くところによるとまだこちらの道も使っている生徒や住人もいる。だが怪我したという情報は少ない、まぁ噂が先に出たからってのもあるけど」
後ろからコウがそう言いながら三人は歩き出した。
「渚さん、僕が命懸けで守りますからね」
「由貴君、そんなに意気込んでいたらお化けも怖がっちゃいますよ」
由貴は首を横に振る。大好きな渚を守るために必死なのだ。
「由貴君、会った時よりも男前ね」
「えっ」
突然の渚の言葉に由貴は驚いた。渚も目線を合わせず更にこういった。
「もし、あの白いのが出てきて守ってくれたら……何か奢るよ」
「え、そ、そ、そのー」
と、その瞬間。
「でたっ、白い綿!」
「なにっ!」
そう、目の前に急に出てきた白い綿。
「僕も並走するので渚さん、ゆっくり追いかけてください」
「……はいっ!」
渚は追いかける。由貴も一緒に。後ろのコウも少し遅れて早歩きする。
「全く何も何も感じない……なんなんだあいつは!」
そして白い綿はピョーンと飛び跳ねて車線に飛び出したと同時にそれを追いかけていた渚は何もないところで躓いて体が浮いた。
「あっ……」
「渚さん!」
そして白い綿に目掛けてコウが瞬時に呪術を放った。
「んっ……。あっ……由貴くん!」
渚は体が宙に浮いたのには気づいたのだが一瞬記憶がなく、また先日みたいに怪我をするかと思ったら柔らかい地面に落ちた……と思ったらガタイのいい由貴がクッションがわりになっていた。
「大丈夫ですか、渚さん」
「あなたこそ……」
「僕は受身をしたのでこれくらいへっちゃらですよ」
と言うがなかなか起き上がれない由貴。渚がなんとか起こすが痛みが強い。
「俺も起こしてくれ……」
2人の後ろではコウが倒れていた。彼も拍子でこけてらしい。
「コウ、どうだったか? 綿」
「何の念も感じない……唱えて燃えなかったから幽霊でもお化けでもない、そして精霊でも人魂でもない。なんなんだ、あれは……」
「コウもお手上げか……て、何か音が鳴ってる」
コウのポケットからだった。
「あ、宮野警部殿から……はい、もしもし」
『すごい展開になったぞ!』
「はい?」
かなり興奮気味の電話越しの宮野。
『……白い綿、正体わかったぞ。今から喫茶店へ行く。いつも通りよろしく』
「ああ」
コウはふぅ、とスマホをしまった。ふと由貴達を見ると由貴を介抱する渚。
「ありがとう、由貴君」
「渚さんが無事で何よりです」
2人とも見つめ愛はにかんでいた様子を見たコウはやれやれという表情。そして坂の上から数人ほど生徒達が下校して来ていた。その生徒達はラングヘアーの茶髪であった。
白い綿は出てこなかった。
「大丈夫です。僕が横にいますので何かあったら後ろからもコウが出てきますし」
「でもぉ、それに……この格好」
少し緊張気味の由貴と怖がる渚が立つのはあの坂の上。そして渚の格好は女子高の制服だ。生徒から借りたものであり、髪型以外はアルバムの渚そのものである。
先にこの2人が歩き、後ろにはコウが歩く。渚を歩かせて白い綿が出てきたところで後ろからコウがそれと対峙する。そして場合によっては除霊するのだ。
「一応今は通りが少ない。少し下校時間をずらしてやっている。格好はこないだ転んだ女子高校生と同じ制服、髪色、髪型。女性を狙ってるのか、高校生を狙ってるのか、髪型なのか。とりあえず2人の共通点を合わさった格好にした。聞くところによるとまだこちらの道も使っている生徒や住人もいる。だが怪我したという情報は少ない、まぁ噂が先に出たからってのもあるけど」
後ろからコウがそう言いながら三人は歩き出した。
「渚さん、僕が命懸けで守りますからね」
「由貴君、そんなに意気込んでいたらお化けも怖がっちゃいますよ」
由貴は首を横に振る。大好きな渚を守るために必死なのだ。
「由貴君、会った時よりも男前ね」
「えっ」
突然の渚の言葉に由貴は驚いた。渚も目線を合わせず更にこういった。
「もし、あの白いのが出てきて守ってくれたら……何か奢るよ」
「え、そ、そ、そのー」
と、その瞬間。
「でたっ、白い綿!」
「なにっ!」
そう、目の前に急に出てきた白い綿。
「僕も並走するので渚さん、ゆっくり追いかけてください」
「……はいっ!」
渚は追いかける。由貴も一緒に。後ろのコウも少し遅れて早歩きする。
「全く何も何も感じない……なんなんだあいつは!」
そして白い綿はピョーンと飛び跳ねて車線に飛び出したと同時にそれを追いかけていた渚は何もないところで躓いて体が浮いた。
「あっ……」
「渚さん!」
そして白い綿に目掛けてコウが瞬時に呪術を放った。
「んっ……。あっ……由貴くん!」
渚は体が宙に浮いたのには気づいたのだが一瞬記憶がなく、また先日みたいに怪我をするかと思ったら柔らかい地面に落ちた……と思ったらガタイのいい由貴がクッションがわりになっていた。
「大丈夫ですか、渚さん」
「あなたこそ……」
「僕は受身をしたのでこれくらいへっちゃらですよ」
と言うがなかなか起き上がれない由貴。渚がなんとか起こすが痛みが強い。
「俺も起こしてくれ……」
2人の後ろではコウが倒れていた。彼も拍子でこけてらしい。
「コウ、どうだったか? 綿」
「何の念も感じない……唱えて燃えなかったから幽霊でもお化けでもない、そして精霊でも人魂でもない。なんなんだ、あれは……」
「コウもお手上げか……て、何か音が鳴ってる」
コウのポケットからだった。
「あ、宮野警部殿から……はい、もしもし」
『すごい展開になったぞ!』
「はい?」
かなり興奮気味の電話越しの宮野。
『……白い綿、正体わかったぞ。今から喫茶店へ行く。いつも通りよろしく』
「ああ」
コウはふぅ、とスマホをしまった。ふと由貴達を見ると由貴を介抱する渚。
「ありがとう、由貴君」
「渚さんが無事で何よりです」
2人とも見つめ愛はにかんでいた様子を見たコウはやれやれという表情。そして坂の上から数人ほど生徒達が下校して来ていた。その生徒達はラングヘアーの茶髪であった。
白い綿は出てこなかった。
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